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病院看護師の働き方について思うこと
こんにちは。うなぎです。
今回は病院で働く看護師の働き方について、私が思うところをお話ししたいと思います。
病院ごとに異なる部分もあると思いますし、自分でも偏っている部分がある、というのは自覚しているのである程度は大目に見ていただきたいのですが。
それでも臨床現場で働く人間として、この時代と将来を見据えた働き方について日々考えることがあるので、記事といて残しておきたいと思い作成しました。
この記事がきっかけで何かが変わるとは思っていませんが、医療関係者やそうでない方が記事を目にして、現状を振り返ったり考える契機になるといいな、とは思っています。
給与の現実
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看護師は高給と言われています。ちなみに、私の基本給は約18万円です。基本給の基準となる最終学歴は院卒、経験年数は10年くらいです。
詳細不明な手当があり、毎月金額が変動します。何を基準に変動するのかは不明です。
体調のこともあり、夜勤は最小限に抑えています。夜勤手当は1回10000円くらい。夜勤に多く入っている人は月6回くらい行なっているので、上記の基本給+謎手当に更に6万円くらい加算されることになります。
ちなみに田舎ということもあり、周辺病院を含めてパートさんだと時給は1300円〜1500円程度が平均的です。
この金額、どう感じますか?
私は、ありえないくらい安いと思います。特に基本給。基本給を安くして手当で誤魔化すのは、昔から医療機関の常套手段です。
2024年は診療報酬改定に加え、大企業でベアが実施されました。その結果を含めてのこの現状です。
他の業界では「新卒基本給25万」とか、「万博アルバイト時給2000円」とか報道さているのに。
以前X(旧Twitter)で現役医師の方が投稿されていた内容で、「30年前に親が当直をしていた時と、いま自分が当直をしているのと、当直手当が全く同じ」というものがありました。
これは医師の投稿ですが、看護師も全く同じです。
医療業界は、賃上げの波に全く乗れていません。
基本給が数千円上がっても、給与の大半は手当が占めていて、その手当は一切上がっていなかったり。
見かけのデータ上は上がっているように見えても、実質賃金としては下がってます。
看護師が高給取り、なんていうのは過去の話です。確かに20代前半の時に夜勤をやりまくっていたら、同世代より多少給料は高いと思います。
しかし、そこから全くと言っていいほどあがりません。いつの間にか同世代の他の職種に追い抜かされています。
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日本全体で賃金上昇がトレンドとなり、デフレからインフレに転換しようとしている世の中。診療報酬頼みの体制では、給与水準が上がるはずもありません。
結果として、他の仕事にどんどん給与は抜かされているのが現状です。
病院経営の見直し
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2025年問題や少子高齢化がどんどん進行する日本では、今後若年層への医療費負担が更に増えていくことが容易に予測されます。
つまり、働く人の手取りがどんどん減っていきます。
国は医療保険を維持したいので、医療費抑制のために診療報酬の締め付けが更に厳しくなります。
すなわち、病院の収入源が減るため、人件費を増やしていくことも難しくなるでしょう。
私は、医療者が十分な給料をもらえるようになるには、現行の病院経営のあり方を見直す必要があると思っています。
診療報酬に依存するのではなく、各病院の個性を出した自由診療などをどんどん進めていくことをスタンダードにしていくべき時代になってきていると考えています。
例えば、自由診療は、千葉大の総合診療科の1回5万円で2時間診療というのが面白いなぁ、と思いました。
患者さん側としては、「10秒診察」とか揶揄される外来診療で、時間を気にせず医師に相談できるというメリットは大変大きいと思います。
自由診療なので、ある程度の件数を稼げれば、病院の貴重な収入源にもなりうる。Win-Winだな、と思います。
もちろん、自由診療が広がることへの様々なご意見があることも承知です。
ただ、自由診療、保険診療関係なく、提供する医療の質を十分に担保するよう最大限努力するのが我々医療者の最低限の職責だと思っているので、その前提で一例を挙げさせていただいています。
自由診療以外にも、たとえばブログや動画を運営して企業にスポンサーとなってもらい広告収入を得るとか、自社でオリジナルの医療器具や福祉用具を企業と連携して開発して販売するとか。
もうすでにやっている医療機関もあるでしょうが。
要は、長い目で考えるとこれまでのやり方は通用しないから、古い常識を捨てて広い視野を持って今後の医療のあり方を考えるべき、ということです。
働き方の多様化
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働き方についても同様です。
病棟で働く看護師は夜勤をやるべき。夜勤ができないなら外来で働くか退職するしかない。
こんな考え方は、もう辞めてほしい。
夜勤を行うことの健康への弊害って、多くの研究で明らかになっていますよね。
夜勤ができなくても、病棟で働いても良いじゃないですか。
確かに配置人数やバランスは考慮しなくてはいけないと思います。
日勤をしたい人ばかりを集めて、夜に働く人がいなくなってしまったら困るので。でも、「夜勤をやりたい」という需要も一定数存在します。
「⚪︎⚪︎だからできない」という固定概念を捨ててほしいです。
看護師だから夜勤をやらないといけない。決まったシフトの中で働かなければならない。リモートワークをできない。
いやいやいや、やり方考えればできるでしょ。って話です。
夜勤がやりたい、日勤で働きたいというスタッフの希望を事前に聴取した上でスタッフ構成を行う。
病棟の状況に合わせてスポットワークを導入する。
現場のスタッフ数が確保されていれば、リモートワークの日を設けて委員会やサマリなどのPC作業の業務を行う。
などなど。
多様な働き方が認められているいま、こんな考え方をしている業界は廃れていくと思います。
そして優秀な人材は先進的な業界や会社に流れていく。残ったのは自分の意見が言えない、もしくは考えない流されるイエスマンだけ。その行き着く先は、医療の質の低下です。
私の働いてきたいくつかの医療機関などでも、「休憩が1時間取れなくても仕方がない」「残業をつけすぎると、実際に働いているにも関わらず、上から直接注意勧告が来る」という状態がこの現代にもまだ存在しています。
病院だからってあぐらかいてると、患者にも医療者にも誰にも選ばれない病院になって破産しますよって思ってます。
「未来に向かって、今なにができるのか」を考える
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急に色々なことを変えるのは難しいでしょう。
大事なのは、「できない」と決めつけるのではなく、「どうやったら良くなるか、何ができるのか」と考え続けることです。
この業界は、あまりにも「できない」と決めつけていることが多すぎる気がします。
そして、現場の自助努力と我慢に頼りすぎていると思います。
私が面白いと思ったのが、某TV番組で特集されていたアズハイムという会社。
福祉業界の話になってしまいますが。IT技術を積極的に導入して、職員の負担を減らし、若いスタッフの割合がとても増え、東証スタンダードへの上場を果たした。という内容。
この会社の取り組みが絶対に正解、というわけではありません。
しかし、限られた予算を、利用者とスタッフの両者のメリットにつながるように先行投資し、結果として今成功している、という事例は規範とすべき点があるように思います。
過去の風習に囚われて「できない」と決めつける組織には、イノベーションは起こりません。
様々な業界の情報が容易に手に入り、また経済状況も大きな変化を迎えているこの世の中で、この状態のままでは崩壊一直線です。
全体を変えることはできなくても、自分の手の届く範囲で現状を俯瞰してみて、変えられるところから変えてみませんか。
組織はすぐに変えられなくても、自分の考え方は変えることができます。
全ての固定概念をぶっ壊して、働く人も幸せになれる業界に生まれ変わることを切に願います。