高齢者のニーズとアプリ開発
耳の不調を感じ耳鼻科に行ったという父が、補聴器のパンフレットを手に言った。
「アプリで、ないかね」
と。
音声を拡張するアプリはあるだろうが医療用ではないし、補聴器自体、眼鏡と同じで個々の症状にあわせるものだから、微妙なカスタマイズができないであろうアプリはどうかなと答えたのだが、常時聞こえづらいわけではなく、シーンによって聞こえにくいなと感じる程度で本格的に補聴器をするほどではないし、ワイヤレスヘッドセットがあるからアプリがあれば目立たずに使えていいのだが、と言う。
調べると「補聴器」をうたう音声拡張アプリは有償・無償いくつか出ていた。中には、海外のもので医師やオージオロストが開発に参加したアプリもあった。u soundというものだが、なんでも医療機器として認められているという。(但し、アプリ開発された国ではということだろう)
医師+オージオロジストが協力開発した補聴器アプリu sound
2つの視点で補聴器販売をしている難聴者の耳・補聴器ブログ
高齢者が増え、ニーズはあるんじゃないかなと父。
医療用をうたうのは日本では難しいのかなと思うが、いまどき市場は日本国内のみではない。また、この手の一時的な不自由をサポートするアプリのニーズは、補聴器を問わず他にもありそうだ。
MMD研究所が60歳~79歳(*1)の男女4,244人を対象に行った調査「2017年シニアのスマートフォン利用に関する調査」(*2)では、シニアのスマートフォン所有率は48.2%、2016年より9.7ポイント増だという。タブレットに関してもシニアの所有率は30.5%、2016年より0.9ポイントと微増している。
主な利用はメール・動画・ショッピングだそうだが、今後ICTに対してアクティブなシニア層は増え裾野も広がるだろう。WebアクセシビリティのJIS、"JIS X 8341-3"の正式な名称が「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」とあるように、アプリ開発・設計にもWebアクセシビリティを意識して欲しいものだ。高齢者にも障がい者にも使いやすいアプリは、みんなにとって使いやすいアプリとなる。
幾つかの補聴器アプリを父にメールで知らせたら早速返事が来た。いろいろ調べてみるという。次に会うときはアプリを使用した感想が聞けそうだ。
*1 総務省の「平成29年版 情報通信白書」では、スマートフォンユーザーの調査で60代以上と高齢者を一括りにしているけど、もう少し細分化した調査が必要に思う。
*2 MMD研究所 2017年シニアのスマートフォン利用に関する調査
(了)
来月の単位認定試験にむけて、しばらくnoteはゆるっとした内容が多くなりそうです‥調べる時間が取れなくなってきました(苦笑)
ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド アイズランド湾 ©moya