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イン・アンド・アウト In- N-Out

2000年頃、西海岸に仕事で行くことがありました。私が住んでいた東海岸とは異なる食文化にとても驚いたのを覚えています。どちらかというと大味の料理が多いのですが、カリフォルニアの太陽の下で、たくさん食べるという文化と、知らないチェーン店がこれほどあるのかという驚きがありました。

そんな中、仕事仲間がランチに連れて行ってくれたのがイン・アンド・アウトです。まだ、今ほどチェーン展開をしておらず、近所の人が通っているようなハンバーガー店でした。

店に入ると、ハンバーガーを焼く音と匂いが立ち込めています。白い制服を着たスタッフが忙しく働いています。そして大きな声でお客さんを捌いていました。聞くとお客さんの注文が決まってから調理をするのだそう。
これは手間がかかります。アメリカ人はマクドナルドであってもピクルスを入れるな、トマトを足せなどわがままなオーダーをする人が結構な数います。1からオーダーとなるととてつもなく面倒な手間が発生するでしょう。

メニューを見て納得しました。なんと、メニューはハンバーガーとポテトしかないのです。メニューの種類が増えると客のオーダーに応えるのが大変ですが、ハンバーガーしかなければ、対応できるでしょう。

しかし、この店、ハンバーガー1種類のメニューでよくこれだけの客を集めるなと感心しました。よっぽど美味しいのでしょう。

私は普通のハンバーガーを頼みました。好みでチーズバーガー、ダブルダブルというパティが2枚のハンバーガーも選べるようです。

ハンバーガーとポテト

オーダーをして待っていると、お客さんは、何やら色々と注文をしています。どうやらかなりの数の裏メニューが存在するようです。パティが5枚だったり、パンがレタスだったりするのです。多くの人がアニマル・スタイルと注文しているのにも気づきました。
ここでは、ハンバーガー1種類しか提供していませんが、そのハンバーガーにかなりの種類のオーダーができるのが人気の秘密だと理解しました。

そして、いよいよ私の番号が呼ばれました。
私の頼んだのはちょっと小ぶりなハンバーガーですが、とても美味しそうな香りがします。野菜も新鮮です。そしてポテトも美味しそうでした。

ハンバーガーを食べて納得!フレッシュで素材が素晴らしく肉汁も然りあって美味しかったです。このクオリティを維持していることに驚き、これほどの味を作り出す「イン・アンド・バーガー」について調べることにしました。

まず、素材に関しては、基本的に全て自社の農場で作っているそうです。私がイン・アンド・バーガーに電話して日本でビジネス展開できないか問い合わせたところ、自社の厳しい基準で作る肉や野菜を管理できないので、ミロだと言われました。アメリカでも西海岸にしかないのも同様の理由だそうです。自分達の目の届かないところでは、同じクオリティのs寺を提供できないというとてもわかりやすいお話でした。そして利益追求だけでなく、きちんとした商品をお客さんに届ける努力をしている企業なんだなと知りました。

メニューは
ハンバーガーチーズバーガーダブルダブルの3種類ですが、野菜を増やすとか、ソースを変えるとか、細かなオーダー2位対応してくれます。さらに以下のような裏メニュがあるそうです。
プロテインスタイル バンズがレタスに変更されているもの
アニマルスタイル ソテーした玉ねぎが追加される
グリルド・チーズ パティがないチーズだけのもの
そのほかにも店によっては色々と裏メニューがあるそうです。

裏メニューの4x4

そして店舗には冷蔵庫や電子レンジ、保温のための場所もないそうです。他のチェーン店は工場で作られた食材が冷凍で運ばれてくるのですが、イン・アンド・アウトは、全て新鮮な状態で店に届き、冷凍解凍は行わず調理されています。これ、結構大変です。アメリカの企業がきちんとこの温度管理をしていることに驚きました。

聞くところによると、イン・アンド・バーガーは若者にとってアルバイト先、就職先としても人気のようです。スタッフは高いモチベーションを持って働いています。店内の掃除もしっかりされています。給料も良いそうです。

かつて、日本には、このようなきちんとしたクオリティの料理を安価で提供する店がたくさんありました。しかし、資本主義の悪い部分ばかりを真似て、現場を知らない経営者がコストカットを行い、薬まみれの冷凍食品を提供するようになってしまいました。「安かろう、悪かろう」という言葉通りのチェーン店の乱立です。アメリカでもマクドナルドをはじめ、体に悪い食材を使って安く食事を提供するチェーン店もたくさんありますが、その中で、イン・アンド・アウトは、お客さんのことを考え、面倒でも結果、成功すると考える経営者に敬意を表します。
そして、ちょっと高いですが、こういった店を支持するカリフォルニアの住人の心の豊かさにも驚きました。

シェークも美味しいです。(カロリーがすごいです)

2024年、イン・アンド・アウトは75周年を迎えました。現在、店舗はカリフォルニアを超え、アリゾナ、ネバダ、テキサス、オレゴン、コロラド、アイダホに広がっています。これは自社農場を徐々に東に拡張しているということです。

冷凍技術を導入して、安易な拡大路線を取らず、今後もクリティの高いハンバーガーを提供してほしいです。

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