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弓兎の遊戯
兎が穴に迷い込む
行き止まりに向かって外から
矢を当てがって弦を引き 絞る
兎は穴の底への迷いに揺らいで
張り詰めた弦の震えに共鳴し
増幅も減衰もしている
空間が鳴りとして生まれる
成型されて 成形される
どれもに特に違いは無いがしかし
矢尻は覚えているのか
兎は憶えているのか
私は弓矢洞穴の何なのか
それともわたし 渡しなのか
橋であるならその世界の物理的特性を
舐め尽くすように渡るそれでいい
私はせかいのクリエイタ
真実だけがくり抜かれた創造主
最初と中心を知る為に
どう操縦しようが行き渡り
世界を渉猟する
世界世界の精霊である
兎はまだ出て来ないのか
矢はもう空を駆けたのか
幾つもの正解が両立しない
一つのせいかいとなる他無い
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