「トーベ・ヤンソンを知る」読書案内#7のこぼれ話:ごめんね、スティンキー
「トーベ・ヤンソンを知る」読書案内#7を公開していただきました。
ムーミンバレーパークに出かけたときに、スティンキーのことを「あれだれ?」「ばいきんまん?」と話されているのを耳にしたことが、コミックについて、あるいはスティンキーについて書こうと思ったきっかけでした。
せっかくなので、パークと関わりのあるお話である「預言者あらわる」を選んで読み、書き始めましたが、読めば読むほどムーミンママについて考えさせられ、ママに関することで筆も進みました。
ついに推考の段階でスティンキーに関する記述を大幅にカットし、最終的にはタイトルも「ムーミンママの魅力」に落ち着き、ムーミンママの特徴や作中の役割を紹介する内容になりました。
スティンキーは早い段階でコミックに登場しますが、小説のムーミンには登場しません。スティンキーがなぜ小説には登場しないのか、という問いを持ちながらスティンキーの性質、ムーミンの小説の性質、ムーミンのコミックの性質を考えてみるのも面白そうだと、漠然と考えています。
でも、今の私にはまだ知識と思考が足りませんでした。
ごめんね、スティンキー!!
スティンキーは腐った卵のにおいがする(設定な)ので、パークで近づかないお客さんがいるのはある意味まっとうな対応ですが、黄色い歓声を浴びるときがあってもいいはず!
「預言者あらわる」で預言者の説く自由を実現するためにムーミン谷のみんなが奮闘しているところで、スティンキーはムーミンパパをそそのかして密造酒「マンハッタンダイナマイト」を一緒につくりました。後で黒の預言者を自ら呼んできて禁欲的な教えが広まると、ムーミンパパはマンハッタンダイナマイトを捨てますが、スティンキーはこれを拾って売ろうと考えています。「心の痛みは商売になるのさ」と言いながら。嫌な奴ですが、賢い奴です。
ムーミントロールやパパやママは、ものごとを偶然解決させることの多いように思います。頭脳派のスティンキーが物語の展開に強弱をつけるような気がします。ミイにも似たような役割があると思います。
私もまだまだだと、とスティンキーが教えてくれたのでした。