鳥の目 #1 明石市から学ぶ、選ばれる街になるための仕組みづくり
「なぜあの人の解決策はいつも上手くいくのか」という書籍のタイトルを目にして、即ポチしました。
なぜかというと、身近な人の仕事ぶりを見ていたり、生活の中で目にするニュースで、「なぜあの人の解決策はいつも上手くいくのか」と思うことが良くあったからです。
そのままですねw
このような人が持っている共通スキルは、「鳥のように、全体を上から見ることができている」という点です。
サッカーで言うとイニエスタ
行政で言うとオードリータン
キングダムで言うと李牧
のような・・
一方で、アジケもUXデザインやサービスデザインを生業としているので、カスタマージャーニーマップやユーザーストーリーを描くことが仕事の一つです。
カスタマージャーニーマップや、ユーザーストーリーは、「顧客の立場に立って、サービスとの関係性や行動を俯瞰的に描く」ためのツールです。
顧客の立場になりきれず、自分にとって都合の良いストーリーを描くだけでは、顧客にとって価値のあるサービスを作ることはできません。
ゆえに、全体を俯瞰して見るスキルは、複雑に絡み合う要素全体のつながりをデザインするクリエイターにも求められます。
前段はさておき、今回は、解決策が上手くいっている事例から学ぶため、兵庫県明石市の取り組みを例にあげて解説します。
地方自治体の悩みのタネ
日本全体の人口が減っているので、各自治体の人口が減ることも当然です。しかし、自治体のリーダーが「当然だよね」と素直に受け入れられるはずはありません。
人口減は、税収減にダイレクトに影響するため、放っておくとインフラや公共サービスの劣化によって住みにくい街になってしまいます。
各自治体は、人口減、税収減をなんとか食い止めようと、さまざまな施策を打っています。
IT企業やベンチャー企業を誘致
サテライトオフィスの設置補助
引越し代や家賃を補助
地域の魅力や移住情報を発信
それでも多くの地域では成果に繋がっておらず、苦しんでいます。
税収増に繋がっている兵庫県明石市
そんな中、明石市は9年連続で人口が増加しており、30万人を突破しました。
特に、働く世代の人口が増えており、市の税収増に繋がっています。
さまざまな施策を試しても効果に繋がらない市区町村が多い中、なぜ明石市は選ばれる街になっているのでしょうか。
明石市の取り組みのポイントは、「子育て世帯を徹底的にサポートする」こと。
「子育て世帯に優しい街にしたら、税収増に繋がった」。これは「風が吹けば、桶屋が儲かる」のように、複雑な物事の繋がりを想像しなければなりません。
つながりを因果ループ図で描いてみます。
つながりの要素には、因果の変数となる要素を記入します。
サイクルを実現する道筋
俯瞰的に見るためのループ図を描く。
レバレッジポイントを定める。
集中的に投資する。
子育て世帯へのサポートを厚くする⇨育てやすさが増す⇨街の評判が上がる⇨子育て世帯の流入につながる⇨税収が増える
単純化していますが、このようなストーリーを描くことができます。
難点は、「すぐに効果が現れない」ことです。
一見、ゴールから遠い施策のため、効果が出ないとリーダーは批判され、修正を余儀なくされることがありますが、粘り強く耐えなければなりません。
また、施策を打つ際は「集中して投資する」がポイントと言われています。リソースが限られる状況では、あちこち分散しても中途半端な結末で終了してしまいます。
正しそうに見える施策の落とし穴
さて、みなさんが「税収減を食い止めるための対策メンバー」だとしたら、どのような仕組みや施策を起案するでしょうか。
最も短絡的な施策はこれです。
「税率を上げる」
感覚的に、イマイチだと思った方が多いかもしれません。
しかしロジックツリーで表してみると、「税収 = 一人当たりの所得 × 税率 × 街の人口」なので、一概に悪いとも言えないような気がします。
因果ループ図で表してみます。
税率を上げれば、税収が上がる。もっと税率をあげれば、さらに税収が上がる・・分かりやすいサイクルですね。
しかし、因果ループ図をもう一段階上から見てみると、このようなストーリーが見えてきます。
税率を上げる⇨ 可処分所得が減る ⇨ 消費が減る ⇨ お店の売上が減る⇨所得が減る⇨ 税収が減る
このように、結果的に税収が減ることが想定できます。
近視眼的に分かりやすい解決策に飛びつくと、逆効果を生んでしまう危険性があります。
税収を上げないと!という問いに対して、「税率を上げましょう。なぜなら、税収 = 一人当たりの所得 × 税率 × 街の人口だからです。」というのは、
ロジックが一見正しく、すぐに効果を見込むことができます。しかし、長い目で見て効果が続くかは疑問です。
税収を上げないと!という問いに対して、ストーリーを持って「子育て世帯に優しい街にしましょう。なぜなら・・」と提案できる人になりたいものです。
事例から得られる学び
明石市の事例から学べることは、好循環が生まれる状況を戦略的に作り出した点です。
そして、ポジティブなサイクルが強化されることで、より投資しやすく、より大きな効果が見込めるようになります。
ポイント
ポジティブなサイクルを作るためのストーリーを「鳥の目」で描く
ポイントを定めて、集中的に投資する
長期的な目線で取り組み、ぶれない
想像力、リーダーシップ力、決断力など色々な要素が包含された事例だなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
また全体像を掴む練習を続けたいと思っています。
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