5・不安は進歩が連れてくる?
伊東:ところで、さっきから所々にあるこの箱はなんでしょう?
A:ctOSの端末です。そういう言葉があるかはわかりませんが、孫サーバーとでも言いましょうか。住宅や施設のctOS接続機器は、一度ここに集約されるので、これをハックすればこの通り宅内の機器を覗ける。
伊東:全然あり得ますよね。このctOSが集中管理なのか分散管理なのかはわかりませんが。
A:両方かな?作中でビッグブラザー、リトルブラザーという呼び方をされてまして……「1984」ですね
伊東:なるほど、やはり末端にもある程度の機能をもたせてるんですね。早い反応が必要なものは末端にやらせた方が合理的なはずなので。中央にいちいち管理させると、回線が混んだりして大変でしょう。
A:SuiCaがそうですね。
伊東:だと思います。ある程度データをためて中央に送るというやり方。
A:もしIoTが本格的に実装され、それこそ家のスイッチまでIPが振られるようになったら、その管理保護の仕組みは、いわゆる先ほどの話にあった、孫サーバー曽孫サーバーといった分散管理になるんでしょうか?
伊東:まずハッキングされないために、セキュリティの仕組みを上げなくてはいけません。今だと全然駄目駄目ですんで。
A:駄目駄目ですか。
伊東:駄目駄目です。
A:IPv6が起動して久しいですが。
伊東:IPv6くらいでは全然追いつけないでしょう。
A:追いつけませんか?アドレスはIPv6で増えましたね?
伊東:アドレスは十分だと思います。でも相手のアドレスが本物かどうかが担保されなければ意味はありません。それにアドレスが増えていって、ネットに直接ぶら下がれるものが増えていくと、余計に悪くなるんじゃないでしょうか?
A:???
伊東:今のIPv4だと、アドレスが足りないのでグローバルIPからNATを使って分岐させてるんですよ。そうすると攻撃がちょっと面倒くさくなるんです。でもIPv6になると、すべての端末にグローバルIPがもらえるので、攻撃する方は楽なんです。
A:あー……つまり今までは、木の根っこからあっち行ってこっち行ってみかんにたどり着いてたのが、今度はみかんを直接狙える?
伊東:そうですそうです!
A:うわー難しいぞー記事にどうやって書こう?
伊東:それがあなたのお仕事!w
A:そうかぁ、そういう危険も出るのか。
伊東:しかも対策が必要な機器が増えるので、そのぶんコストがかかってしまう。すると今の時代安いもの売らないといけないので、セキュリティをケチる製品が絶対出るはずです。
A:やっぱりそこからケチりますかね?
伊東:性能は下げたら売れなくなるので下げませんが、下げて影響ないところは下げますよね?
A:あああー
伊東:今ネットワーク家電は、一度ルーターを介してる。つまりルーターさえしっかりしてればいいわけですよね?でも山ほどIoT機器が出る中で、どうしてもお金をかけられないものは出てくる。ハッカーにとっては1個セキュリティの弱いものを見つければいいわけですから、これは楽ですよね。
A:便利ってだけじゃ駄目なんですねぇ。
あと私いまプレイお見せしながら少し後悔してます。最初のミッションが面白くてわかりやすかったかなぁと。
いわゆるctOSの子サーバーに行って、自分のアカウントを消してバックドアを仕掛けてくるミッションなんです。そうすることでこうしてスマホで街が操れちゃう。でもスマホでそんなことできるんでしょうか?
伊東:スマホは単なる入出力機器に過ぎないので、その中でハッキングをするための膨大な処理をする必要はないですよね。
A:スマホは開けゴマと言えばいいだけで、岩戸を開かせる大掛かりなカラクリは外に置けばいい?
伊東:そうです。それより僕はやはり、スマホみたいな操作性の悪いもので、そういったことするのは面倒だなーと思いますね。
A:都市迷彩みたいな意味もあるかもしれませんね。友達とチャットしてる人も下向いて歩いてて、街を揺るがすハッキングをしてるこいつも下向いて歩いてるから見分けがつかないし目立たない。
伊東:なるほどね。でも僕がこういうもの作るなら、メガネ型端末に常に情報を映させたりしますね。
1984
ジョージ・オーウェルが1949年(!)に刊行。
核戦争後に誕生した「ビッグブラザー」を頂点とした全体主義国家を描いた、SF小説の金字塔。
IoT
Internet of Thingsの略。あらゆる「もの」が直接インターネットに繋がる仕組み。うちのエアコンとっくにネットに繋がってるぜ!と思ってる方はちょっと落ち着いてほしい。それはネットに繋がれたルーターに繋がっているのであって、直接繋がっているわけではないのだ。
この辺の仕組みとIPv6は、それだけで記事が書けそうな長さになるので、閑話休題として解説記事をアップしました。参考に読んでやってください。
バックドア
「裏口」「勝手口」の意。
防犯用語で、正規の手続きを踏まずに入ることができてしまう侵入口のこと。サイバー犯罪では、システムの製作者や一度侵入したハッカーが、秘密裏にこれを仕掛けていくのが常套手段。
参考リンク
Suicaのシステムがいかにすごいか仕組みを徹底解説
https://tatase.hatenadiary.jp/entry/2015/11/09/%E4%BB%8A%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%81%8C%E5%AD%A6%E3%81%B6%E3%81%B9%E3%81%8DSuica%E3%81%AE%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%87%84%E3%81%95
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