制作日記②ーZINEの話・前編
前回の記事(以下のリンクをご覧下さい)で自分でもZINEをつくっていたからZINE展をはじめてみた、という話をしました。
今回は今までにつくったZINEの話などを。
もともとZINEの存在をどこで知ったのかは忘れてしまいましたが、自分が初めてZINEと呼べるものをつくったのは大学4年のときでした。
友人の小口志帆さんとふたりで、文化祭で作品とポストカードを展示販売することになり、もう少しなにかふたりらしい作品を、と考えた時に、ふたりとも本が好きで絵も文章もかいていたので、絵を交換してその絵にお話を書いて冊子にしよう、ということになりました。
予算があまりなかったので、デザインも編集も製本も自分たちでやりました。
写真左の冊子「ちいさな人たち」はひろせが絵、お話をおぐちが、右の冊子「不安な童話」は絵をおぐちが、お話をひろせが担当してつくりました。
絵からお話を書く、という通常と逆パターンでの制作方法を取ったことで、自分にはない言葉が出てきたりしておもしろい試みでした。
今見るといろんな意味で大変拙い冊子ですが、ふたりで夜中まで大学のパソコンの前で「ああでもないこうでもない」と試行錯誤しながら作った思い出の作品です。今でもZINEづくりを続けている楽しみの原点はここにあるなと思っています。
このころはまだ「ZINE」ではなく、「冊子」と呼んでいました。
小口志帆さんは今でもひろせの企画展によく参加してくれる油彩作家さんです。
おぐちのInstagramは以下のリンクをご覧ください↓
大学を出るか出ないかのころに、「ZINE」という言葉をよく目にするようになりました。
おぐちと作ったようなものをまたつくってみたいなと思い、今度は1人でこつこつと作りはじめました。
最初のころのひろせのZINEは、家のプリンターで印刷し、半分に折ったものをホチキスで中綴じしただけの簡易なものです。
「絵とことばのZINE」はシリーズとしては3冊つくりました。それぞれ少部数ずつ、足りなくなったらまた印刷して製本する、というかたちでつくっていました。
いろいろと作っていくうちにだいぶデータ作りにも慣れて、印刷所に頼むようになりました。
家で自分でちまちま作るZINEもすきですが、やはり家庭用プリンターでは絵をきれいに印刷するにも限界があります。
印刷所に頼むと綴じ方や紙も選べるし、なにより届いた箱を開けたときの「本になってる!」という感動がいつも新鮮にうれしいです。
ここからは現在もオンラインショップで取り扱いのあるZINEの紹介を、裏話も交えつつしていきます。
ご興味がございましたらお手に取っていただけましたらさいわいです。
●「まひるまの残像」
短歌と絵のZINEです。
iPadを手に入れ、飛躍的に作業効率が上がりました。なんとこの冊子をつくる以前はスマホで印刷データをつくっていました。今ではもう考えられません…。
こちらは絵もiPadで描きました。いろいろとお試しな感覚でつくったZINEです。はじめて印刷所に頼んだZINEでもあります。家でできない製本方法にしようと思って、くるみ製本で頼みました。
デザインはノートに短歌を書くイメージで考えました。中の紙もクリームキンマリでかわいくて気に入っています。
印刷はコスパの神、プリントパックさんにお願いしました。
●「ここではだれもゆめを見ない」
こちらは詩と絵のZINEです。上のZINEと対になるようにつくりました。
製本の仕様は同じで、青に対して赤で編集しました。
実は上の本をつくったときに、ページ数がデカデカと表記されてるのが気になって、こちらの本は控えめな大きさに変更しました。
無料のお絵描きアプリでデータを作っているので、文字間などの調整が難しく、一度jpgに保存して部分的に気になるところを詰めたり…という地味な作業が大変だった思い出です。
こちらもくるみ製本で、印刷はプリントパックさん。
●「If You Open The BOOK...」
油彩ドローイングのZINEです。
アクリル絵の具の下地の上に油彩の単色で描いたドローイング作品を2020年ごろから描きはじめました。
ドローイングの仕方は学生のころから試行錯誤してきましたが、この方法が今のところ自分に合ってて気に入っています。
作品になる前の、おぼろげに出てきた感覚を留める気持ちで描いています。
油彩ドローイングの、画用紙に描いたような原画の雰囲気が出したくて、表紙はアラベールを使いました。
アラベールは手触りがすきで、絵を描くのにもZINEの表紙にもよく使います。
こちらは紙がいろいろ選べてたのしいプリンパさんにお願いしました。
●「まばたきのなごり」
短歌とまんがのZINEです。
あんまり長いお話のまんがは描けないけど、普段絵を描いたり、詩歌を書いたりするのとはまた違う頭を使っている気がして、まんがを描くのはすきです。
この本は、月をもらった男の子の夜の短いお話「月と暮らす」、自作の短歌から着想を得た1ページまんが6編からなる「まばたき」が収録されています。
印刷はいつか使いたいと思っていたレトロ印刷さんにお願いしました。表紙は二色刷り、ミシン綴じは糸の色も選べてたのしいです。
リソグラフ印刷は刷り上がってくるまで仕上がりがどうなるかわからなくてどきどきしますが、版画のようなアナログな雰囲気がすきです。
だいぶ長くなってしまったので今日はここまで。
次回は残りのZINEの紹介をしていきます。
ご興味ございましたら次回もお付き合いください。