第8章 終わりの始まりの話。
前回の章では、バラデロでの話を綴らせてもらった。
今回は、その続きから綴らせてもらった。
バラデロのホテルをチェックアウトするときも案の定、ホテルのスタッフがツレのタクシーを呼んでくれた。ホテルスタッフが呼んでくれたタクシーは、今回も「最近の車」だった。
おそらく、長距離移動は基本「最近の車」になるようだ。
バラデロからハバナまで約2時間。行きもこの長い移動時間を体験したが、第7章でも綴ったように快適な車、窓の外一面に広がるキューバを見ればあっという間に過ぎていった。
しかし、バラデロからハバナに戻る約2時間は、外を呑気に眺める余裕はなかった。
なぜなら、ハバナの宿を予約していなかったからだ。
というのも、キューバはホテル以外にCASA(カサ)といわれる民泊が普及している。しかも、ホテルより割安の価格で泊まれ、民泊のため現地の暮らしを間近で体験できる。そのため、日本で行ったミーティングでは、バラデロから戻ったハバナではCASAに泊まることが満場一致で決まった。
しかし、第2章や、第3章を読んでくれている人は分かると思うが(たいして読まれてないので是非読んで下さい)、ナガサクとよっちは「事前にこのCASAを予約していくべき」と言っていたが、僕はホテルならまだしもCASAを事前に予約するのは「旅部」を謳っている者として(謳っているのは僕だけ)恥ずべき行為という中二病プライドと、せっかくのキューバでイベント性が欲しいというわがままで予約させなかった。
そのため、多少負い目を感じていた僕は、バラデロからハバナに戻る道中、
何回も脳内で、
「CASAをやっているお宅には必ず政府公認の印がある」
「CASA を見つけたら、部屋の雰囲気を見て値段を聞く」
「必ず一軒だけではなく何ヶ所か回って一番いい所に決める」
「相手が泊まらせようと雰囲気を出しても気に入らなければ強気で断る」
「客引きを挟まず、直接CASAの主人と交渉する」
「客引きは、強めに断る」
「相手のペースに乗らずこっちのペースで強気に」
とシミュレーションしていた。
そんなことをしているうちに、ハバナ市街に着き、タクシー運転手が「宿はどこだ?」と尋ねてきた。僕たちは「これから探す」と伝えると、ハバナ市街地の広場まで行ってくれて、そこで停車した。僕たちは、リュックを背負いタクシーの荷台からスーツケースを取り出す。
先ず、僕たちは今夜泊まるCASAを探さなければいけない、
ここからが本番だ
シミュレーションは、タクシーの中で2時間びっしりしてきた。
意気込んだのも束の間、大柄なキューバ人男性が話しかけてきた。「何を探しているんだ?」
リュックを背負い
スーツケースを持った
アジア人3人組
「カモ」でしかない。
多分つづく
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