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宗教2世小説 第4話:借金父さんは静かに暮らしたい。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係がありません。
第1話は▼こちらです!
第4話:借金父さんは静かに暮らしたい。
長かった戦争が終わった。
その直後、この国では多くの赤ちゃんが生まれ、世界的にみても異常なその現象は『ベビーブーム』と呼ばれた。のちにその頃生まれた赤ちゃんたちは『団塊の世代』と呼ばれるようになる。
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その『血の定め』
1980年代の日本。ここはとある地方都市の新興住宅地。
その中に比較的新しく建てられたどこにでもある住宅があり、どこにでもいそうな戦後の核家族が住んでいた。母親はテキパキと物事をこなし、父親はどんくさかった。
この一見、戦後の普通の核家族、そしてその大黒柱でもある「どんくさい男」には誰にも信じてもらえないような『血の定め』があった。
そして彼はその『血の定め』には従わず、戦争が終わったこの平和な高度経済成長期の日本で、ただただ自分の好きな仕事だけをし、ただただこの自分が生まれ育った地方都市で、ただただ自分で建てた新興住宅地の家で静かに暮らしたかったようだ。
その男の『血の定め』には「この国の根幹」が関わってくる。
話はなんと「この国の神話」にまでさかのぼる。ただし、この男には『神道』への信仰心はほとんど無いに等しい。
それではその「この国の神話」の時代から、この家の『血の定め』を順に説明していこう。
『永遠』と『繁栄』
はるか昔、東方の大海原にイザナミ・イザナギという2人の神が降り立ち、海をかき混ぜて8つの島を作った。それが日本列島の起こりだ。
そのイザナミには有名な3人の子供がいた。のちの天皇の祖となる太陽神であり女神の「アマテラス」、そしてその弟で月の神の「ツクヨミ」と、海の神「スサノオ」だ。
ある日、姉のアマテラスは乱暴者のスサノオの蛮行を気に病み、天界である高天原の天の岩戸という洞窟の中に引きこもってしまった。太陽神であるアマテラスが洞窟に引きこもったために世界は闇に包まれてしまった。
困った高天原の神々はとある神の提案で、とある作戦を決行する。
天の岩戸の前で宴会を開き、その宴会が気になったアマテラスが天の岩戸から顔を覗かせたら、その岩戸の隙間から鏡を差し込む。太陽神であるアマテラスが鏡に反射した自分の光で目がくらんだスキに力持ちの神が天の岩戸を開いてしまおう、という作戦だ。
その作戦は見事成功し、その時、天の岩戸の隙間に差し込んだ鏡はのちに「やたのかがみ」と呼ばれこの国の宝になる。その鏡を差し込んだ神は「アメノコヤネノミコト」という「言霊の神」で、のちの中臣氏・藤原氏、そして大友氏の祖となる神だ。
その後、その太陽神アマテラスの孫のニニギが高天原から地上に降り立つ。のちの世に言う『天孫降臨』だ。その時にこの「アメノコヤネノミコト」は他の4人の神とともにニニギに従って地上に降り立つ。今でもその地は「天孫降臨の地」と言われている。
若いニニギはその地で出会った地上の若い女神に恋をし、父親に結婚の申し込みをしに行く。が、その父親が出した提案は突飛なモノで、
「その女神の姉もセットで嫁にもらってくれ。」
とのことだった。
その姉に会ってみると非常に醜く、ニニギは姉の結婚だけは断ってしまった。しかし、その姉と妹の『セット婚』には重大な意味があった!
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