「デリバリースーサイド2」〜作者の記録(3)〜
<「デリバリースーサイド」シリーズの原作者によるこぼれ話をお届けします>
「責任の取り方」について
先日、好きな劇団であるワンツーワークスさんの「善悪の彼岸」を観てきた。お客様の興味関心が近いかもしれないと思い、デリスー2のチラシを折り込ませていただいてもいた。
「死刑制度」がテーマのお芝居。
かたや「死刑」でかたや「自殺」。事象は違うけれど、劇中でも言及されていたのが、「責任の取り方」をいかに考えるか。ということ。
自殺に関する参考文献の中に、日本人は失敗を犯した時に「自責」として、ベクトルを内面に向け、「死んでお詫び」という方向に向かいがちだという文章があった。
ヨーロッパにおける「決闘」の考え方は「正しければ生き延びる。正しい者を神が生かすだろう」ということだとか。
内面・収縮に向かうか外面・発散に向かうかの違いがあり、そういった違いも、日本が高い自殺率となっている要因の一つかもしれない、という。
合理的に考えれば、起こってしまって取り返しのつかないことに関して、「自責」の結果、その原因となった人間が死に至ったところで、その事が解決するわけでも、誰が得をするわけでもない。
けれど日本人の間では「死んでお詫び」、(死刑については)「死んで詫びろ」という考え方がそこそこ支持される。
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ワンツーワークスの主宰・脚本の古城さんがアフタートークにて
「(芝居のために)死刑のことを調べると、あらゆることにつながっていることが分かる」といった主旨のことをおっしゃっていた。
これは自殺に関しても同じことが言える、とお話を聞きながら考えていた。
宗教・慣習についての民族・文化の違いや思想的な歴史、また自殺率の違いの原因となっている、天候・日照時間・気温などの地理的要因、自殺の後になされる不動産関係の手続き、金銭的なこと、法律などなど。
実際的なことから観念的なことまで、かなりの知識・勉強が必要だと実感した。
とはいえ生物が絶対に例外なく経験するのが「生死」であり、その大きなイベントについての事柄であるから、全てがそこにつながっているのは当然かもしれない。
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ところで、お母様の死(実話)という重い題材を扱いながら、楽しく心に響くマンガ書籍をご紹介させていただく。
現在上演中の映画「母さんがどんなに僕をきらいでも」の原作者、歌川たいじさんの描かれた続編「母の形見は借金地獄」。
(ご紹介しておいてすみません、今品切れ中のようです、、)
数年前にご本人から買わせていただいたもの(サイン&挿絵入り)。
お母様が事故に遭われ、残された借金の対応や、その死が自殺ではないと保険会社と裁判で戦う模様が描かれている。その過程で、自殺についても大変丁寧に言及されている。
「自殺ではない」ことを証明するために、自殺者について主人公が調べ始めるという場面がある(ネタバレしたらごめんなさい)。
様々な立場の人が登場するが、誰に対する眼差しも優しく公平で、内容だけ抜き出すと壮絶だが、笑える&涙する場面が多々。
おすすめの作品なので、機会があればぜひ。
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先ほど「生死」は生き物である限り、絶対に通り過ぎるビッグイベントであると書いた。そのためか、「死刑」も「自殺」も、それ自体を調べようとすると、ものすごく色々な分野につながっている、と。
「学びの欲求」は、生き物(人間)にとって、充実や・楽しさを感じるものだと思っている。
暗い・重いように感じられる演目も、視点を変えると、また出会い方によっては「楽しい」の引き金になるかもしれない。
もし「デリバリースーサイド2」がどなたかの、何かのきっかけの一つになってくだされば、幸いに思う。
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第2回 a-fiction m&h theater「デリバリースーサイド2」
【日程】2019年1月29日(火)〜2月3日(日)全10公演
【会場】八幡山ワーサルシアター(京王線八幡山駅より徒歩30秒)
[Introduction]
自殺者が増加した某国
法改正により新たなビジネスが生まれた
自殺の後始末を本人から請け負う専門業者
その名もデリバリースーサイド 通称DS〜ディーエス〜
[Story]
「私は自殺してません」
依頼人の自殺者が残した奇妙な書き置き
「過労死だ、会社に殺された」と兄がDSに援助を求めるが…
「デリバリースーサイド」シリーズ第2弾
◆
2017年秋に第1回を上演して好評を頂いた
ミステリー 「デリバリースーサイド」
DSの経営者黒木と助手の伊田、吾妻と吉良の刑事コンビも再登場
新たな出演者と共に、シリーズ第2弾をお届けします
演出 赤星ユウ (レティクル東京座)
原作・脚本 菅原愛 (a-fiction)
【出演】
五十嵐啓輔(和奏AGENCY)、 中三川雄介(レティクル東京座)、田邊俊喜、
山本沙和(レティクル東京座)、 兎美心(REVE INNOVATION)、
長野耕士、 音羽美可子、大橋篤、
松山コウ(劇団C2)、ハズレKUJI(阪口拓嗣:ボクらの罪団)、
エスムラルダ、森友樹(和奏AGENCY)、
城田さおり、えみかん、卯木祐矢(劇団わたあめ工場)
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