帰省した息子がわざわざ父の写真を見る 240107
甲辰歳旦
正月は大学生の息子が帰ってきたので、
一応「どこで寝る?」と聞いてみた。
息子の部屋はもうとっくに私が使っているので、「どこでもいいよ」と息子は(元の)私の部屋に寝ることになった。
よくある話?
元の私の部屋なんて、そこで寝るわけじゃないもんだから望遠鏡も出しっ放しだし、北側だから寒いし、決してきれいとは言えないちょっとグチャグチャの部屋。そこで息子は布団一枚分だけの空間に寝ることになった。
狭いし寒いやろうなぁ。これはさすがに窮屈だろうなぁと望遠鏡だけは片付けた。
私の元の部屋に寝る息子の布団の横には棚がある。 わかりにくい?
書棚ではない。
ガラス戸を開くと中には私の卒業アルバムやら昔ながらのアルバムがある。
昔ながらとは、あの透明なフィルムをピリピリピリとはがしてペタっとくっつけるタイプのアルバムである。
今もある?
小学生の写真なんてほぼ白黒写真で、きちんとファイルされてるのはなんとか高校の途中まで。
カラー写真の多くはアルバムにも入れずバラバラで、カメラ屋さんの袋に入れたままも多い。
どうも、カラー写真へ移り変わる頃に私のアオハルが始まり反抗期が始まったようだが、自分の写真をただ親に貼られたくなかったのか、単に雑な性格だけのことだろうか。
大学になるとマンドリンクラブのパネル写真やクラブ写真、友達との遊びの写真が多く、枚数もやたら多くなる。今更だがよく見ると演奏会写真なんて今じゃありえないほどの真面目な顔してるので、いい学生時代だったんだと思う。
後は、仕事についてからの写真や異動転勤の度にもらった色紙などが乱雑に置かれている。
これらは大事な物(思い出の物)として分けてるつもりだが、妻からすれば「ちった〜片付ければ」と言われる棚。たまーに掃除するにしても、まず整理しなければならないんだろう。
トロフィーがあるわけじゃなし、人に見せるものではないので、なんとか整頓だけしてる。
きっと、きちんと整理しなければ、、
息子が捨てるはめになるだろう。
さて、息子もこの春でなんとか卒業できる。
社会人ともなれば、親子でゆっくり過ごす「お正月」というのはきっと少なくなる。いろいろ話さなければと思うけども、息子は元の私の部屋で寝てばかり。
…ったく、なんやねん。
この帰省した息子だが、年末帰省した後、いったん戻りまた元旦に帰省した。
なので元旦と二日はあっという間に時が過ぎてしまった。
心よりお見舞い申し上げます。能登半島
最近はあまり聴かなかったけどいい曲。
地震のこともあり、涙にじむ歌だった。
。。。。。。。。。。
三日の朝。
妻が昼を食べに行こうと言い出した。さすがだ。こういうときにスパッと決断できるのは妻である。食べに行くとなれば黙々と食べるわけじゃないので会話が始まる。
車を駐められるLECTの和食店。
食べながら息子が言い始めた。
「昨日ね、あの棚にある父さんの高校生の時とか大学生の時の写真見てたんよ。結婚式の写真も見たよ。若いね〜、髪黒いよ。」
「当たり前やん、そりゃ真っ黒やったよ。」と妻が言う。
なんで? 比較的ぐちゃぐちゃにしてある棚なのに見たの? 君はずっと寝てたと思ってたよ。
「卒業アルバムとかも見たよ。何?あれ。。。すごいね。髪がモジャモジャ頭の写真ばっかりやったわ。」
「あははは、昔のお父さんはね、そういう人やったんよ。ま、昔の昔。」と妻が言う。
気になったのは髪のことだけかいな。
そう、私は高校から大学まですべて長髪で就職試験前に髪を切る。そんな時代だった。 「いちご白書をもう一度」って知ってる?
息子の話は続く。
「異動の時の色紙とかもいっぱいあったけどさ、あれもすごいね。たくさん書いてあったわ。すごいやん。慕われてたんやろうなぁ、ってのはよく分かるわ。
でもさ、『次の所行ったら 怒っても物投げないでね』とかも書いてあったよね。。。
父さんて昔から怒ったらやっぱり物投げてたんやね。」
「そうよ、お父さんはよくリモコン壊したわ。」と妻が言う。3個。
息子よ、そんな細かーいとこまで見たのか? たしかに書いてあったと思うよ。でもそれよう見つけたね。
あの多くの色紙の隅から隅まで見たの!?
いやいや、ま、ま、たしかに職場で物を投げたことはある。今じゃパワハラになるんかいな。
自分が一番と勘違いしてる時代やったんやろうなと思う。アカンやつ。
異動のたびに色紙はたくさんもらい、「思い出のアルバム」のように手作りで立派に作られたものもある。相当慕われていたのだろうと、思いたいので思っとく。
慕われるのがいいわけじゃない…。
一つ心残りがあるとすれば退職時に何もなく退職したことやなぁ。休職からの退職やからなぁ。しょうがないけどなぁ、寂しいわなぁ。ま、ま、しょうがないなぁ。。。
いや、これはもう関係ない話だ。
息子がわざわざ私の写真なんかを見るとは思わなかった。私は父の写真をわざわざ見たかな。いや、一回くらいはあるかもしれない。ただ、私の父は戦争が絡んでるので写真も少なかったし深く残る思い出はない。
例えば、私が学生時代に父の写真を見ても、職場で頑固、家でも頑固なわけだ。結局、頑固な父しか現れてこなかったと思う。写真に違う面が見えないので面白くなかったのだろう。
でも、息子にとっての爺ちゃん(私の父)はいつも優しい顔の爺ちゃんなので、写真の若き日の爺ちゃんの写真を見たときびっくりしたと言ってた。
「爺ちゃんって昔あんな顔してたんやね。目力すごいやん。こわいくらいやわ。 俺、爺ちゃんの顔ってさ、優しい顔しか思い浮かばんのよね」
そうなのだ。人の顔は歳とともに変わっていく。
いい顔になりたいものだ。
笑って。
息子が親の写真をわざわざ見るってのは、就職で家を出る前に、心に引っかかってる何かを腑に落としたかったのかもしれない。
いいことだろう。 よく思い過ぎ?
息子も妻も私も色々あった。特にあの5年前は3人とも壊れていた。それは息子本人もよく理解し振り返ってた。
苦しんだ息子も落ち着いて来たのだと。じゃないと写真すら見たくないし見たいなんて思わないだろう。
苦しみを一つ乗り越えた息子。
えらいえらい。
今はスマホに写真がたくさんあるけども、みんなわざわざ見るんやろか。むしろアプリで簡単に見やすくなる? どっちかわからん。
あ〜、でも、やばいな。
あのプリント写真を整理しとかんとあかん。
怪しい写真はなかったと思うが、昔付き合ってた子の写真があったはずだ。
どうすりゃいい。捨てるのは嫌だし隠すのもおかしい?
何もせずでいいか。
妻は…? 見るだろうな。
急げー!
整理ー!
思い出だからいい。
嫌なものは捨てる。
まとまらなくなったので追加。
正月に帰省しても寝てばかりかー! と思った息子に写真を見られた話でした。
自宅ではあまり話さない息子も車の中や外食中はべーらべら喋ってました。
5日に新幹線で帰る時、駅でまた食事して見送り。
ホームへの改札を抜ける息子の後ろ姿を見るなんて久しぶりで、しっかりしたもんだと思いました。
当たり前か。
改札からしばらく歩いたら振り返って右手を軽く上げ振る。こんな動きは家から小学校へ向かう時と同じ動きでした。
変わらない。
いい息子になってくれました。
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