復活戦日記＊11月９日

骨折した右手の指がスムーズに動くようになった。
物を挟んでおくとか小さなタオルを掬うとかができるので、
少しばかり世界が広がる。
いつも参加するマガジンの投稿はできなかった。
考える、という断片的な作業は出来ても、
考えることをまとめるという全体を作る作業は、
痛みを楽しめるマゾヒズム要素がないと無理だ。

それにしても「ただ暮らす職人」でいるためには、
道具というものが一番大事だと知った。

まずハサミが使えない。
軽い尖ったペティナイフが重宝したが、
コーヒースティックを切りたいが切れない。
いくつかのお土産菓子の包装が切れない。
全体に力をかけないとハサミと言うものは、その能力を発揮できない。
痛くて、左手ですらマシュマロを掴む程度の握力だ。
ハタとひらめいたのは眉ばさみ。
化粧という高度な作業はすでに諦めた。
このままごとのような極小サイズのハサミは、
魔法のようにビニールを歪めず、切ってくれる。
東京ばななもリッツもでん六の好きです北海の味も、
夢見たように私の口に入るようになった。

毎年寒くなると、綺麗な絵柄のニベア缶が発売されるので、
つい買ってしまうが、花王さんに感謝したい。
ハンドクリームは、朝はニベア、携帯には匂いを楽しめる各種チューブ、
寝る前はちゃんとしたお手入れタイプを使う。
化粧水はアベンヌのスプレーにすがるしかないが、
問題はその後の保湿だ。
アベンヌもケイ素でシールドを作ってくれるらしいが、
どちらかと言えば乾燥肌なので物足りない。
プッシュ式の美容液はあごかひじか、足でプッシュするしかない。
足のプッシュは楽そうだが、いくら体が柔らかめでも筋肉痛が邪魔して、
左手で美容液を受け止めるのは無理だ。
私の心を見透かすように、
「骨折したのに転んだ人もいるからね」と友人からメールが来た。
夏に使ったやつを、蓋をかぶせるだけにしといて、
節約しながらちびちび使おうと思ったら、
スパチュラと言う小さなヘラは持てるが、
キッチリ閉めたせいで、肝心な蓋が開かない。。。
頼るのはニベアしかない。
軽くするりとすべって開く、美しい絵柄の青い蓋。
そう言えば、ニベアってすごい人が作ったんだよとか、
〇〇さんが使ってる三万円のクリームと成分がほぼ同じ、とか
真偽の確かでない話を思い出して、安心に浸る。
ニベア缶最高です。

タッパーは使えないがジップロックなら使える。
箸は無理だがフォークならイケる。
ファスナーの財布はダメでもボタンの財布は楽。
思いがけずこれから先の断捨離の参考になりそうだ。
シモンズのベッドは高さがあるので、マットレスがへたったら
畳ベッドにしようと思っていたけど撤回。
寝るのも起きるのも楽だった。
次は介護ベッドにも出来そうな電動のにしよう。
洋服はボタンの少ないものは便利。
大判スカーフはいろんな代用ができるので便利。
今いちばん欲しいのは遠くのものを取れるマジックハンドだ。
腰をかがめなくていいから絶対便利。

ああ筋肉痛って大変。