「勉強してないで、漫画読みなさい」もいいかもしれない
友人が家に遊びに来た時、
「8時になったら世界一受けたい授業見てもいい?『Dr.STONE』が出るから」
と言われ、テレビをつけた。
週刊少年ジャンプで連載中の、科学漫画らしい。
ある日世界中が謎の光に包まれ、全人類が石になってしまう。
時は流れ3700年後、文明が崩壊した世界で主人公千空(センクウ)は目覚める。
科学の力で再び文明を作り直すという物語である。
1時間目は【理科】、ちょうど『Dr.STONE』科学研修のくられ先生による授業だった。
「ロープもなく、自力でよじ登るのは困難な深い穴に落ちてしまった人をどうやって助けるか?」
物語中描かれている、主人公とその仲間が洞窟探索中に穴に落ちてしまったときにどうやってそこから抜け出したか、という問題だった。
その時持っていた動物の皮で作ったガスマスクの管を使って、どうにか水を移す…というシーンだ。
スタジオには穴と湖を再現した模型が用意されている。さあ、君たちはどうやって生き延びるか。
シンキングタイムスタートッッ!
チッチッチッチッチッチッチッチッチ
上田「有田君、ホース使って水吸うんじゃないよ!」
チッチッチッチッチッチッチッチッチ
BGM(ランランラランラン♪ランラン~♪ホニャララ)
正解はこちら!
① 管の中を水でいっぱいにする。
② 管を水の中に沈め、管に完全に空気が入ってない状態にする。管の先端を一方は水の中に入れたまま手でフタをする。
③ 手でフタした管の先を穴の中に入れ水面より下の状態に持っていき、手を放すと、水が穴の方へ移動!
地球上には大気があり、水はその重力によって低い方に流れます。管に空気が入っていないため、水面の高さが同じになるまでは水がスムーズに流れていくのです。
とのことである。
ほほう( ^ω^)・・・。
私が小学5年生の頃に所属していた科学実験クラブでやったことの中で覚えていることと言えば、リトマス試験紙をなんか青くしたことと、アルコールランプで砂糖を溶かしてべっこう飴を作ってキャハキャハしていたことだけである。べっこう飴を作っている最中に穴に落ちていたとしたらどうするつもりだったのだろうか。そう思うとゾッとする。先生はすぐさま「べっこう飴を作っている最中に穴に落ちたらどうするか」を教えるべきだ。
ぜひみなさんもいつか穴に落ちたときに、このことを思い出してほしい。
『Dr.STONE』はNetflix、アマプラ、huluなどでは1クール分が配信されている。
鬼滅の刃を一旦見終わったあなた。早く見たほうがいい。もし禰豆子が石化したら誰も助けられないだろうが!助けられるかどうかはあなたにかかっている。
石化を解く方法は千空先生がすぐに教えてくれる。
そんなDr.STONEのおもしろいところ
「知識や教養は自分の人生の為に必要である」ということを、リアルな科学の力を使ってこの上なく痛快に教えてくれる点
勉強が嫌いな小学生や、定期試験前の中高生がよく、
「学校の勉強とかって将来役に立たないでしょ?数学とか社会とかなんで勉強する必要があるの?いみわかんねw」
としばしば口にすると思う。私もめちゃくちゃそう思っていた。
社会人になった今、国語・算数・理科・社会ができたら日常にどう役立つか考えてみる。
1.国語
受験評論文の問題を、このように書き換えてみてはどうだろうか。
【問題】ツイ主の主張をア~エ4つの選択肢から選びなさい。その上で、「リプライを返す」「返さない」どちらかを選択し、またその理由を述べなさい。
もし「リプライを返す」を選択した場合は、選んだ選択肢の内容を理解した上で、30文字以内で答えなさい。但し、クソリプと判断された場合は減点対象とする。
この問題を正しく解く能力があれば、クソリプを見ず知らずの人に送りつけるような、自分の人生において無駄な時間が少なくなるだろうし、あなたの人生の時間はもっと良くなるはずである。
仕事においても、読解力があれば、さっと要点を読み取って素早く簡潔に分かりやすくメールを返す能力も身につくし、ビジネスパートナーにも喜ばれると思う。
2.算数
【問題】厚さ0.01㎜の紙を何回以上折れば富士山を超えることができるか答えよ。また、富士山の高さは3,776mとし、「紙が厚くなって途中で折れなくなると思うのですが」というようなFF外のリプライは無視することにする。
1m=100cm=1,000mmだから
3,776m=3,776,000mmとして、
回 倍 厚さ(mm)
0 1 0.01
1 2 0.02
2 4 0.04
3 8 0.08
4 16 0.16
5 32 0.32
… … …
26 67,108,864 671,088.64
27 134217728 1,342,177.28
28 268,435,456 2,684,354.56
29 536,870,912 5,368,709.12
28回と29回の間がで富士山なので、答えは29回である。
どこで見たかは忘れてしまったが、この富士山の問題を、資産運用について分かりやすく説明するために、少額資金でもコツコツと積み立てて利回りを重ねていくと将来的に大きな資産になるという例えとして説明されていたものを見て、なるほどと思った。
直感的に考えて、紙を29回折っただけで富士山を超える高さになるという事実はなかなか想像できないし、何のためにそんな計算をしなければならないのだと思うが、「長期投資の効果=(日本一高い山である)富士山に到達する」という例えによって、さっき計算した数字が無意味で無機質でないものに思えてくるし、投資も思ったほど難しくなさそうだなと感じてくる。
日常では確かに、高校で習うような難しい数式は使わないかもしれないが、数字を身の回りの事象に絡めて考えてみたらもう少し面白く勉強できるかもしれない。
数学で忌み嫌われている動く点Pについて、面白い記事があったので貼っておく。
・座標平面上にいる。
・(-8, 8)に住んでいるらしい。
・1秒あたりx座標的には2くらい進むつもり。
・y=-xの上にいるとなぜか落ち着く。
・点Qを見て、どうして私と同時にスタートするのかなと、少し気になっている。
(略)みたいな自己紹介が書いてあったとしたら、どうだろう。がぜん興味がわいてくる
3.理科
『Dr.STONE』で千空先生が教えてくれることは言うまでもない。
学校が休校になった影響で牛乳の受け入れ先がなくなって困っていた酪農業を応援するために「蘇」を作るのが流行ったが、製法に関する書物はほとんど残っていなかったにもかかわらず、SNS上で他の食材と取り合わせるなどして作り方が編み出されていったらしい。
千空先生も「飯=科学だ」と言っていて、漫画の中でも猫じゃらし粉からラーメンを作ったりしている。
レシピ:猫じゃらし粉に野鳥のタマゴを入れて灰のアク、炭酸カリウムでモチモチにさせて麺を作る。食材を入れれば完成!
これは4世紀頃に名も無きモンゴル人が偶然みつけた科学の飯なのだという。
人間の知恵と生活を豊かにするための生き方を、具体的に私たちに教えてくれる。
4.社会
仮に今、水道使用可能量が隣の家の人と合算です!みたいなルールが突如できたとしたら、隣の人よりも自分の方が多く使いたいと思うだろう。
それと同じで、例えば雨が降らないと水を確保できないような時代に日照りが続いたせいで、隣の村の水路を奪いに戦いに出ましたと言われたらなんとなくイメージが湧いてくる。
しかしたいていの場合、(人によるかもしれないが)、社会の勉強の仕方は事実を覚える勉強になっている。たとえば冠位十二階が定められたのは603年です。覚えましょう!みたいな。
もっと身近に考えてみよう。
就活生「めちゃくちゃ就職活動を頑張っているのに全然内定をもらえない。あの人はコネで早々と内定をもらったそうだ。毎日インスタストーリーに楽しんでいる様子をあげていて、本当に気に食わない。」
聖徳太子「それはよくないですね、経団連に冠位十二階を定めるよう言っておきますね。この制度は家柄にこだわらず、その人の能力あるいは特別な功績をあげた身分の低い人物の働きに報います。」
みたいな感じにしてみる。
自分の能力を認められて良い位に就きたいという気持ちは、本質的に今も昔も変わらない。世襲制の時代、高い位に就けない低い姓の人たちにも平等な権利を与えられるよう、聖徳太子はそういう制度を作ってくれたのである。
歴史に学べば、世の中を変えられるアイデアがたくさん出てきそうである。
歴史をアニメで楽しく学べる『まんが日本史』はAmazonプライムで配信されているので、時間があったらこちらもみてほしい。
おわりに
社会人になって思うが、勉強することはよりよく生きるために必要だとおもう。
文明が発達した現代においては、先人たちの恩恵を受けまくっているおかげで、必死に勉強しなくても明日死ぬことはない。
『Dr.STONE』は、私たちに学ぶことの楽しさや、人生をもっと楽しくするヒントを与えてくれる。
*この記事はGO FIGHT CLUB の課題として書いたものです。