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6W3Hを軸にした初の技術カンファレンス企画の裏側
このブログは技術カンファレンス Advent Calendar 2023 の6日目の記事です。
こんにちは、ファインディの山田GOです。
技術カンファレンスは、どれも歴史が長いものが多く、2023年に第1回が初めて開催されたという技術カンファレンスは少ないと思います。
そんな中、2023年7月に開発生産性カンファレンスという「開発生産性に関する知見が集まるカンファレンス」をファインディとして初めて開催しました。開発生産性や開発者体験、Developer Experienceという言葉が言われ始めた中で、その知見がまだまだ世の中に出ていないということもあり、何か貢献できないかというところから企画したものになります。
今回初めての開催ではありましたが、1,600名を超える多くの方にご興味をお持ちいただけたので、初回でどんなことを考えたのかについて書こうと思います。
"カンファレンスの企画"にフォーカスして、初めて開催しようと思っている方に読んでいただけると嬉しいです。
なお、カンファレンスのナレッジは、当時企画したときになかなか出まわっていませんでした(今は体系化された書籍があるので、最後に書籍を紹介しています)。詳しく聞きたいという方がいらっしゃいましたら、お気軽にXにてDMいただけたらお力になれることがあるかもしれません。
(自分自身もそうして助けていただいたので、できるだけお話しします🙇♂️)
https://twitter.com/00_AK1RA
注)なお、技術カンファレンスにおいては、言語系や分野特化のもの、テーマに関するもの、企業主体ではなくコミュニティが主体のものなど様々あるので、この考え方が正解というものではないです。あくまでもカンファレンスの一例と思っていただけると嬉しいです。
長くなるので先に、6W3Hの全体像を書いていきます。
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イベント運営の全て教えます。今日からあなたもイベンター!
はじめに
カンファレンスの企画・運営は周りを巻きこみ、それなりの期間、それなりの労力でコミットするものになるので、「やりましょう!」だけで走り始めると実は結構大変です。(もちろん、「やりましょう!」並行して企画を詰めるのも大事なこともあります笑)
プロダクト企画や新規事業でも「●●という機能が欲しい!」で開発をし始めないのと同様に、どういう思いで(目的で)やっていくかはしっかり決めた方が良かったです。
6W3Hを考えた企画設計
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なぜここまで細かくやったのか?
5W1Hは聞いたことあるかもしれませんが、6W3Hなんて聞いたことないですよね。笑
かなり細かいのですが、なぜここまでやる必要があるのでしょうか。初めての開催だったこともあり、主催が満足!とは絶対にならないように、参加いただくエンジニアの方が本当に満足いただけるものになれるのか、にしっかり向き合いたかったというのが意図でした。
とはいえ、ここまでこだわったことで、個人的には以下のメリットがあったと思います。
1. カンファレンス全体を通してどういう価値と体験を届けるか、一貫した軸ができることで意思決定がしやすくなる
2. カンファレンスは1人では絶対にできないので、言語化されたものがあると巻き込みやすくなる
3. 開催後、どこが伸び代になるのか次回に向けて振り返りやすくなる
6W3HのFit&Refine
また、6W3Hを考えていくにあたって重要なことがあります。それは、目的から考えていく中で、1つ1つの項目を行き来して考えることです。
ちなみに、Fit&Refineという言葉は、プロダクトマネジメントのすべてから拝借させていただきました。こちらの書籍の4階層の考え方と同様です。
Fit&Refineを繰り返すことで、4つの階層間でのズレを取り除き、4つの階層が仮説の連鎖を反映するつくりとなり、プロダクト全体に一気通貫した強い軸を作ることができる。
では具体的にそれぞれ見にいきましょう。
1. Why (なぜやるか)
①なぜカンファレンスを開催したいのか
②そのゴールを実現する手段としてカンファレンスは適切なのか?
上記に記載したとおり一番重要な点です。開催ありきで考えると大変なので、なぜ開催したいのか?考えます。
カンファレンス以外にも同じようなことが実現できるのであれば、カンファレンスにこだわらないという選択肢もあります。
開発生産性カンファレンスの場合は、エンジニアの方々にお聞きして行ったところ、開発生産性に関する知見が幅広く集まり、来ていただいた方が1日で色々知ることができること、直接コミュニケーションをとって相談ができることを目的としました。
2. Who(誰がやるか)
誰が主導で進めるか
カンファレンスは一人ではできません。周りの方を巻き込んで進める必要があります。
この方にも協力していただきたいという方は最初から考えて巻き込めると良かったです。
3. Whom(誰にきてもらうか)
①どんな方に来ていただきたいか
②その方々はなぜ来ていただけるのか
目的を考えたときにどんな方に来ていただきたいかを考えました。かなり具体的に、●●さんのような方に来ていただきたいというレベルまで解像度を上げて考えられると、このあと必要になるコンテンツや時間、場所なども決めやすくなります。
来ていただきたい方について知るために、エンジニアの方が開発生産性に対してどんなことを考えているのか、実際にヒアリングをしに行き開発生産性に興味がある方はどんな方なのか?どういうことを知りたいのか?を聞きました。
4. What (コンテンツ)
参加者のエンジニアは、何を知りたいか
記事でいうところの読後感にあたるものです。カンファレンスの場合、まず参加者、続いて登壇者、そしてスポンサーの方がどういう状態になっていただけたら良いかを言語化しました。
細かい体験などを9.のHowで決めていくにあたって、こういう状態になって欲しいというのがあると、体験設計においてこれは適切なのか?を決めやすくなります。
5. How many (規模感)
1.の目的を達成するために、どのくらいの規模感で開催すると良さそうか、Minでこのくらい、Maxこのくらい、を考えました。これは6. Whereに繋がってきます。
6. Where(どこで)
①オンラインかオフラインか、またそれはなぜか
②オフラインならどこでやるイメージか(東京なのかそれ以外か、また東京ならどこが候補か)
最近はハイブリットイベントが主流になりつつありますが、正解はないと思います。あくまでも1.目的、4.の来ていただきたい方とその状況、5の規模感を考えたときにどこで開催するのが適切かを考えます。
7. When (いつ)
①いつぐらいに開催するのか。
②他の似たようなイベントとタイミングは重複しないのか
3.来ていただきたい方、4.コンテンツ、5.規模感、6.開催場所を考えたときに、いつ開催すると不自由なく来ていただけるかを考えます。来ていただく方の都合もあるのでよく吟味すると良いと思います。
ちなみに、②については先日@ariaki4devさんから↓まとめが出ていたので参考にされると良いと思います。
8. How much (コスト)
工数・金額ともにどのくらいかかりそうか
コンテンツのイメージや規模感、開催場所が大枠見えてきたところで、ざっくりどのくらいの費用・工数がかかるのかを試算しました。
費用については、ざっくり以下の項目でした。
会場費
飲食費
デザイン費用
設営などご協力いただく会社様への費用
配信周り
9. How(体験設計)
1. カンファレンスの存在を知る
2. お申し込みいただく
3. 当日まで
4. 当日(受付・セッション・懇親会など)
5. カンファレンスの後
参加いただく方・登壇者の方などのスケジュール感に合わせたタッチポイントを洗い出して、どのような体験があるとよりよいかを考えました。オフラインで来ていただいた方により楽しんでいただけるようにスタンプラリーと巨大ガチャガチャと景品を用意しました。
実際どうだったのか?
1,600名以上の方にお申し込みいただき、オフラインでも500名を超える方に来ていただきました。開発生産性について理解が深まったというお声や、参加レポートも書いていただいたり、と知見を集めていきたい!という思いが少しでも届いていたら嬉しいです。
また、ちょっとこだわったお弁当やガチャガチャで当たるHHKB、スタンプラリーも来ていただいた方の反応を見ると、ご満足いただけたようです🙇♂️
反省
とはいえ、、、
受付やお弁当までの導線、会場が狭すぎ、寒い、配信ミス、ガチャガチャの音がうるさすぎた、などなど、、反省点もたくさんあります。ここに書き始めると内容が多すぎるので、知りたい方はメッセージいただけると嬉しいです🙏
来年も開催していきたいと思っているので、みなさんからいただいたフィードバックを真摯に受け止めてもっと良いものを作っていきたいと思います。
最後に、これから主催を考えている方へ
いかがでしたでしょうか。かなり細かくなってしまったのですが、何か参考になる点があれば嬉しいです。
カンファレンスの開催は正直に言って簡単ではありません。(継続して開催されている主宰者の方には尊敬しかありません)
それでも、こういう思いでやっていくんだ!!と決めて、周りを巻き込んで、最後に来ていただいた方の声をきけると本当に開催してよかった…! と心の底から思える瞬間があります。これは関わる方みんなが感じるものでもあるので、いきなり主催は…ということであれば、まずは運営メンバーから入ってみるのもおすすめです。
また、先日、@satoshocoさん、@941さんから #技完ガイドこと、技術カンファレンスのマスターガイド:企画から運営までの完全手引き という素晴らしい書籍が出版されましたので、もし手元にある方は見られることをおすすめします!
全部読ませていただいたのですが、企画から始まり、会場、準備、配信、当日、終わったあと、さらには過去のイベント主宰者の方々の事例…と体系的に、そして詳細にまとめられていますので、初めて開催しようかなと思っている方だけではなく、開催後の伸び代を振り返るという方も、この1冊があるだけでかなり心強いパートナーになると思います!素晴らしい書籍の出版ありがとうございます!
開発生産性カンファレンスは2024年も開催します!
お楽しみに!