会いたかった
僕はいつも待っていた
公園の片隅の大きな木の下で
冷たい雨が
暖かい雨になっても
僕は君を待っていた
小さな子が走り回る公園の片隅で
風に揺られながら
小さな子をみながら
君も元気な子で
よく走り回っていたね
よく転んで泣いていたね
大好きな怪獣をよく見せてくれたね
元気かい?
僕の身体は錆び付いて
動くたびにぎぃぎぃとなるんだ
君は幾つになったかな
寂しくて泣いたりしていないかい
ある晴れた午後
小さな男の子が駆け寄ってきて
僕に触れた
にっこり笑顔
見覚えのある笑顔
おとうさーん
その子が叫ぶと
ニコニコ笑顔の背の高い男の人がやって来た
あの子だ!
あの子がきてくれたんだ!
軋む体をギシギシ揺らし
僕の心は弾み出した
僕は
また
あの子に会えた
あの子は
いつのまにか
お父さんになっていた
嬉しかった
あの子に会えたこと
あの子が
あの時のあの子のような子供を
つれて来てくれた事
「おとうさん、大好きだったんだ」
嬉しそうに
楽しそうに
あの子が笑ってくれたこと
嬉しくて
楽しくて
ギーギーの声が出てた
あの子の子供も笑ってた
「すごい音だね」って
僕は歌った
ギーギー、ギシギシ
僕が歌うと
小さな子も歌った
ギーギー、ギシギシ
僕と小さな子の唄が
公園中に響き渡った