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売れ残り
久しぶりに従姉妹と通話していた。
「今日はバレンタインだね」
彼女は嬉しそうに話しながらチョコを作っていた。
バレンタインなんて、ただのチョコレート商戦のためのイベントでしょ。
幸せな人はいいね。愛している人がいる人はいいよね。
…なんて、ひねくれたことを考えてしまうのが私だ。
恋愛にはどうしても前向きになれない。
私の中の臆病が、一歩を踏み出すことをやめてしまう。
幼い頃から「男の人は怖いもの」だと母から教わって生きてきた。
そのことが大きく関わっているのかもしれない。
自分より力が強くて、身体が大きいのなら、かなうはずもない。
だけど、男の人と関わってみたいと強く思う時がある。
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理想はいつもショーケースに閉じ込められて、私には手が届かないんだ。
片想いは山ほどしてきた。本当に、飽きるほどに。
周りの友達がみんな、恋人との素敵な思い出を話してくれる。
素直に素敵だと思ったけど、やっぱり憧れもした。
だけど「いつか」大人になったら、きっと素敵な人に出会えると思っていた。
大学生になれば、きっと恋ができると思っていた。
男の人とは普通にお話はできる。ジョークも飛ばせる。自然体でいられる。
なのに、どうして
いいと思った人ほど「他の誰か」のものだったりするの…?
恋愛をしている友達が大半の中、私だけが取り残されていく。
焦って柄でもないことしてみたけど、なんかダメで。
もう、私には異性としての魅力なんか、1ミリもないんだろうな。
そう思うようにして、毎年諦めるように自分を諭している。
(多分、ただひねくれているだけだと思うけど。)
だから、私は「売れ残り」にすごく弱い。(なんの話やねん)
なんだか、自分と境遇が似ている気がして。
周りから置いていかれて、じっとその場に漂う感じが。
カップルの沸き立つ季節は、甘ったるい「売れ残り」と共に
寂しくおひとりさまするのです。
来るかどうかもわからない「いつか」に想いを馳せながら。
遅ればせながらのバレンタイン小話でした。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。