Terra DroneのHRの変遷と未来
初めまして。
Terra Drone人事兼広報マネージャーの宮本です。
当社は、「空から、世界を進化させる」をミッションに掲げ、市場黎明期から、世界各地域でドローンや空飛ぶクルマ等のエアモビリティを活用した、空の産業革命を各産業で推し進めてきました。今後、2040年には160兆円規模になると見込まれる、エアモビリティ領域で世界No.1を目指します。(Terra Droneのこれからについてはこちら)
本noteでは、上記ゴールを見据え、”Terra Drone HRの変遷と未来”について、お話が出来ればと思います。
① これまでのHRの取り組み
創業~シリーズA期は、PMF(プロダクトマーケットフィット=提供しているサービスや商品が、顧客の課題を解決できる適切な市場で受け入れられている状態)が経営戦略上の最優先事項でした。
このフェーズでは、ドローン市場の黎明期であり、とにかく現場に赴き、顧客のニーズを探索し、「顧客に提供できる価値は何か」を定義することが求められます。そのためHR領域では、事業の収益化に向け、①代表徳重のビジョンとリーダーシップを原動力とする組織の「熱狂」の状態の創出、②PMFを実現する突破力の強い「0→1」を得意とする人材の採用と育成、に徳重自ら注力していました。
・徳重のビジョン(HPより)
上記ポイントを少し振り返ってみたいと思います。
1.【2016年シード期】代表徳重のビジョンへ「熱狂」と収益化に向けた探索(社員12名)
当時、創業事業である「ドローン測量事業(=建設業界における現場作業のデジタル化を進める事業)」のPMFに向けた探索を行っていました。営業が土木現場に赴き、ドローンを飛行、その後の解析やレポート納品まで、幅広く対応し、顧客価値の定義を行っていた時期でした。
(現在は、プロのドローンパイロットが社内におりますが、当時は営業が1000万円以上するドローンを何度か墜落させるなど、失敗を繰り返しながら今のサービスに成長してきました)
徳重のリーダーシップのもと、ビジョンである「新産業で、世界で勝つ日本発ベンチャーの創出」に共感する、突破力の強い「0→1」社員(社内用語である、Gritの造語で”グリグリ感”を持つ社員)が原動力となり、徐々に売上の見通しが立ってきた時期でした。
当時の社員は、取締役の関が日本統括を行い、10名(インターン生含む)程度。少人数のため、徳重のビジョンがそのままカルチャーとなり、徳重自ら社員の育成を行っていました。経営上、まずは事業を軌道に乗せることが最優先で、外的要因への投資は必要最低限。当時の組織を表す言葉は、「質実剛健」「質素倹約」であったかと思います。
2.【~2020年シードからシリーズA期】PMFの成功とグローバルでの体制構築(社員12→30名)
この時期に、測量事業の主力プロダクトである、自社製レーザードローン「Terra Lidar」のPMFに成功。同時に、根本の思想である、日本発グローバルベンチャーを輩出するべく、テラ流の群戦略(=海外の有望なドローン企業のM&Aを通じた急速な海外展開)を実施。一気に、国内外で事業展開を行います。
この段階では、海外で「子会社の経営スキル」「英語力」「非連続の成長を得意とする人材」等の採用難易度が極めて高い人材が必要になります。それに伴い、希望するエース社員を中心に海外に赴任し、配置転換を実施(最大時は7-8名の駐在員がいました)。現地の経営を任せる中で、市場では採用が難しい人材へ代表自ら育成し、幹部へ登用していきます。
国内事業は、新規で、PMFとスケールが出来る「0→1」「1→10」の両輪を行う人材採用を一気に進めることで、事業のスケールが進み、事業が黒字化していきました。
人数が12→30名に増える中で、少しずつカルチャーを希薄化させない取り組みが必要になります。このタイミングで組織崩壊が起きてしまい、初めて経営陣により、行動指針「Terra Way」の明文化を行いました。また、コーポレートに1名配置しましたが、管理部門全ての領域が管轄であり、まだ手探りの状況で、採用はエージェント経由がメイン。次期成長に向け、コーポレート部門の分業化が進んでいきます。
② 現状のHRの状況
創業事業の測量事業がコア事業となり、海外事業のスケールが進みます。併せて、点検事業、運航管理事業、コーポレート部門の本格的な立ち上げが始まります。事業が拡大する中で、国内外様々なロールの募集の立ち上げを実施。採用強化は勿論のこと、多様なバックグラウンドを持つ領域の方にご入社頂く中で、個々の状況に対応できる組織にアップデートしていくフェーズと捉え、HR領域面の強化に取り組んでいます。
・組織拡大
【~2022年シリーズAからシリーズB期】採用加速、カルチャー明文化、人事制度構築(社員30→60名)
1.採用の加速 人事専任採用。測量事業スケールとともに採用人数増加。
昨年2021年2月頃から、測量事業のスケール、点検事業の立ち上がりと共に、採用人数が一気に増加。これまで5年間で30名採用していた中で、1年で30名(全体で56名)採用に増加。この段階では、「0→1」だけではなく、新規事業創出と既存事業拡大が入り混ざる環境で、連続・非連続の成長を進める人材の採用が必要です。そのため、このタイミングで人事専任を設置しました。
この頃から、全ポジションの採用データを可視化し、定量データに基づき、個々の候補者に合わせた面接官のタイプの選定、選考フロー変更等の選考体験を改善。加えて、エージェントの紹介を待っているだけでは事業成長のスピードに間に合わず、採用手数料を削減し、より良い組織への投資をしていきたいという思いから、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用等、積極的に取り入れ、PDCAを回し目的別に採用経路管理。転職サイトに登録していない潜在層へのアプローチも始め、正社員30名(全体で56名)の採用を行いました。
上記行う中で、採用の層や量が変わり、採用コストが半減。削減したコストを元に一部組織へ投資する等、採用の構造が少しずつ変わっていったと認識しています。
2.MV(ミッション、バリュー)の明文化
多様なバックグラウンドを持つ方々より入社いただく中で、50名、100名の壁といわれるように、組織の歪みが出てきやすい時期だと捉えています。後々歪みが複雑化する前に、とにかく「以心伝心のコミュニケーション」をやめ、「コミュニケーションを明文化」する回数を意図的に増やしていきます。
始めに、事業活動や人事施策の基盤となる、MV(ミッション・バリュー)を定義する所から、経営陣と共に着手。バリューとして、すでに「旧Terra Way」がありましたが、明文化された当時から事業構成メンバーや事業環境が刻々と変化する中で、カルチャーのアップデートが必要です。そのため、再定義するに至りました。
MVは、全社員からのアンケート結果から抽出。今後ミドルマネジメントのカルチャー体現が重要になる中で、経営層、全事業部の責任者、人事が議論し決定しました。結果、MV(ミッションとバリュー)は↓のような内容になりました。
・ミッション
一つの事業の枠に縛られず新産業領域における「イノベーション」により、「空から、より良い世界に貢献していきたい」、という思いが込められています。
・バリュー
創業から大事にしている、世界No.1へのこだわりやそれを実現するための行動指針は残しつつ、今後のTerra Droneの成長を見据え、多様性の受容(Inspire & Inspired)に関する文言を追加しました。
3.人事制度の導入
次に、人事制度の導入に着手しました。これまで、比較的少数の段階では、経営陣による全従業員の評価が可能でした。今後、社員数が増加する中で、公平で納得感のある評価制度の運用が必要になります。社員と事業成長を秩序立った仕組みとして後押ししていきたいという思いのもと、導入に至りました。
人事制度は、グレードに求める期待役割に紐づく各事業部の業務の成果を、定量面と定性面(Terra Wayに基づく)で判断(ミッショングレード制)し、評価に基づいて、次年度の配置転換や報酬、教育訓練につなげています。
毎月直属の上長と1on1を実施することで、目標とのギャップを確認、達成に向けたフォローの実施や、プロセス面での個々の努力や成長を漏れなく評価できるように進めていく予定です。
「絵にかいた人事制度」にならないように、とにかくシンプルに運用しやすく、今のTerra Droneに合わせた形で開始していますが、今後運用する中で組織の状態に合わせて、常にアップデートしていく予定です。
4.労務面の強化
今年は、コーポレートで2度の上場を経験した社員が入り、労務面の整備を強力に推進しています。勤怠管理が厳格化し、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入。働きやすい環境という意味では、各段に向上し、結果、女性比率が上がり、多様なメンバーが入社しています。
③ これからの方向性について
本気で世界NO.1を実現する。
そのために、コア事業の測量事業の収益の成長、成長事業である点検事業のスケーラビリティ、探索事業の運航管理事業のPMF、加えて海外でも子会社化を推し進め、テラ流のPMIを実現していかなければならないのが、今のTerra Droneです。
・Terra Droneの事業展開の考え方
HR面では、上記様々なフェーズのハード・ソフト・ソリューション事業、国内外複数拠点、それを支える各部門機能Biz, Dev, Ops, Corpを同時に考慮し、世界No.1目指す組織体制にしていく、多岐に渡る観点からHRの推進が求められます。(カオスw)
上記実現するためにやらなければならないことは膨大にありますが、
まずはファーストステップとして、直近は、
1.採用の加速(特にエンジニア採用)
2.事業活動の礎となるカルチャーの浸透・定着
3.連続・非連続的成長を生み出す仕組み(人事制度の運用や、福利厚生)
に積極的な投資を行います。
採用から入社後の活躍の仕組みづくりを推進していく予定です。
④ 最後に
・これからのフェーズのTerra Droneの魅力
次世代エアモビリティ市場で、日本発のベンチャーとして世界No.1を目指す。
Terra Droneの根幹は、「空から、世界を進化させる」ミッションの達成を通じて、再び日本の産業を活性化していきたい、という強烈な思いです。そのために、2040年には160兆円規模へ成長する巨大なエアモビリティ市場で、グローバルスタンダードを本気で取りに行く。その分、やるべきことはたくさんあり、扱う領域は幅広く、同時多発的に、新規・既存事業が入り混ざる環境で、非常に機会に溢れた環境だと思います。業務面では、創業から脈々と受け継がれる、「身の丈以上の機会の提供を惜しまない」カルチャーのもと、ダイナミックにチャレンジしていける環境です。
今回、シリーズBで80億円調達し、更なる事業への投資、組織へ投資していきます。事業のPMFだけではなく、経営上のセンターピンが、事業成長と組織開発の同等になるフェーズに入ってきたと捉えています。
HRとしては、発展途上であるものの、創業期から「働きがい」と「働きやすさ」の面で大幅に進化していると思います。今後はこの2つを相乗的に高めていきたいと考えています。
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