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【ロック名盤100】#39 King Crimson - In the Court of the Crimson King

 今回紹介するのは、キング・クリムゾンが1969年10月にリリースした1stアルバム「In the Court of the Crimson King」だ。余りにもインパクトが強いジャケットで有名な本作は、プログレッシヴ・ロックの金字塔として広く認められている。
 ジャケットの印象そのままに、どこか狂気や畏怖を感じる。だがそれと同時に壮大で美しく、芯を持った力強さを纏っているのも魅力的だ。ポップス音楽の域を超えた、巨大で繊細な芸術。これを1960年代の後半に、しかも1stアルバムで発表しているというのだから驚くほかない。今聴いても全く古くないどころか斬新だとすら思える。ラストを飾る表題曲———これもやはり10分を超える大作———が終わったとき、僕たちリスナーは立ち上がって拍手するしかなくなるのだ。

1 21st Century Schizoid Man
2 I Talk to the Wind
3 Epitaph
4 Moonchild
5 The Court of the Crimson King

 雷鳴のように大きく激しく鳴り響く「21世紀のスキッツォイド・マン」はキング・クリムゾンの代表曲として知られている。バンドの演奏はもちろん、ホーンセクションも圧巻。説明し難く、とてつもなく強いパワーを持ったロック界の大名曲だ。タイトル通り風に語りかけるような美しい楽曲「アイ・トーク・トゥ・ザ・ウインド」、幻想的だがどこか深い恐ろしさを予感させる「エピタフ」、不気味なジャムが最後まで続く「ムーンチャイルド」を経て、表題曲に入る。本作を締め括るに相応しい壮大なアンセムだが、最後は不穏な感触を匂わせながら終わるのも狂気じみたこのアルバムを象徴しているといえるだろう。
 壮大で緻密で、現代になっても時の試練に打ち勝っているこのアルバムは、ポップス音楽における芸術的模索の頂点といえる(なんて前のめりなこと言っちゃって大丈夫かな)。演奏も限りなくハイレベルだし、一貫した世界観に没入できる魅力的な音作りも圧巻。キング・クリムゾンのこの作品によってビートルズらが作ったコンセプトアルバムの流れがプログレッシヴ・ロックとして形となり、クラシックやジャズに並ぶポップス渾身の芸術として語り継がれることになった。そうしたアイコニックな背景をもった傑作なので、音楽ファンには1度でもいいから聴いてほしい。それだけの価値がある1枚だ。
 そしてロックの芸術への模索は、またひとつ頂点を達する。ということで次回はピンク・フロイドの「狂気」を取り上げたいと思います。

↓「21世紀のスキッツォイド・マン」

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