ものを書くのに疲れたら
五月の午後、なまぬるい風がゆっくり流れていく。高層階から眺めると交差点を行き交う人々はジオラマに散りばめられた人形みたいで、どこか現実感がない。大人になると多くの人が夏を嫌いになるみたいだ。悪足掻きみたいに初夏まで長袖を決め込んで、真っ黒のアームカバーと仰々しいサンバイザーに日傘まで装備して歩くご婦人の横で、さほど鍛えてもいない手足を潔く放り出したギャルが眩しい。
わたしはどこか気が遠くなってしまいそうになりながら、均質な気温が保たれたオフィスの窓際で、デスクトップのパソコ