(3)20年後もアメリカはたいへんだ?
A:というわけで駆け足ですが第1話をクリアしました。ちょっとゲームの説明になりますが、このゲームは先ほどの銃を取る取らないといった選択を始め、無数の選択肢と条件分岐に埋め尽くされています。全容と達成度はチャート画面で確認ができます。バッドエンドというものがありません。あらゆる行動を肯定してくれます。
服部:でもゲームの前提として、人質の女の子を助け出すというミッションが課されているわけでしょう?
A:強制ではありません。結末の一つですね。今は見えないままですが、これだけの結末があるということは……。
服部:例えば人質の女の子が黒幕だった、みたいな(笑)そこまで重層的に作るとゲームとして面白くなくなるんだろうけど。どれくらいの含みとか広がりがあるんだろう。
A:この後もありますが、まーぁ広いです。そしてこのゲームは3体のアンドロイドが主人公になります。今のが警察支援アンドロイドのコナー。二体目が……今起動中ですが、アンドロイドショップにおります。世界観の紹介でもあると思いますが、色々情報が出ますね。アンドロイドの価格が一体3000ドルから8000ドル。今のレートだと33万から88万円。やすい軽自動車か高いPCくらいで買える。で、修理に出されてたのが二体目の主人公カーラです。はいTVドラマ風オープニングどーんw
服部:おお凄いねぇ。
A:今デトロイトってどーなんでしょ?自動車産業自体どーなのって話ですが。
服部:トランプがどーにかするでしょ(笑)
でも、いわゆる鉄鋼と自動車の街というデトロイトを、アンドロイドと重ねたという舞台設定がいまいちわからないんだけど?
A:以前村上憲郎先生の講演を聞いた時、多くの大手IT企業が目指すもののひとつに、バトラー(執事)サービスがあると伺いました。いわゆるSiriやAlexaに身体を持たせるというもの。
服部:なるほど、ネットワーク型のAIがあり、人間に付随してリアルワールドで動くものとして、自動車やアンドロイドがあると。
A:恐らくそういうことでしょう。
服部:人間の格好をしたハードウェアならなんでもできるということね。にしても今は表情に割ける容量も増えたから、テクスチャも綺麗だね。
A:すンごいですよ今。パフォーマンスキャプチャっていって、収録の時に声や表情までいっぺんにスキャンするんです。
服部:アバターでやってたように作ってるんでしょうね。
A:目の動きだけがまだリアルタイムでスキャンできないらしく、後付してるそうです。
さて突然ですが三人目の主人公が登場します。マーカスです。今はとりあえずおつかいに行くシーンですね。アンドロイドが普及した社会を俯瞰する場面です。介護、子守り、清掃や道路工事なんかは当たり前。そういうふうに労働の主役をアンドロイドが奪ってしまえば、こういう失業者も出てくると。
服部:こんな時代の大統領はトランプ以上に辣腕なんだろうな(笑)
A:最近SF界隈では流行りの女性大統領になってます。
服部:有色人種だったり?
A:白人です。声が田中敦子サマというのもお約束。
服部:(笑)
A:道には自動運転のタクシーやバス。
服部:自動運転はクルマ本体の情報化も必要なんだけど、道や都市が情報化してクルマをコントロールする方向もあるわけですよ。
A:誘導マーカー?
服部:それもあります。都市全体のランドスケープを情報化して、その上を動く車両を細かくコントロールできれば、車両にすべての情報処理を委ねなくてもいいわけです。IoTといったものを活用し、道路が今何人歩行者がいて、何台車がいる、という情報を『知っている』ようにすれば、車と共同で安全を確保できる。でも今現在、都市の情報化はあまり進んでいないようですね。
A:早く実現して欲しいです。さて広場で歌うミュージシャンの売り文句は『1ドルで魂のこもった歌をどうぞ』ということは、音楽業界もアンドロイドが進出してる。
服部:こういうところで実際の歌手が、プレースメント広告みたいに出演してたりしないの?
A:ないんじゃないでしょうかーw
服部:デトロイト以外の都市は出ないの?
A:カナダがちらっと出るくらいですね。
<続>
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村上憲郎
実業家、システムエンジニア。Google米本社副社長兼日本法人代表取締役など経歴多数。
IoT
Internet of Thingsの略。コンピュータやPC、スマホといった限られた機器のみならず、あらゆる「もの」をインターネットに直接繋ごうという試み。
例えば今は、複数の信号機が1台のコンピュータに操作されて稼働しているが、IoT実現後は信号機各々が直接ネットワークと繋がるようになり、交通をリアルタイムで「知る」デバイスになる。
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