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部屋探しから学んだ、幸せなパートナー探しに大切な10のこと

昨年「これからずっと一緒にいよう」と思ったはずのパートナーと別れることになり、人生のパートナーシップ問題は振り出しに戻ってしまった。

自分がどんなパートナーを求めているのか、どうすれば巡り合えるのか、そしてうまくやっていけるのか。いろいろ試してはみるものの、なかなか出口が見えてこない。

そんな中で引越をした。新居を探し始めてから、半年以上がかかった。そしてその過程で、パートナー探しのヒントをたくさん学んだ。

幸せな人生のための部屋探しと、パートナー探し。この2つには多くの共通点があるように思う。そのことを書いてみたい。

部屋探しの長い話

前の部屋には、前のパートナーの存在が残っている。それに対する自分の執着も残っている。新しいパートナーと出会い、良い関係を築くためには、新しい自分にならなければ。そのためには、どこから始める?

そう自分に問うと、決まって答えは引越しにたどり着いた。自分の基盤をつくる、生活。生活の基盤をつくる、家。特にいまは仕事場も兼ねていて、家で過ごす時間が長い。だから自分を土台から立て直すには、まず住む家からだ、となる。

その時の部屋は、住み始めて2年ほど経っていた。引越してすぐに近くの畑と縁ができて「農のある暮らし」という新しい生活を楽しんで心と体が変わっていったり、その後、新しいパートナーに出会ったりと、いろいろ縁を運んできてくれた。

だが、丸2年を待たず、畑は急に閉じられることになった。その後パートナーとも上手くいかなくなり、関係が終わってしまった。どーんと落ち込んだ。

引越したばかりのときは、3面にある窓を風が取り抜け、光が通り抜け、気持ちよく感じていたその部屋にも、徐々に閉塞感と停滞感を感じるようになっていた。

やっぱり、引越しだ。

そう思ってから、何度も何度も不動産屋に足を運び、何軒も内見をした。だが、なかなか「これ」と思うものに出会えなかった。探しては諦め、探しては諦めを繰り返して半年以上が過ぎた。だんだんと、不動産屋にも顔を出しづらくなった。不動産屋にとっては、面倒な客でしかない。客ですらない。

それから、時々思い出しては情報サイトで検索し、気になる物件があれば不動産屋に伝えて空き状況を調べてもらう、ということをぽつぽつ続けた。だが、たいてい「もう決まっているようです」という返事が来て、ジエンドとなった。

だけど、やっぱり引越しがしたい。そうしなければ、何も始まらない。

ある日の昼下がり、またもそんな気持ちがむくむく湧いてきて、疎まれることを覚悟で不動産屋を訪ねた。自分で検索しても、無駄うちが続く。ならば、不動産屋に頼るしかない。

アポなしでいつもの扉を開けると、はじめての女性担当者が対応してくれた。そして、ネットの情報は申込済のものばかりなので自力で探すのが難しいと伝えると、こんなアドバイスをくれた。

この時期は不動産の流動性が高いから、なるべく新しい情報に当たったほうがいい。

なるほど。そして、こんな指摘もされた。

探している範囲が広すぎるので、こちらで探そうにも探せない。もっと絞ってほしい。

数年前から仕事はほぼリモートワークになり、どこに住んでも良くなった。選択肢が多いというのは贅沢なことではあるが、自分がどこに住みたいのか、あるいは何を求めているのか、はっきりした意思がないと探し方も散漫になってしまう。どこでもいいけど、私が気に入るもの。それを見つけてよ!そんな身勝手な注文をぶつけていたことになる。そんなの、腕利きの不動産屋だって困る。

遡ること数か月前、やさしい男性の担当者がそんな曖昧な注文を受けて最寄駅からバスで15分くらいの部屋を紹介してくれたときは、申し込みまでして最後には断ってしまった。バスで15分は、ない。

だから、本当は「どこでもいい」わけではないのだ。それと自分が向き合い、明確にする努力を怠っているだけで。

でもその日は違った。やさしい男性陣に比べ、はっきりモノをいう女性の忠告を聞きながら、不動産屋にもれなく置いてある大きな路線図を眺めていると、それまでふわーっと広がっていた対象エリアが、急にきゅーっと絞られてきた。そうだ、ここに住みたいのだ。ようやく自分で気づいた。

その場で彼女が出してくれた物件はどれもこれもピントこなかったのだけど、私は2つの大事なヒントをもらうことができた。

① 自分がいまどこに住みたいと思っているか
② 効果的な情報の探し方(新着情報を優先に)

さらには、自分が求める新居は、不動産屋に探してもらうのではではなく、自分で探すのだ、という意識に変わった。自分の好みは、自分が一番知っている。さっきまで他人だった不動産屋さんが、私の希望や好みを全部くみ取って「ぴったりの部屋を探してくれる♡」なんて妄想でしかない。

自分で探すのだ、という覚悟。
自分で探せるのだ、という自信。

その日の夜、不動産屋からもらった2つヒントを取り入れて、改めて物件を検索した。そして気になったもののいくつかをメールで不動産屋に伝え、状況を調べてもらった。

すると、1件がヒットした。さっそく翌日に見に行くことにした。聞けば、これから全面リフォームをするとのこと。そのため、今はすっからかんの状態。ただ、別の階にリフォームしたばかりの部屋があるので、そこで内装は確認できる、と。

内見前夜、妙に気持ちが高揚していた。リフォーム前だからまともにわかるのは場所と外観くらいなものなのに、ネット上でなんとか手掛かりになりそうな写真を探しては繰り返し眺めて、そわそわしていた。早く、見たい。まるで憧れの人とデートに行く前日みたいだった。引越しはこれで8回目だけれど、こんな気持ちは初めてだった。

翌日。実際の部屋は、話のとおり全部壊されて空っぽだった。だた、南に向いた窓から、外壁に沿って植えられた木々が見え、葉からこぼれる光が部屋に差し込み、その光景に心ひかれた。「部屋から緑が見える」というのは、私にとって部屋探しのかなり上位にくる条件だった。検索サイトの項目には絶対にないので、不動産屋で伝えることはないのだけれど。

その後、リフォームを終えたばかりの別の部屋へ。明るくて清潔感のあるフローリングの色、クローゼットの扉の色が気に入った。部屋の印象を左右するカラーリングも、部屋を決める時の大事なポイントだった。

しかし。2割ほど、強めに引っかかる部分があった。玄関を上がったところの壁一面だけが、なぜかジャングル調の壁紙。シューズボックスはピカピカに光る赤で、しかもサイズが玄関の凹み部分に合っていない。幅は足りなくて隙間が空いているし、奥行きは長くて前にはみ出している。そして、キッチンもピカピカの赤。バスルームの収納扉が妙な赤茶。なぜ。

もちろんこれを「良い」と感じる人もいると思う。あくまで好みの問題だ。シンプルな部屋が好みな私にとっては、苦手なテイストだった。もしこれを先に写真で見ていたら、すぐにパスしていた可能性が高い。

なのに。もはや前日から(見てもいないのに)一目ぼれ状態だったことと、木漏れ日の美しさと、「これからリフォーム」というタイミングで出会った縁を感じていたことで、いつもだったら「ない」と拒否してしまう2割の部分さえ、受け容れられそうな勢いだった。

そして内見を終えたとき「申し込みます」と言っていた。これまで半年以上、幾度となく内見と見送りを繰り返してきたとは思えない、即断即決だった。不動産屋さんも不意打ちをくらったように見えた。

ただ、やはり2割は、気になる。それを不動産屋さんに伝えると、管理会社に問い合わせてくれた。そしてなんと、壁紙は「今なら」ということでノーマルな白に切り替えてもらえることになった。シューズボックスは変えられないが、バスルームの扉はもともと茶色になる予定だと。2割が、0.5割になった。このタイミングだったからこそ。即断即決だったからこそ。

その後も飽きることなく、ネット上でその物件の情報を調べていた。すると、その物件の室内と思われる、アイボリーとネイビーの市松模様の和室の写真が出てきた。

私が申し込んだ部屋も、1部屋は和室になる予定だった。リフォーム後をイメージするために見た別の部屋はすべて洋室だったので、和室の完成形は見られなかった。ただ、「和室」といえば当然、あのいぐさの薄緑色でしょ、と思って疑わなかった。

もしや。

あわてて不動産屋さんにメールを送って確認をしてもらうと、やはり「アイボリーとネイビーの市松模様になるようです」とのこと。受け入れづらい部分が2割から0.5割になったと思ったら、3.5割に急上昇した。待って。。

すると、すぐに不動産屋さんから電話が入った。「今だったら変えられるそうです。この電話で決めてもらえれば」と。オンライン会議中だったが、その場で「いわゆる普通の畳の色」に変えてもらうことができた。それも、海外出張直前に。

そんなこんなで、賃貸にも関わらず、まるで購入物件かのように好みを聞き入れて、できる限りの対応をしてくれた。こんなことも、初めてだった。なんだか、不動産屋さんも管理会社さんもリフォーム会社さんも、もしかしたらオーナーさんも、私の「幸せな生活の基盤づくり」に向けて動いてくれているような、不思議だけれど有難い気持ちだった。

その後、引越し屋さんも手配し、海外出張へ行き、帰国後に契約手続きのために管理会社を訪問したときのこと。すべての書類に判を押し終えたあとに、管理会社さんから衝撃の発言が飛び出す。

建物の周りの植栽、今度、あれをすべて伐採する工事を予定しています。

な、なんて。私の即断即決を後押ししたもの上位3つを挙げるなら、「窓から緑が見えること」は間違いなく入っていた。いろんなものをタイミングよく乗り越えてきたと思ったのに、こんなところに落とし穴があったなんて。あの内見前日のそわそわは勘違いだったのか、即断即決は早とちりだったのか。。自分の勘に自信をなくしかけた。

いかに。あの緑が大きな決定要因であったか、だからこその今の失望感を伝えてみたが、そうでしたか、それはすみません、と言ってはくれたが事態が変わる気配はなさそうだった。契約を結んでしまったし、受け容れるしかない。でも、ショックだった。

その後、内装も気になるので引越す前に見ておきたいと、あらためて物件を訪問させてもらった。リフォームは、概ね終わっていた。壁紙は、ちゃんと白で統一されていた。

しかし。フローリングの色が、違った。内見のとき「リフォーム後をイメージするために」と案内してもらった別の部屋は、フローリングの色が気に入ったのだ。当時住んでいた家は、床の色が黒に近い茶色だった。それが窮屈感・閉塞感につながる気がして、引越しの動機の一つになっていた。だから、その裏返しとして、今回の即断即決を支えた上位3つには「フローリングの色」も入っていた。明るい、清潔感のある色。気持ちが広々となる色。

それが、変わっていた。「変わっていた」は、きっと正しくない。もともと、その予定だったのだ。それが、こちらに伝わっていなかっただけ。「リフォーム後をイメージするために」と見せてもらった部屋と同じになると、管理会社さんに問い合わせてくれた不動産屋さんも、それを伝言された私も、てっきりそう思い込んでいた。

植栽のことにフローリングのことが重なって、楽しみだったはずの引越しに暗雲が立ちこみ始めた。それまでの自分の直感と決断に自信を疑いはじめていた。それでもまだ、どこかで信じたい気持ちも捨てきれず、一縷の望みをかけて不動産屋さんをすっとばして管理会社さんに直接メールをし、想いを伝えた。しかし、気持ちは受け取ってくれたものの、状況が変わることはなかった。まあ、当然の結果ではあるのだけれど。

幸せな生活のための引越しのはずが、失望感を抱きつつの引越しになるという、まったく意図しない方向に歯車が向き始めてしまったように感じた。

しかしそこで、こんな気持ちが中から湧き上がってきた。

どういう部屋だから、自分が幸せになる、ということではない。どんな部屋であっても「自分は楽しく生活する。幸せになる」と決めればいいのだ。

その後まもなく、予定どおり引越しをした。あんなに意気消沈していたフローリングは、思いのほか気持ちになじんだ。今では気に入っている。そして、つかの間の木漏れ日を楽しんだ。

数日後、ポストに「植栽伐採のお知らせ」が入った。来たか。

そしていざ植栽がすべて取り除かれると、美しい木漏れ日が姿を消した代わりに、何にも遮られることない朝日が部屋いっぱいに差し込むようになった。一気に明るくなった。それはそれで、いいものだった。

一方、想定外のこととしては、部屋が妙に寒いことだった。鉄筋コンクリートの家はもれなく密閉効果が高い、ゆえに断熱効果が高いというのは誤解だったようだ。カーテンを変えてみたが、あまり効果はない。春から夏に向かう今の時期はよいが、次の冬を迎えるまでになんとかしなければ、と思っている。この家と、幸せに暮らしていくために。

総じて、いま「引っ越してきて本当によかった」と心から思っている。日ごとに、その思いを重ねている。

部屋探しに学ぶ、パートナー探しのヒント

以上の長い部屋探し話から、パートナー探しの、そしてその後の幸せなパートナーシップにつながると感じたことをまとめておきたい。

幸せになる部屋探しに大切な10のこと

  1. 「どこでもいい」はウソ。自分の気持ちに鈍感なだけ。自分がどこに住みたいのか、どんな家に住みたいのか。できるだけ具体的な自分の望みや願いに気づく。

  2. プロ(不動産屋さん)には、探してもらうのではなく、探し方を教えてもらう。

  3. 自分で見つける、という覚悟もつ。

  4. 自分で見つけられる、という自信をもつ。

  5. 何度も不動産屋を訪ねたら迷惑かななど気にせず、「引越したい」という自分の気持ちを尊重し、正直に行動する。

  6. リフォームに口出したら嫌がられるかななど気にせず、「納得のいく引越しがしたい」という自分の気持ちを尊重し、正直に関係者に伝える。

  7. 思いどおりにならないことがあるのは、当然と受け入れる。

  8. 家は変わり続ける。その変化を受け入れる。そこで失うものではなく、得るものに目を向ける。

  9. 自分のために動いてくれている人たちや物事。それを「申し訳ない」と遠慮するのではなく、思いっきり受け取って感謝する。

  10. 最後は、どんな部屋でも幸せになれる、幸せになる、と決める。自分から部屋を愛すれば、幸せになる部屋になっていく。(そんな愛せる部屋と出会うために、9までが必要)

幸せになるパートナー探し、10のヒント

部屋探しから学んだ10のヒントを、パートナーシップに置き換えてみる。

  1. 「誰でもいい」はウソ。自分の気持ちに鈍感なだけ。自分がどんなパートナーと、どんな生活を送りたいのか。できるだけ具体的な自分の望みや願いに気づく。

  2. プロ(たとえば紹介業者さんや友人)には、探してもらうのではなく、探し方を教えてもらう。

  3. 自分で見つける、という覚悟もつ。

  4. 自分は出会える、という自信をもつ。

  5. この歳になって恥ずかしいななど人の目を気にするのではなく、「出会いたい」という自分の気持ちを尊重し、その気持ちに正直に行動する。

  6. 自分の望みや想いを、正直に関係者に伝える。

  7. 思いどおりにならないことがあるのは、当然と受け入れる。

  8. 人は変わり続ける。その変化を受け入れる。そこで失うものではなく、得るものに目を向ける。

  9. 自分のために動いてくれている人たちや物事。それを「申し訳ない」と遠慮するのではなく、思いっきり受け取って感謝する。

  10. 最後は、どんなパートナーでも幸せになれる、幸せになる、と決める。自分から相手を愛すれば、幸せなパートナーシップになっていく。(そんな愛せる相手と出会うために、9までが必要)


なんか、見つかる気がする。出会える気がする。いま日々「引っ越してよかった」と心から思えるように、日々「一緒になってよかった」と思えるパートナーに。出会うと、決めた。

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