30歳、無職になる。
30歳になりました。
全く実感が湧きません。
なんとか死なずに30歳を迎えました。
10代の頃はあんなに毎日死にたかったのに、死なずにここまで生きてきました。
生きていると、そんなに急いで死ななくてもいいかなと思えるようになりました。
それは、人が必ず死ぬことを知れたおかげだと思います。
死にたい人と、死に逝く人と、死んでしまった人にたくさん出逢えたおかげだと思います。
どうせ、死ぬから。
もうちょっと生きてみようかなと、思えるようになりました。
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30歳になったから何がどうという訳ではないけれど、飯田さんに写真を撮ってもらいました。
ハタチの時に成人式に行かなかったので、節目の写真があってもいいかなと思って。
場所は夜明けの海に決めました。
憧れの人魚姫のように、いつか泡になって、広くて大きな海に消えてしまいたいと願ってきたから。
死んでも誰の手も借りず、放っておけば異臭を放ち朽ち果てるこの身体を手放して、泡になって消えたいのです。
どうか死ぬまでに、泡になって消える方法を知れますように。
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例えば今日、わたしがひとり死んだとして。
世界はなんにも変わらないと思います。
人がひとり死んだところで、社会は何の滞りもなく回り続ける事実を、わたしはたくさん見てしまった。
この世界は無数の死に溢れていて、果てのない無関心に包まれています。
夢も希望もあったもんじゃない。
そんな世界で生き続けるには、いつでも死ねるという事実は安らぎであるようにすら感じてしまいます。
安心して。
今じゃなくても、まだ死ねるから。
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今月末には、30歳(無職)になる予定です。
在宅医療PAとして見たかった景色は、だいたい見ることができたかな。
転職のために東京に来たから、宝塚に戻るつもりだったのですが。
声をかけてくれる人がいて、面白そうだなと思ってしまったので、もうしばらく都民でいようかなと思います。
でもその仕事は4月からの予定なので、しばし人生の夏休みです。
メキシコの死者の日に行きたくてこのタイミングでの退職を決めたので、とりあえずメキシコ行きの飛行機は予約しました。
無職なので、トランジット2回含む30時間越え最安便なんだけどね。
ただ、そのあと半年くらい何するかは決まっていません。
人生の夏休みも3日で飽きてしまいそうなので、面白そうな仕事やたのしそうな遊びのお誘いを待っています。
身体に対する考え方も変わりつつあるので、また撮影をしたいな。
元気に生きていたら会いましょう、お互いにね。
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Photographer : Erika Iida