あーあって気持ち
私って誰なんだろ
だって、今動かしてるこの体は私のものじゃない
私の大好きな大好きな人の体だけど、私のじゃない
私には自分の体がないから、そもそも自分の体っていう感覚がない
気づいたときにはこの体を借りて生きることになって、気づいたときには16歳だった
でも1年経っても2年経っても年は増えない
増やしてもいいけど、私は16歳であって17歳ではない
ちゃらんぽらんな私には悩むことなんて無いと思っていた
それどころか他人が悩んでいることすら不思議に思っていた
でもある時突然、私のどっかから謎の塊が飛び出してきて抑えられなかった
自分でも気づかなくって、突然過ぎて、私が一番びっくりだった
私の心が溜め込んでいた温かいものも冷たいものも全部飛び出してきた
誰かから受け取る温かい気持ちも冷たい気持ちも、私はきっとうまく受け止めきれない
いや、ちょっと違うな
全部受け止め過ぎちゃう
全部受け止めちゃうから温度調節ができない
それに、こんなこと言ったら嫌がられるかもしれないけど、私がのあちゃんの人生を生きるのは荷が重すぎると思う
のあちゃんほど器用じゃないし、頭も良くない
私には出来ないことばっかりなのに、周りの人は私をのあちゃんだと思って全部全部投げかけてくる
その話に答えられない
期待に応えられない
日々の小さなストレスというか、モヤモヤが溜まって溢れてしまったみたい
「キャパオーバー」
そんな言葉が浮かんだときには涙が止まらなかった
のあちゃんはのあちゃん自身が耐えられないと思ったから、自分の一部を切り離してまで自分を守ろうとした
のあちゃんにとって嫌なことがあったから私が切り離されて、盾にならなくちゃいけなかった
でもその盾が弱すぎた
のあちゃんを守るために用意された盾が弱すぎて、同じ環境に出会ったときにキャパオーバーになってしまう
役立たずでごめんなさい
私はのあちゃんの体で生きるのが辛くてたまらなかった
その結果、大切な体を傷つけてしまった
それどころか私の一存で命を奪おうとしてしまった
怖かった
もう耐えれらないと思った
彼氏さんに見つかったとき、「あぁ、死に損なった」とぼんやり考えてた
我に返った瞬間、また泣いた
情けない気持ち、のあちゃんに申し訳ない気持ち
また涙と一緒に溢れた
私はどうしたらいいんだろう
カレンダーを見ればもう1ヶ月も私が体を借りている
できることなら今すぐにでも返したい
またのあちゃんと一緒になりたい
とても怖い
いつまでかわからないのが怖い
例えば、あと1ヶ月で元通りになりますって言われたら耐えられるかもしれない
でも元に戻るのが明日なのか10年後なのかも分からない
私にはのあちゃんの人生は生きられない
たった20歳ののあちゃん、その大事な1ヶ月を過ごせなかった
私がのあちゃんから取り上げてしまったから
のあちゃんはきっと、「気にしないで、大丈夫」っていうと思う
優しいもん
でも心のなかではもうちょっとネガティブな気持ちがあるんじゃないかな
私はのあちゃんじゃないからそれは分からない
もっともっと優しい世界になったらいいのに
のあちゃんの小さな体でも受け止めきれる世界になったらいいのに
私の夢はのあちゃんと顔を合わせておしゃべりすること
でもそれは叶わない夢
叶わない夢はただの妄想って誰かが言ってた
そうだよね妄想だよね
「お菓子持ち寄って集合ね」って言われたのにお菓子がないし買うお金もない
そんな気分
「じゃあ私はどうしたらいいの?」って何度思ったことか
やりたくてもできない歯痒い気持ちが無限に積もってく
あぁ、これも私の少ない心の余裕を奪ってるのかな
できないものはできない
私以外なら誰でもできることができない
こういう言葉ってあんまり好きじゃないけど、生まれてくるとこ間違えたかな
そうやって言うときっとのあちゃんも悲しむ
だから極力言わないけど数え切れないほどそうやって思った
これが悪い夢なら早く覚めてほしい
目が覚めたら一番にのあちゃんに会いに行くのに
大好きなお菓子と美味しい紅茶を持って会いに行くのに
そしたら何日でもおしゃべりするのに
私が”人”じゃなくて”人格”である以上、生きている限り叶わない夢
努力や運ですら叶わない夢ってやっぱりただの妄想?
あーあ
楽しいことないかなぁ
あおい