おかづのままよ日記「父の命日」 蛍とぶ軌跡に和む父の皺 220530
わたしはおかづである。
目の前の夫婦、今日は朝から出ていった。
夫くん「今日は父の命日なんや」と、お墓参りに行くと言う。
当然、おかづはひとりで留守番することになるわけで、寂しい思いをするのだ。
ま、寝るだけなのだが…(-_-)zzz
夫くんの話によれば、父が亡くなったのは10年前だが、その直前に母は癌で入院中に亡くなったと言うのだ。
その時、父は病院を兼ねた施設に入っていたが、母の死は伝えなかったそうだ。
伝えると父が取り乱し、病状を悪化させてしまうことが容易に想像できたからと言う。
母が亡くなった次の日、夫くんと兄は介護施設にいる父の様子を見に訪れた。やはり父が心配で様子を見たかったのだ。
すると、父が母のことを言ってきたそうだ。
「昨日の夜、よし子(亡くなった母)と一緒にここへ来んかったか?そこ歩いてたんじゃ」
と、父は窓の外を指しながら嬉しそうに話す。
夫くんと兄は顔を見合わせた。
この部屋は4階なのである。
窓の外にベランダなど無い。
父は続けた。
「声かけたんじゃが、聞こえんかったんかのう、そのまま行ってしもうた…。8時前やったと思うんじゃ。来んかったか…?」
父は声を絞り出しながら話し、会話できなかったことを本当に残念がっている。
夫くんと兄は驚き、顔を見合わせながら、
「え~、そうなん…。昨日はね、来てないよ…。夢みたんやね…。二人とも会いたいんやね…」
と、ゆっくり話したそうだが、その時間はまさに、母が亡くなった時間だった。
そうなんか…!
そういうことを信じる方ではないのだが…、あるんだ。
こういうこと。
そして、その一ヶ月後に夫くんの父は苦しむことなく亡くなった。
一ヶ月違いで亡くなった父と母は、よくケンカもして愚痴も言っていたが、子供たちに「夫婦の在り方」を教えてくれて「年老いる事とは?」を教え、「介護」を教えてくれた。と、夫くんは言っている。
そして…、
「父親が亡くなって10年やけど、30年後には我が身に訪れる事を、考えておかないといけない」
と夫くんは言う…。
が…、言うばかりである…。
少しだけ、少しでもいいから考えとけ!
「…!」
蛍とぶ軌跡に和む父の皺
歌月
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