コロナ入院…7日目 思いの揺らぐ後ろ姿に
6:00
体温36.7度 酸素濃度96
朝食
スクランブルエッグは匂うけど…。う~ん、まだまだか…?などとぜいたくなことを考えるようになった。つい最近まで、大便さえ臭わなかったこの鼻に向かって…。
頭と鼻がケンカしそうなので即、思考停止しテレビも付けては消す。
窓から入る光を少しでも浴びようと思うが、自由にみんなが浴びられる訳のない病室…。
外に顔だけ向けて…少し霞がかかった山を見る。
「そうだ、今日は髭を剃ろう…」と思った。ホテル療養から2週間経つのに1回しか髭剃り使ってないことに気づいた…。
洗面所へ向かい…、洗面台に髭剃りを置き、「あっ!」と忘れ物に気づく…。充電がない…。取りに戻り、髭を剃ろうとマスクを取る。「あっ…!せっかくだ…」とスマホを取りに戻る…。
もう自分でも馬鹿だと思いながら「カシャッ…」
なんで男は髭伸ばしたい願望があるのだろう?と考えるが…きっと自分の顔に自信がないのだろう…。
なのか…、自分のことを良く思いすぎなのだろう…。
その後、何も考えるはずもなく看護師さんが病室に入り話しかけてくる…「さいとうさん…今日、国の定めた…発症警戒日であれば、3日後に退院です」
発症から2週間経ち、症状の出ないことが3日続けば退院できるかの判断基準日のことだったような…。
「なので…点滴の針外します…」
今日も明るい看護師さん。声の調子と共に、とても嬉しい。よかった~、髭も剃ったし。ま、決定ではないので家…にはまだ内緒…。決まったらすぐ言おう。
やはり先が見えるのは、嬉しい…。
昼は楽しく完食し、曇った空でも見ながら…ゆっくり昼寝タイム…。
家に帰ったら何食べよう…?
ペペロンチーノ…? やっぱり焼き肉…小さな庭でバーベキュー…?
いや、おかづ…が食い散らかしてしまうか…?
息子呼んでいいんやろか…?
雑草スゴいやろな…。入院前に植えたカボチャどうなったやろ…?
頭に疑問符ばかりが並ぶが…それも楽しい…。
15:00
医師よりリモート問診あり、コロナ病棟一杯でこの4階から退院まで7階に移って頂くかも…?らしい。
この地方都市でも患者が増えているのだ。入院して処方された昨日までの薬を、入院しなくとも処方し始めなければ、とても病室が追いつかない現状が見えてくる。
早く投与して少しでも入院期間を短くしなければ、本当に必要な患者さんが入院できなくなる。
薬の副作用の問題もあり、こんなことを素人が簡単に言ってはいけないかもしれない…、
でも、携帯酸素ボンベを持ち運ぶ方など、1週間前には見られない光景が見られてきた。
18:00
夕食が毎日食べられる…。
このことだけでも、食事は体の基本だとつくづく思いながら…箸を進め、食事が済むといつも早い病院の夜となる。
寝る前、廊下を歩く後ろ姿に楽しみと辛さが混在するのを見ると、またいろいろ考えてしまった…。