湿潤療法(モイストヒーリング)

湿潤療法について

湿潤療法とは

湿潤療法とは、自然治癒力を活かした、「傷口をしっかり覆い、滲出液を保つことできれいに治す」という考え方です。
軽度の火傷や切り傷、傷が深くない擦過傷などが湿潤療法に向いています。

湿潤療法の主なメリット

① 乾燥させず、神経への刺激も抑えられるため、痛みが出にくい
②傷口から出る滲出液(ジュクジュクしたような体液)を保つため、早く治る
※滲出液…細胞の成長や再生を促す「キズを治す」成分が含まれています。乾燥すると滲出液に含まれる細胞が死滅し、治りが遅くなってしまいます。
③傷痕が残りやすいカサブタを作らないのできれいに治る

湿潤療法に不向きな傷や状態

・傷口を洗っても異物が取り除けない場合
・出血が止まらない場合
・異物が深く刺さっている場合
・ギザギザに裂けたような傷
・虫などに刺された傷
・動物に噛まれた傷
・化膿や細菌感染の可能性がある傷
など

湿潤治療のやり方

① 傷口を保護するまでの処置
軽い火傷の場合は、保冷剤や氷で数十分冷やします。患部に水疱ができたり、皮膚が破れて赤くただれている場合は医療機関を受診しましょう。
出血している場合は、患部に滅菌ガーゼなどを被せ、その上から圧迫して止血します。
傷口に泥や砂などの異物がある場合は、水道水で異物を除去するように洗い流します。この時に異物が残ると、後に化膿や細菌感染を引き起こす原因になってしまいます。傷口をきれいな状態にできれば、悪さをする菌はいなくなります。
消毒液は傷を治すための細胞を壊し、治りも悪くなるので用いません。完全に殺菌することができず、正常な細胞を壊すことでむしろ細菌が増えることもあります。

② 傷口を保護する
傷口が綺麗な状態になったら、キズパワーパッド等のハイドロコロイド素材の保護パッドを貼ります。
ガーゼですと、滲出液を吸い取って乾燥してしまったり、繊維が傷口にくっついて剥がす際に痛みを伴うことがあるので使用はお勧めしません。
手元に保護パッドがない場合は、ラップを代用して傷口を覆う方法でもOKです。(ワセリンがある場合は傷口に塗ってからラップをすると痛みが緩和されます)。
ラップを使う際は、滲出液が漏れ出るくらいの緩い固定で大丈夫です。皮膚との隙間なくピッタリ固定すると、蒸れてかぶれることがあるので注意が必要です。

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漏れ出た滲出液を吸い取るために、ラップの上からガーゼ等で覆うことも必要に応じて行います。

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最初の数日は毎日流水で傷口を洗い、保護パッドも交換することが必要です。滲出液が多くてパッドから漏れ出てしまう場合は、都度貼り替えましょう。
通常の滲出液は透明または血液の混じったサラサラしたものですが、化膿すると黄色や茶色のドロドロした異臭を伴う膿が出ます。この膿と、後述する③の”感染を疑う場合”の症状が出ている場合は、感染症を引き起こしている可能性があるため、医療機関を受診しましょう。

③ 医療機関受診の目安
・傷口の汚れがひどく洗浄しきれない場合
・傷口が広い(前腕・すね全体ほどの)場合や深い(皮下組織まで達する)場合
・不衛生な場所やモノ(錆びた刃物など)で怪我をした場合
・中程度以上の火傷…患部に水疱ができたり、皮膚が破れて赤くただれている場合
・感染を疑う場合(キズ周りが赤く腫れる・熱感がある・発熱・時間を追うごとに腫れが悪化する)
感染症の一例としては、蜂窩織炎、MRSA、など。
▽MRSAの症状…患部の赤み、腫れ、痛み。重症化すると発熱や低体温、頻脈、低血圧など
▽蜂窩織炎の症状…炎症を起こして赤く腫れる。リンパ浮腫や膿を持ち、発熱や悪寒など。
以上の場合や不安な場合は医療機関を受診しましょう。

質問などありましたら、コメントを頂けると幸いです。

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