JTCから異業種ベンチャーに転職して通用したことしなかったこと、その他いろいろ。
自己紹介
ご覧頂きありがとうございます。新卒で食品会社に就職し、アメリカの子会社に赴任。そのままアメリカで転職し駐在12年目に突入!
自分自身への備忘録も兼ねてアメリカでの体験や自身の考えをnoteに残していきたいと思います。同じ境遇やこれから海外に挑戦したいという方にとって少しでも参考になれば幸いです。
はじめに
長年従事していた食品業界を離れ、未知の分野に挑戦する中で、自分がこれまで培ってきたスキルや知識がどのように活かせるか、逆にどのような場面で新たな学びが必要かこの数ヶ月で感じたことをまとめたいと思います。
転職を経験した人、これから転職を考えている人、内定をもらったけど異業種で転職に踏み切れない人にとって、40代で初めて転職した私の経験が参考になれば幸いです。
通用したこと
まず、異業種であっても「日本企業における米国事業」というシチュエーションをみると同じビジネス環境ですので、当然日米両国のビジネス慣習に対する深い理解は役立ちました。特に日米間で異なるマネジメントのあり方を理解することで、どのように新たな会社・新たな役割で日米間の橋渡しをするべきかが見えてきました。
そもそもそういう共通項を見出すことも重要だと思います。
例えば、日本のマネジメントは細部にまで指示を出すマイクロマネジメントの傾向が強い一方、アメリカでは現場に権限を委譲する文化が根付いています。
品質基準に対する考え方も、日本では非常に高い一方、アメリカでは合理的な基準が重視されます。これらの違いを踏まえた上で、今のビジネスフェーズを鑑みながら合理的かつ現実的な意思決定を行うことが必要です。
また、異業界の新しい環境でも論理的思考力やクリティカルシンキングは非常に役立ちました。いや、むしろ未知の業界だからこそ、先入観を排し、客観的なフレームワークを用いて現状分析することで、新たな課題にも柔軟に対応できているのかも知れません。
特に5F分析や3C分析といったフレームワークを使って、大局観を持って業界の構造やビジネスモデルをつかむことから入ったことは正解だったと感じています。
さらに前職で経験した海外事業の立ち上げで得た仕組み構築力も役に立っているように感じます。限られた経営リソースの中で、効率的かつ効果的にビジネスの基盤を整える力は、どの業界でも必要とされるスキルだと感じました。
商材は違えど、ビジネスの本質は仕入れて付加価値をつけて販売することであり、経営資源をいかに活用し、ビジネスを拡大させるかの大枠は変わりません。改めてビジネスの本質を感じるとともに、この視点を持つことで、新たな環境でも広い視野で戦略を考えることができると感じました。特に経営資源が限定的な海外事業においてはこの感覚は重要だと思います。
通用しなかったこと(習得が必要だったこと)
もちろん、新しい業界に飛び込む上で業界理解は必要不可欠です。全てを理解する必要はないとはいえ、基礎的な知識習得と自分に足りない知識を持った人材をどのように活かすか、その仕組みを整える力が求められていると感じます。
役職に関わらず経験者の知見を最大限に引き出し、チームとして機能するためのアプローチを行うことが重要です。
また、まだまだプレイングマネージャー気質が自分に残っており、自分自身が動いてしまうことで、結果的に人的資源を有効活用し切れていないことに気づきました。自分がやった方が早いということもあるのでしょうが、特に役職が上がれば上がるほど自分が発した言葉の影響力が大きくなってしまいます。意見を促すつもりで出した提案が、指示と混同されてそのまま上がってしまうリスクも感じました。
その他:新たな観点を持ち込めることの意義
異業界での経験を積む中で、これまでの消費財ビジネスの視点が、耐久財ビジネスでの課題解決のヒントになり得ると感じる場面が多々あることを感じています。普遍的なビジネススキル(論理的思考力やクリティカル・シンキング力等)を持っていることが大前提にはなりますが、異なる業界からの視点を持ち込むことで、既存の問題に新たな光が当たることもあります。
もちろん問題だけではなく、新たなチャンスにも光が当たる可能性があります。
なぜ、普遍的なビジネススキルが大前提となるかというと、それらがなければ自身の経験や成功体験に基づいて、バイアスのかかったまま判断をしてしまい、気付いたら自分の強みが発揮しやすい方向に流されてしまうためです。
その方向が会社が進むべき方向と合致していれば全く問題ありませんが、そうでなかった場合、これは結果的に自身のパフォーマンスを最大化するのと引き換えに、知らず知らずのうちに自分以外のパフォーマンスを最小化してしまうことに繋がります。
それでは事業全体の成長やチームの成果には繋がりにくいと感じます。
長きにわたる海外駐在で、意識してか無意識かわかりませんが自身のパフォーマンス発揮を優先し、ピープルマネジメントの本質を見失っている日本人駐在員を数多く見てきました。
最後に
この経験を通じて感じたのは、新しい環境においては大局観を持ちながら共通項を見出し、活用できるスキルは活用し、活用できないスキルは真摯に学ぶ姿勢が重要だということです。
また転職の成否を分けるのは普遍的なビジネススキルと正しいマインドセットを持ち合わせているかどうかだとも感じます。特に業界が異なり、今までの経験をそのまま活用できない場合は、より本質的な要素が重要だと感じます。