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2025年に読んだ本の感想たち

この記事では私が2025年に読んだ本の感想を簡単に紹介していきます。
一記事ごとにすると面倒ですぐ止めるので全部まとめる。
番号振っておけば年間何冊読んだかわかる。
これで一年続けば天才的な意思決定だったと自分を褒めたい。
続かなくても仕方ない。
順番は適当。2024年の年末に読んだやつも、せっかくなので入れておく。

1. コンピュータどうやってつくったんですか?

知識がない人にも読みやすい本。
エジプト数字とアラビア数字の比較から始まっているのが面白い。
論理回路の説明が特に丁寧に感じた。
二進数、論理回路、半加算器、全加算器、CPUのざっくりとした仕組みや歴史がわかる本。

2. 半農半林で暮らしを立てる

28歳くらいの時に新潟に移住し、米作りを始めた人の本。
米作りってなかなか儲からないのだなあという気持ちになった。
移住してちゃんと暮らしを立てて、お子さんも育てているのすごい。
ところどころで思想の強さを感じる。
信念があって、節制を心がければ人生どうとでもなるかもなと思った。

3. 夢の我が家をセルフビルド

2×4工法という屋根の重さを柱ではなく壁で支える工法で自分で家を作れるよという本。
もしかしたらできるかもという気持ちにさせてくれる。
今まで全くわからなかった家の作り方のイメージができる。
この本だと基礎を作る、壁を作って、屋根つけて、外装工事、内装工事、設備工事して完成みたいな感じだろうか。
自分でできる部分と難しい部分が少しわかった。
第二種電気工事士は持っておいて損はないかもと思った。

4. 自分でわが家を作る本

岩手の方で2×4工法よりも難しいとされる木造軸組工法(在来工法)を使ってセルフビルドした人の本。
読んでいてこの人は凄すぎて真似できないと思った。
基礎工事すら自分でやってしまっていた。
家を支える柱の凹凸部分を自分で掘ったりするのも、思ったより簡単と書かれていた気がするが全くそうは思えなかった。
ただ後書きに書かれていた記述は感銘を受けた。
2×4工法だと外来の木材で、在来工法でもあらかじめ乾燥させている気は外来が多い。
そんな状況に疑問を感じ、無垢材を使って柱を立てて乾燥させながら立てた。
上記のようなことが書かれており、その思いもすごいなと思った。

5. インターネットの基礎

眠くて流し読みしてしまったが、良いこと書いてあった気がする。
インターネットがどのようにして広まったのか。
ARPANETから始まり、大学間のネットワークになり、TCP/IPプロトコルが採用され、ハイパーリンクやHTTP、URL、HTMLなどの特徴を持つWWWの出現。流れを俯瞰できた気がする。
1990年代のWindows95くらいまでは、個人の活用もそんなにメジャーじゃなかったのかなと感じた。
親父がWindows95持っていたの結構当時は先端をいってたのかな。
IPアドレスが枯渇しそうになって、IPv7が提案されたけどなんか反対にあって、組織形態変わったIPv6になったみたいのも知らなかった。
プロバイダができる前の申し込み口に開設申し込みが殺到していた話とか、IIJが日本での本格的なインターネットサービスプロバイダになろうとしたけど資本金1000万円じゃ少なすぎると言われた話も印象的だった。
NAT(プライベートアドレスとグローバルアドレスの変換)によってIPv4アドレスの枯渇問題の緩和の助け+プライベートアドレスが直接見えないので外部からの不正アクセスがある程度防げるみたいな話もそうだなあと思って見ていた。

6. 一度読んだら絶対に忘れない地理の教科書

特に最初の方が面白かった。
赤道付近のあたたかい所では空気が熱されて上に行くので低気圧になる。
その周りは上昇した空気が冷却されて下降するの高気圧になる。
極付近の冷たい空気は下降する。
上記のような感じで低気圧帯と高気圧帯は交互に現れる。
コリオリの力で風が曲がるので風は右に曲がる。
高気圧から低気圧に向かって風は吹く。
暖流は低緯度から高緯度に向かって吹く風によって運ばれる。
寒流は高緯度から低緯度に向かって吹く風によって運ばれる。
大陸は熱されやすく、冷めやすい。よって気温差が激しくなりがち。
海は熱されにくく、冷めにくい。よって気温差が穏やかになりがち。

日本の気温の地図とか見ていると確かに、海の近く、暖流の近くというのは平均気温が高かったり、温度の変化が緩やかになっている。
あとは小さめの島が暖かいのも海に囲まれているからなのかなと思った。

7. 銃・病原菌・鉄 上

なぜ現在の欧米中心の世界になったのか。
なぜ南米は欧米ほど豊かでないのかを人類史的な側面から解き明かそうとする本。
長いしなかなか読むのが難しいと思うので、YouTubeなどで事前知識を身につけてからの方が良さそう。
内容としてはユーラシア大陸は横に長いので栽培技術の伝達速度が速かった。気候の差が少ないため。南米大陸は縦に長いので、ある場所では育つ植物が違う場所では育たないということがよくある。
上記により、農耕社会への移行が早く多くの人口を養うことができた。
そしてユーラシア大陸の方が家畜化できる動物も多かった。
故に家畜からの伝染病の抗体を早く獲得するに至った。
これがスペインが大航海時代に南米大陸の帝国を侵略した際に役立った。
現地の抗体がない人はどんどん疫病にかかって、弱るがスペイン人たちは元気だった。これが少人数のスペイン側が帝国に打ち勝てた理由である。
おおよそ要約するとこんな感じだと思う。上巻では病原菌については触れられているけど、鉄や銃についてはあまり書かれていない気がする。これが下巻で解き明かされるのかな。
ここから得られる教訓は、大事なのは能力ではなく環境であるということになるのかも。

8. 銃・病原菌・鉄 下

結論として下巻のエピローグを読めばこの本の結論というか言いたいことはわかると思う。
どうしても記述が冗長に感じた。
あと病原菌の影響が一番大きいという結論だと思うので、タイトルに違和感を感じる。
ヨーロッパの人々が南米を侵略した時に、鉄器や銃が役に立ったのは当たり前のことなので、タイトルは病原菌だけでも良かったのではないだろうか。

9. データ指向アプリケーションデザイン

現在のアプリケーション開発の中で中心に置いて考えるべきはデータだとして色々な解決策を書いてくれている本。
RDB、NoSQL、OLTP、OLAP、パーセンタイル、信頼性、可用性、インデックス、シャーディング、レプリケーション、バッチ処理、ストリーム処理などについて理解が深まる。
普段そこまで大きな規模のアプリケーション開発を行わない人が、そのギャップを埋めるのに良いのではないかと思う。
前も流し読みしたがだいぶ忘れている。
何回か読み返すことで理解が深まると思う。
でも読むのにかなり苦労した。これのレベルをいくつか下げた本があればいいのに。
ストリーム処理のところは、自分の知識があまりないのもありちゃんと理解できていない。

10. 350万円で自分の家をつくる

自分でわが家を作る本を読んだ後だからか、簡単に感じた。
この本で建てた家は平屋で、できるだけシンプルに作ろうというコンセプトだったのが気に入った。
木造軸組工法なのは自分でわが家を作る本と一緒。
とはいえ著者は一級建築士で、特に設計の部分には精通していると思うので、完全な素人にはハードルが高いことは確かである。
それでも建てるまでの流れを一通り把握できて、時間をかければできるのはないかと思わせてくれるのは貴重な本だと思った。
なお昨今の建材価格の上昇で350万円というのは難しいと思われる。

11. ネットワークはなぜ繋がるのか

ブラウザにURLを入れてアクセスしてから、ページが表示されるまでに何が起きているのかがわかる本。
いい本だが完全な初心者が、この本を見て完全に理解するのはかなり難しいと思う。
それでもDNSを使って名前解決をしているとか、パケットとは何かとか、ファイヤウォールは一般的にどんなふうに望ましくないアクセスをブロックするのか、CDNとは何かといったことが分かると思う。
自分は特にクライアントとサーバーを繋ぐインターネットの中心(プロバイダなど)に関する知識が弱いと感じた。

12. 小さくて強い農業をつくる

慶應を出て、帝人を辞め有機農業を始めた人の本。
筆者の考えであったり、行動理念に少し自分と近いものを感じた。
とはいえこういった考えは誰しも持っていて、それを実際に行動に移すか移さないかというだけの話だと思う。
序盤の章は苦しんだことが多く書かれていて、読んでいて暗い気持ちになった。
後半は実際の農業の様子やITの活用について書かれており、農業の泥臭さ、大変さについても描かれていたように思える。
感覚ではなくマニュアルやデータに残すということの大切さを改めて感じた。

13. サーキット・スイッチャー

都知事に立候補した、起業家とAI作家の顔を併せ持つ安野貴博さんの著作。
どんなものかと思ってみてみたら、思った以上に面白く気づいたら読み終えていた。
エンジニアでなくても楽しめるが、エンジニアならよりわかる部分もあると思う。
かなり近い未来の話で後数年でこんな世界になるかもと思えるのが面白い。
舞台が遠くない未来なのもチャレンジングだと思う。
エンジニアだけでなく作家としての腕前も高いと感じた。
最近は全然小説を読まないが、もっと読みたいなと思った。

14. あやうく一生懸命生きるところだった

韓国のイラストレーターの方のエッセイ。
そんなに頑張って生きなくても良いんじゃないのというメッセージが一貫している。
別に自分の周りの事象が変化するわけではないけれど、不思議と心は軽くなる良い本だと思う。
世間の普通という幻想や自分を過大評価しすぎる幻想を捨てて、リラックスして生きようということだと受け取った。
翻訳のおかげもあるがゆるい文体にクスッとする。

15. 働かない勇気

Amazonでたまたま見つけて読んでみた。
嫌われる勇気のパロディぽく、それっぽい言い回しが随所に見られる。
これ訴えられたりしないんだろうか。
内容は面白く、現代は過剰生産に陥っており、政治活動のようないわゆるブルシットジョブが蔓延している。
ベーシックインカムの導入により、働かないという自由を得ることができ、上記の状態から脱却できるというものである。
お金の発明は個人が怠惰なこと、つまり借りを返さないことを前提としているという記述は確かにと思った。
ハイライトした言葉をいくつか引用しておく。

「他者から強制される不快な営み」を労働と定義しています

働かない勇気

よって自分の意思で猛烈に働くサラリーマンや経営者のしていることは労働ではないとしています。

人は自由を恐れているのではなく、評価を恐れている

働かない勇気

ベーシックインカムにより最低限の生活が安定すれば、評価を恐れずに人が生きることができるようになると解いています。

役に立つことを自分の意思で行いたいという欲望

働かない勇気

人間には上記のような欲望が備わっていると書いています。


16. 14歳からのアンチワーク哲学

働かない勇気と同じ作者の本。
上記と同じ主張の繰り返しではあるが、ストーリーがあることで面白くなっていると思う。
哲学と書かれているだけに常識を疑うことを教えてくれる。
労働とお金はあまりにも現代社会において当たり前だとされているが、そこを疑ってみるというのは天動説が当たり前の時代に地動説を提唱するくらい難しいだろう。
大学生の時にお金が不要な世界、もしくは人々がお金を貯め込まない世界(経済学者シルビオ・ゲゼルが提唱する減価する貨幣を使うなど)というのを考えてみたがなかなか難しかった。
この本はいくらでも反論はあるだろうが、論旨もしっかりとしていてきちんと主張をまとめられていると言う点で面白いと思う。
無料で公開されているのもありがたい。

17. 世界で一番くわしい木造住宅

地盤、基礎、構造、屋根、外壁、内装、設備、外構など土地から木造住宅を建てるまでのプロセスが順を追って書かれている。
この本を読むことで、木造住宅を建てる際の手順の概要が頭に入ると思う。
自分が既に木造住宅に関する本を数冊読んだからかもしれないが、この本は図も多く使われていて、サイズも大きいので読みやすいと感じる。
2022年と出版年も比較的新しいので、木造建築に関する本で一冊選ぶならこの本は良いのではないかと思う。
全く知識がないところからだと知らない言葉が多く出てくると思うのでChatGPTなどで適宜調べながら読む必要はあると感じた。


18. モバイルハウス 三万円で家をつくる

ここ数年で読んだ本で1番衝撃を受けたかもしれない。
なぜこの人を知らなかったのだろう。
図書館で何の気なしに取った本だが、めちゃくちゃ良かった。
ホームセンターで買った材料で家を建ててしまうと言う本。
トイレもガスも電気も通っていないが、インフラがある程度あるところなら確かに暮らしていけそうだと感じた。
もちろん安心して住めるかと言うと別問題なのだが、何千万円も掛けて家を買うしかないと言う常識から抜け出す道を示してくれている。
この著者の他の本も読みたいと思った。
お金が掛かり解体時が大変な、基礎がなくても作れると言うのも大いに気に入った。
セルフビルドで問題となる点をまずは小さく始めろと言ってくれているように感じた。

19. TOKYO0円ハウス0円生活

上と同じ作者の本。
こちらは隅田川に家を作っているホームレスの方の家に焦点を当てたもの。
今はもうないかもしれないが実際の土地に行ってみたくなった。
分解できる家や拾ったものだけで生活を成り立たせる様は、現代の遊牧民や狩猟採集民を彷彿とさせる。

20. 独立国家の作り方

上と同じ作者の本。
他の本と思想は同じところにある。
土地所有システムに対する疑問と、その中でどのように生き延びていくのか。
自殺者を0にしたいというのはなかなか壮大だが、生活コストが下がれば経済問題で自殺する人は確実に減ると思うので、良いアプローチだと思った。
今は多分本に書いて会った0円特区はやっていないのかな?
10年以上経っているから仕方がないが、残念には思う。

21. 軽バン生活

軽バンをDIYして車中泊で日本一周している人の体験記的な話。
思ったよりも本格的だった。
YouTubeにも投稿しており、しっかりと仕事として成り立たせている印象。
後半は観光地の紹介のようになっていたが、参考になる部分もあったと思う。


22. 年収300万掃除夫だった僕が7億円貯めた方法

Xで見たことがある人の本。
相場歴は長く、特に最初の方はギャンブルのようなトレードが多かったようで、読んでいて面白かった。
自分は信用は使わないことにしているので、その部分はマネできないが、配当株や優待株、業績が伸びている銘柄群でしっかりとした土台を作って、自信がある銘柄の比重を高くするという点は参考にできそうだと感じた。


23. 虐殺器官

SFの小説。SNSで見て面白そうと思って読んでみた。
世界で起こる大量虐殺がある言語学者の紡ぐ言葉によって引き起こされていた的な話。
結構描写がグロくて憂鬱な気分になるかも。
面白く読んだが、驚きとかは少なかったかも。
でも最後はそうくるかという感じだった。
作者の人が早くして亡くなってしまったのが印象的。


24. 反応しない練習

昔読んだことがあったので再読。
何か一つ本をおすすめしろと言われたら、これをおすすめするかもしれない。
苦しみは人と比べたり、まだ足りないと思うなどの心の反応から生じるとして、そういった妄想に反応しないで生きようという趣旨の本。
心が軽くなるし、日常でも実践しやすいと思う。
日が経つと忘れていってしまうので、間をおいて何回も読み直したい。


25. 隠された奴隷制

現在の資本主義は隠された奴隷制であり、それは過去のプランテーションに見られる奴隷制が形を変えたものであるみたいな結構大胆な主張の本。
途中は飛ばしてしまったが5, 6章はかなり興味深く読んだ。

自己啓発という名の教育コストや責任の労働者側への転嫁や、過労自殺した人の日記などが5章にはあり、日記の述懐は読んでいて辛かった。

6章で印象に残ったのは贈与=負債であり、それは奴隷制につながるものであるという記述や奴隷とはコンテキストから切り離されて一定の基準で売り買いされる人間のことであるといった記述だった。
確かにごく親しい間柄であれば、自分のできるところで貢献してあまり貸し借りなどは考えずに生活を成り立たせることはできると思う。
しかし誰も知っている人がいない土地で、1から生活を送るときには貸し借りの概念は非常に重要であり、現代であれば賃労働をすることが一番現実的な選択肢となるだろう。

企業に対する交渉力は労働組合などがなくなるといった観点では小さくなっているとも思うが、一方で最近の初任給は上昇傾向にあるといったニュースを見る限り、単純な需給関係において供給が絞られているからそれが一種の交渉力になっており強まっていると見ることもできる。

自らが労働者として働く時も適度に自分の置かれる環境を向上させる努力は続けようと思う一冊だった。

26. 自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ

山奥の土地を買って小さな小屋を建てて暮らしている人の本。
なんと東大出身らしい。
現実的かはおいておいて、彼はやっているようだしかかる費用も小さいので肩の力が抜ける本。
まずはこのような環境を作り上げてから、自分が普通に色々お金をかけて生活を豪華にしたり、娯楽を楽しみたいか考えるのが良い気がする。
その選択肢もなく、生活費がかさむからと週5で働き続ける必要があり、まともに貯金もできないという状況はかなり良くないと思った。
機会があれば自分も人生のどこかでこういう暮らしをしてみたい。


27. スモールハウス

上の著者と同じ作者の本。
こちらは海外で小さい家を建てて暮らしている人の事例集のような感じ。
ここのところ読んだ本と同様に、なぜ人は何千万もする家を買ってそのローンの返済の労働に人生において多くの時間を費やしてしまうのだろうという疑問を提起してくれる。
海外ではあるものの数人の事例を紹介してくれるので、より具体性を持って考えることができるかも。

28. 次の時代を先に生きる

池袋でバーをやりながら2拠点生活をしていたが、匝瑳市に移り住んで米や野菜を作りながら良い感じに生きていそうな人の本。
確かに低コストの住宅と自作した食べ物があれば、あまりお金を稼がなくてもゆるく生きていけそうだと思った。
内容の一部は少し極端な気もするが、自分の生活に取り入れられる部分はありそう。
AIによるホワイトワーカーの駆逐が始まりそうな現代において、ヒントをくれそうな本。


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