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教育と学校の未来を考える:ENGINE関西イベントレポート
先週2月15日、ENGINE関西のイベントに参加してきました。教育現場の第一線で活躍される方々から、学校教育の現在と未来について、多くの示唆に富んだお話を聞けました。
ENGINE関西は、教育に関心を持つ多様な立場の人々が集い、講演や参加者同士の対話を通じて未来の教育を考えるイベントで、関西での開催は今年で2回目です。
開催概要
・日時:2025年2月15日
・会場:園田学園女子大学
・参加者:教員、NPO、企業、行政関係者など教育に関心を持つ多様な立場の方々
プログラム
■基調講演:筑波大学附属小学校 佐々木昭弘校長
■分科会:現場での実践事例など6つのセッション
A:京都府教育庁指導部学校教育課 総括指導主事 菊井雅志さん
B:大阪市立佃中学校 里見拓也さん
C:山陽製紙株式会社 × NPO法人JAE
D:三宅町教育委員会教育長 大泉志保さん
E:福井県立若狭高等学校 小坂康之さん
F:特定非営利活動法人 みらいずworks 小見まいこさん
■全体セッション
基調講演:学びの本質は「見えなかったものが見えるようになる喜びや面白さ」
筑波大学附属小学校の佐々木昭弘校長による基調講演で最も印象に残ったのは、「なぜ勉強するのか」という根本的な問いにまつわるお話でした。
佐々木先生は、学びの本質を「見えなかったものが見えるようになる」という視点で説明されました。
これは単なる知識の習得ではなく、新しい世界の見方を獲得することであり、その過程で「面白さ」や「楽しさ」を感じ、結果として人生が豊かになっていくという考え方です。この考え方は自分の経験や価値観とも重なり、豊富な教育実践の事例とともに語られた明快な言語化に、改めて納得感を持てました。
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分科会:初等中等教育の学校現場や教育行政について理解を深める2つのセッションに参加
分科会は、京都府教育庁指導部学校教育課の総括指導主事・菊井雅志さんと、奈良県三宅町教育長の大泉志保さんの2つのセッションに参加しました。ともに、学校現場での教員経験を経て教育委員会で教育行政に携わるキャリアを歩んでこられたお二人です。
印象的だったのは、登壇者の方々が語られた教師としてのキャリア・ストーリー。
教師としての初任時代の失敗、生徒から学んだ経験、学校現場での奮闘、そして教育行政に携わるようになるまでの道のり。その過程で感じた思いや課題意識について、率直な言葉で語られていました。
私自身は普段の仕事や生活の中で、初等中等教育の現場と直接の関わりはありません。プロボノとして活動するNPOではキャリア教育の授業を小中学校で実施していますが、私自身は主に団体運営の裏方として携わっているため、学校現場の生の空気感に触れる機会はあまりないです。
現場の温度感と経験に基づくリアルなお話は、普段接する機会の少ない初等中等教育の学校現場や先生方の仕事、そして教育行政への理解を深める貴重な機会でした。
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変わりゆく「学校」の役割
その他、自分の当日のメモの中から、個人的に印象に残ったトピックやキーワードの一部を抜粋すると以下のような感じです。
これらのメモを改めて眺めてみるに、個人的な関心のポイントとしては、地域や社会における「学校」の社会インフラとしての在り方と、その役割の変化・多様化に伴うマネジメントや仕組みの在り方かなと思いました。
分科会のメモより:
学校には「学校でしかできないこと」がある一方で、社会の変化に応じて変わっていく必要性
教育委員会と学校の関係性の再定義 - 上下関係ではなく、相互支援の関係へ
学校を核としたまちづくりの可能性
全体セッションのメモより:
地域との連携と対話/人と人がつながる場の重要性
人口減少時代における学校の役割
学校運営における多様なステークホルダーの参画
教育はまちづくり
今回のイベントを通して、「学校」という社会インフラの持つ意味が大きく変容しつつあることを知ることができました。「教育を提供する場所」という基本的な役割だけでなく、地域コミュニティの核として、より多様な機能を担うことが期待されている「学校」。この変化に対応するためには、教職員だけでなく、地域の多様な人々や外部の専門家を巻き込んだ新しいマネジメントの形が必要だと改めて感じました。
そんな模索の最前線を垣間見ることができ、その第一線で実践する方々とつながることができて、大変貴重な機会でした。