可愛い私

私はずっと格好良くなりたかった。

『可愛いね』より『格好良いね』の方がずっとずっと嬉しかった。

私はそういう人間なのだとなんの疑問も浮かばなかった。

でも今お付き合いをしている人が先日ホワイドデーだからとピアスを買ってくれると言ってくれた。

だから好きなのを選びな、と。

優柔不断な私は沢山悩み、最終的に決めたのは春らしい可愛いデザインの花のピアスだった。

それを選ぶ時私は『珍しいね』と言われてしまうのではないかというちょっとした恐怖心があった。

しかし彼は『綺麗だね、いいんじゃない?』と言ってくれた。

口下手な彼は私に直接『可愛いね』と言ってはくれないけど可愛らしいデザインを選んだ私を肯定する言葉だった。

その時なんだかすごく嬉しかった。

私の家族は私が可愛いものを選ぶと『どうしたの?珍しいね』と言うのだ。

悪気はないと思うのだけど、どこかネガティブな私は、それを可愛らしいデザインを選んだ私を否定されたと思い込んでいたようだった。

彼は可愛い女の子が好きなのだと思う。

だから私がそれに近づくことは嬉しいことなのだと思う。

その事を喜んでくれるのは私もとても嬉しいのだ。

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