新しいものは良く見える 人のものは良く見える 良いところしか見えない だから最適と勘違いする 使い古したもの 蓄積されたもの 気に食わないところが印象に残ってしまう だけれどあの時の初々しさは格別だった 今思い返しても胸が踊るような 一生記憶に残る時間とその感覚 その時に決まった わたしの心は貴方から 離れられない 貴方と同じものを覚えて また同じ夢を見て きっと歴史が繫ぎ止め もっと先を見据える 今はその途中 迷いなんてない
声が好みだった 見た目の印象があまりない 電話でいろんなことを話す あなたの声で聞きたくて 山ほどの質問をする あなたの脳と経験で濾過されたその言葉の1つひとつを味わいたい あなたのフィルターを通した全部が 私を意識させ、私の全部が今感じる
連絡が2日つかないと想像してしまう 彼がなにかに巻き込まれたんじゃないかって 1000km離れていては出来ることがない 大きな地震が起きてしまったら もう死んだと思う 彼が死んでも私は仕事をする その日は休まない いつ周りに打ち明けるか考える わたしは自分を保つために そのうち他の人に恋をする 次は結婚したいとまで思えるかな 死者といつまで心で繋がっていられるだろうか そう考えながらほかって置いたら 彼から連絡がある 日常に引き戻される わたしは
近くで通り魔事件があった 遠くで大きな地震がおきた 有名なあの人が重い病気になった 知人が遭難した 友が車に轢かれた 母の記憶がなくなった 父が罪を犯した 大きな衝撃と時間の経過 忘れられる過去と癒えることのない傷 生について考えるとき 楽しくて我を忘れてしまうとき 幸せは長続きしない 痛みはなかなか消えない 嘘みたいなこと 本当だと思えないこと 生きること死ぬこと 加害者と被害者 当事者と傍観者 心を推し量った発言 軽んじた発言 そ
仕事がない やることがない 金がない 学がない できることがない 夢がない 考えもない 時間を何かに変える手立てがない 顔が良くない 身長もない そういえば愛もない 友がいない 繋がりがない 血管が太くない 献血すらできない なにか人に与えたい 生きてたい 自信がない
今日も新宿のビルの隙間には ポイ捨て禁止の張り紙が貼られた赤いカラーコーン その奥に何十メートルも続くゴミの路 御苑の脇の段ボールから覗く酒と醤油瓶 そういえば、いつも駅のそばにあったのに 今日は見かけない 同じようにスーツを着ているのに 歩き方と髪型とブランドバッグが似合ってない者 街に出てくる者と逆行するように 地下出口の階段で片脚に重心を傾けて その足が履くスリッパと長い爪の手に携えるケータイと 目に大胆に付着するまつ毛 なにかこの街は変だ そう
喉を逆流する酸性に 構造の単純さを知った 何もかも吐き出さないと 心が持たないと思った 吐き出すためには飲むしかなかった 身体はこんなに正直なのに 心は複雑で臆病 パレットの上で全部ぐちゃぐちゃに混ぜて 明日を塗り潰してしまえ
あの海沿いにある神社で結ぶ 名前入りのハート型の南京錠 そこに一緒にきてくれる君を試してた 別にそんな証拠ほんとは必要ない 心配だからなにかに頼りたくなったのかも じぶんの心以外で踏ん張りがききそうなもの また他にも残したくなって 写真を撮るインスタに載せる なんか、もうこのハートぜんぶ 嘘にみえてしまうね
深夜の記録的な大涙 なのに、朝は各地晴れ 季節外れのキミの体温 わたしの知ってる最高気温 通り雨や雷雨の注意もしない わたしの心は既に真夏日 もっと知りたいキミの空模様
なかなか一緒にいれないね 彼がそう呟いた 仕事だからきっとやりたい事を選んだ方がいいんだけど 5年先まで東京っていうが分かっちゃってるってのは、なかなか 2人の将来について まだ、ちゃんと話したことはない 何年に結婚して その何年後に子どもを産んで そのとき彼はどの地で働いていて そのとき私は何をしているんだろう 女が男にただ、ついていけば 何も考えることはないようだけど わたしは子どもよりも作品をつくろうとしている まだ自分を愛し足りない それは、
まだ明るいのに 笑点が今日を終わらせにかかってる 促されて早い風呂に入り、夕食をとる 目は動くサザエさんを見て 頭は明日からの生活に思いを馳せて 大河で斬られる侍と共に爆ぜる胸中 逃避しようと体力と逆行する目の冴え 日を跨いでからようやく眠りにつき 眠い目を擦りながら決まった時間に家を出る ただ始まってみるとなんて事ない月曜
私はナイフ。 きっと君を傷つける。 傷んだ私を隠そうとして 包んだ君の手のひらすらも 肌に鋭い刃先を押し付け じりじりと君を傷つける。 毎夜、君を悔やんで眠りつく。 目が覚めても 悲しいことに私はナイフ。
彼が好きだ。 そこに理由はない。 わたしのする事の全部に理由がない。 強いて言えば彼が好きだから。 何も考えずわたしに指図しないでほしい。 何もないわたしがカタチづくれる筋合いに彼はなった。 彼に蝕まれて、わたしの身体はもう自由が利かない。 それは唯一わたし自身が望んだこと。 わたしはわたしを救わないといけなかった。
彼が麻雀のゲームをしてるのを 私はただ、ポッキーを食べながら横の台に座って眺めてる 家に帰るのはなんか嫌で 外で遊ぶにはお金足りなくって 時間と親の思いを潰してた それで良いって思ってたあの頃 甘酸っぱい良い思い出
歳取ってくると似てるのが顕著になるんだよねぇきっと。 いやかなぁ? 母からのLINE 友達に撮られた動画をみてそう思ったらしい。 わたしも面接の練習だとかで 自分の話し方を見たときに 左右対称でない口角だとか 立っている姿勢がなんとなくだらしがないだとか 嫌なところが目につくし 二度と見たくないと思ったりする 自分の顔や表情 見れば見るほど不自然で変な気がしてくる でも、なんかそんなことを考える自分ごと かわいくなってきて 母もそう思ったのかなと思
照れ臭かったことが 普通にできる 悲しいときは 白状できる 君が考えることを そうと思いたい 僕が思うことは 半分だけ抱きしめてくれればいい 君だから優しくなって 君だから厳しくなって 手を伸ばしては解けてしまう 君をやっと捕まえて まだ足りないと言って 君の前から消えてなくなりたい