「ママ、怒らないで聞いてね」
たまに息子(小3)が母親に言う言葉。
彼にとっては何気ない言葉なんだろうけど、この背景にはなんだか大きなものがあるように感じた。
そもそも、彼が「今から伝えること」は相手を怒らせる可能性があるから、この前置きが必要になる。
怒られるのが恐い、もしくは嫌だから前置きする。
ということは、彼は相手に対して
これを言えば怒られるかも
怒られたら嫌われちゃうかも
嫌われたら寂しい
そんな感情を抱いているのかもしれない。
彼が生まれた時
元気な赤ちゃんなのか?
指は5本あるのか?足の指は?目はある?声は出せる?息はできる?
良かった…元気に生まれてきてくれて良かった。
その場にいた誰もがそう思った。
お陰様で、彼は今も元気に生きている。
指は5本、足の指も。最近は、ゲームのやりすぎでメガネをかけるようになったけど、目も見えて、声も出せるし息もできる。
あの時望んだものは、全て変わらずそろっている。
いや、あの頃以上に彼は元気に大きく成長している。
あれから8年。
彼は今、目の前の相手に怒られるかもしれないと思って会話に前置きをしている時がある。でも、その前置きは、自分を守るカードな反面、相手に怒るカードも準備させることになる。
親として、子供を怒ることが必要な時もある。
もちろん、それは愛情からくるもの。
その愛情を、受け手はどう取るのか?与える側にはわからない時もある。
今後、彼が心から何かを伝えたい時、「前置き」が邪魔をして、想いを伝えられない時が来るかもしれない。
その想いは、彼にとってとても重要なことかもしれない。
その想いは、1回しか伝えるチャンスがないかもしれない。
だから、「前置き」なしに、いつも無防備で想いを伝えられる、伝え合える環境でありたい。
五体満足に生まれてきてくれたことに感謝したあの日は間違いなくあった。神様や仏様にありがとうと言ったあの日は、間違いなくあった。
今もその感謝は忘れちゃいけない。今日も「おかえり」を言えるとは限らないのだから。