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#時空の輪廻転生物語 第Ⅸ章第92節


今回の解説は長めになるかと思いますので、時間がある時にお読みいただければと思います。


ただし結構コアな解説になってしまう可能性がありますので、読み流してくださっても構いません。


(この年末の時期に、なかなか鬱々としたストーリー内容で申し訳ありません m(_ _)m)




今節に出てきたメインの宇宙生命であるネアデルタは、クトゥルフ神話の中でもかなり有名な【ニャルラトホテプ】という邪神をモデルにしています。


ニャルラトホテプは千の貌(かお)を持つとされ、その力を以ってありとあらゆる歴史に干渉してきたとされていますが、その実、彼に真の顔というものなど存在していないのだとか(それでいて常に嘲笑している)。


第89節の「無貌の民」というタイトルも、ニャルラトホテプの仮の姿の内の一つ「無貌の神」から取っています。


ラブクラフトもまさに「ニャルラトホテプ」というタイトルの混沌とした短編小説を書いていますが、クトゥルフ神話におけるトリックスター的な立ち位置にいる厄介な存在ですね。


あと前節の表紙絵で神護の胸に刺さっている石は【輝くトラペゾヘドロン】というニャルラトホテプにゆかりのある多面体の宝石をモデルにしています。


トラペゾヘドロンは「闇をさまようもの」というラブクラフトの小説に出てくるアイテムで、簡単に言うとニャルラトホテプを召喚する道具のようなものです。


(余談ですが、noteを始めてからさほど経たない頃に描いた「禍」という抽象画は、ニャルラトホテプをイメージして描いたものです。


 そして時空物語の正編を投稿し始める直前に描いた「果」という抽象画は、実は陰陽五行思想に関係あるイメージを持った絵だったりします(この抽象画の解説には「あまり深く考えていません」などと書いてはおりましたが…。)




ネアデルタは第77節にひっそりと出ておりまして、ルナリーセが戦った相手が実はネアデルタだったわけですね。


ここでルナリーセが「貴方には顔なんて無かった」と言っている事により、話し相手がネアデルタだと後で分かるようになっています。


ルナリーセとネアデルタの間の章に、先にネージレットが出ていたわけですが、ネアデルタは戦いに敗れたルナリーセをネージレットに食わせていたわけです。


ネージレットのモデルはクトゥルフの娘と言われている「クティーラ」という邪神で、この存在に「アトゥ」というネアデルタ(というかニャルラトホテプ)の仮の姿の一つの特徴を持たせる事で、ネアデルタがネージレットに力を与えたような構成にしています。


(クティーラはブライアン・ラムレイの著『タイタス・クロウの帰還』で言及された邪神であり、ラブクラフトのオリジナルでは無いようです。


 そもそも、ラブクラフト自身に「邪神」という単語の認識があったかどうかも不明ですが。)


一方のアトゥは枯れた巨木のような姿をしているのですが、その所々に鉱石のような煌めきを持ち、人々に崇拝されているという設定を持った邪神であるので、ネージレットもそれに少し近付けたような見た目の雰囲気にしています。


第81節で神護がネージレットを倒した際、結果的に宇宙生命達の力を一つに集約し、潜在的にその身に秘める事となってしまったという事は、(第86節以降)ネアデルタがところどころで言及していますね。




神護がティアの中心部に向かう際に使っている金属というのは、かつて屋久島(虹野島のモデル)で採れていたタングステンの事で、金属の単体では常圧における融点が最も高く3380度(前後に諸説あり)程とされています(沸点は5555度)。


(タングステンに関しましては、正編第29節辺りでも少し解説しております。)


しかし仮に太陽の中心部の熱(1600万度、表面部は6000度)を参考にすると、そんな温度に耐え切れるはずないので、ティアの中心部に到着した時点(よりもだいぶ前の方から)で、神護は既に魂だけの存在になっていると考えられます。


聖が神護に関して何よりも恐れていたのは、こういう状況(神護の身に危険が迫る、もしくは自分の手の届かない場所に行ってしまう)だったのでしょう。


そして神護に最後の願いを託された地球の化身さんでしたが、その託された言葉は敢えて伝えないにしてしまったようです。


多分それを伝えると聖の心が完全に壊れてしまうだろうという判断で、いずれにしてもそんな言葉聞きたくないだろうからというところですかね。


その代わりというわけではありませんが、聖を無事に現実世界に戻してあげてほしいというお願いは聞いてくれています。




最後に、本文中に乗せられなかった「金星」についての解説を少しだけ。


(この惑星についての解説は、今まで本文中に書いてきたのですが、やはり解説の方に移動させても良かったよなぁ…と少し考えているところです。)


金星は地球の双子星と呼ばれる程よく似ている惑星で、地球よりも少しだけ太陽に近い位置に存在し、地球とほぼ同じ大きさ(金星の方が少しだけ小さい)で、衛星も輪っかも無く、平均気温は470度との事。


地球との大きな違いは気温もそうですが、気圧の高い濃硫酸の大気が渦巻く天体であり、硫酸の雨が降る(地表に到達する前に蒸発してしまうようですが)危険な星であるという部分でしょうか。


(余談ですが、天王星と海王星ではダイヤモンドの雨が降るのだとか…怖いですね;)




年内は、第Ⅸ章の終わりとなる次節までで一旦投稿を区切らせていただきます。


年末のご挨拶は、また明後日させていただく予定です。


今回も、ご愛読いただき誠にありがとうございます m(_ _)m








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東南浅葱@夢と絵と物語に関する記録
中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。