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優秀な人材が自然と行っている”具体と抽象の往復運動”

「いつも同じようなアイデアに終始してしまう…」
「説得力ある説明が上手にできない…」

こういった悩みをお持ちの方も多いと思いますが、もっと根本的な部分に目を向けると、足りないのは「抽象化」と「具体化」のスキルです。加えて、この両者を自在に行き来できるスキルもまた足りていないのかもしれません。

以前に、組織の機動力を高める”仕組み化”というテーマでnoteを書かせていただいたんですが(よろしければそちらもご覧ください)、その仕組みを作る上でもこの「抽象化」と「具体化」のスキルが必要になってきます。今回は、こちらについて深堀りできればと思います。


1.抽象化の正しい概念は?

まず押さえていただきたいことは、「抽象化」は曖昧にすることではないということです。「具体化」と違って認識がズレている方が多いです。抽象化とは、複数の物事が持つ固有の枠を超えて一般化すること。つまり、一段高いところから事業全体を見渡して共通の要素を取り出し、一つの概念にまとめることを言います。

・物事を大きな概念でまとめて一般化すること
・多くの情報の中から枝葉末節を削ぎ落とし、物事の本質を浮かび上がらせること

これが「抽象化」の概念です。

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2.「スキル」よりも「センス」が評価される時代へ

では、前提条件を揃えたところで、なぜ「抽象化」と「具体化」のスキルが重要なのか?の背景についてお伝えできればと思うんですが、大きくは時代の変化です。これまでは

・正解を探す
・予測する
・KPIで管理する

といった時代でした。ただこれからは

・問題を探す
・構想する
・意味を与える

ことが重要な時代になってきています。つまり時代の変化とともに、「役に立つこと(=スキル)」よりも「意味のあること(=センス)」が評価されるようになりつつあるということです。ここで言う「意味のあること(=センス)」とは、”具体と抽象の往復運動”のことです。個々の具体の問題を具体のまま終わらせるのではなく、抽象度の高いロジックとして頭の中の引き出しに入れておくそして場合に応じて引き出しから取り出す。そうしたセンスが求められています。

また以前にこういったツイートをしたんですが、人材が多様化し、戦略も複雑になっていく中で、そうしたセンスがないと組織はきちんと機能しません。


3.具体と抽象の往復運動

まず「具体化」することで思考が明確になり、話にも説得力が生まれてきます。一方、「抽象化」することで物事の全体像を掴むことができたり、解釈の自由度が高まり応用できるようになります。また複数にまたがる本質を見つけ出し、そこから別の具体例へと展開させやすくなるので、アイデアを生み出す源泉にもなります。

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ただ先述のように、どちらか一方ではなく、具体と抽象を行き来できることが重要です。具体化も抽象化も優劣があるものではなく、問題解決においてはその両方が必要になります。具体化しなければアクションに移行することができず、抽象化できなければ全体像を理解することができないからです。


4.思考のトレーニング

では、このスキルをどのようにして身につけていくのか?ですが、SHOWROOMの前田裕二さんの書籍にも、同じような内容が書いてあるので思考のトレーニングの参考になると思います。

一般的には、リストアップ→共通点→階層整理→全体像を俯瞰→不足点を補足、というのが抽象化の流れですが、すぐにでも取り組めることでいえば、小説、映画、漫画のあらすじを書いたり、自分の考えについて文章でまとめてみるなどがオススメです。なぜなら抽象化に必要な物は思考力だけで、思考力は反復運動の中で鍛えられますし、具体化であれば「5W3H」の思考習慣や日常的なインプット・アウトプットの積み重ねによって鍛えられるからです。


今回このnoteを書く上で、仕事ができる人ってどんな人なんだろ?と改めて考えてみたんですが、「外から与えられる情報や自分が持っている情報を生産性に変換できる人」だなと思いました。仕事の質を決めるのは、持っている情報の質や量ではなく、情報を使う力だなと。過去の経験に頼りすぎてはならない理由がこれで、自分が持っている経験も情報の一つだと思えるかどうかが大事です。スポーツも一緒ですね。

目に見える具体的な情報から共通の要素を取り出し、新しい概念を創り出す。全体を知り、本質を知り、今なにをやるべきかを掴んだ上で、これからどこに向かうべきかという目標設定を行い、行動する。それが優秀な人材の取り組み方なんだと思います。


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