【作曲】リードギターはペンタ
長いです(5000字程度)。
ほぼ音楽理論の話です。
リードギターはなんとなく色々なことをしている気がします。
とりあえず何をやっているかざっくり分けてみましょう。
・単音
・複音(2,3音)
・コード(4〜6音)
ギターの弦は基本的に6本なので、馬鹿みたいですがこんな感じで分けましょう。
もちろん
・リフなのかアルペジオなのか
・ペンタ一発なのかモードスケールなのか
・パワーコードなのかオクターブ奏法なのか
色々な見方ができます。
ただ最初からあれこれ考え、あれこれやるのは大変なので単音のみでいきます。
コードはリズムギターに任せ、複音は捨てましょう。このnoteでは、複音、リフ、ボイシングなどには触れる予定はありません。
今まで歌メロもコード進行も理論的な部分にあまり触れずやってきましたが、リードギターについてはわりとがっつり理論を考えていきます。
興味がない方は読み飛ばしてください。
そもそも私はあまり理論に明るくないアマチュアなので、所々間違っていると思います。すみません。
まずキーから考えていきます。
キーがCの曲というと、Cという音を中心にできているということになります。
イメージとしてはCから始まって、他の音に行ったりCに戻ったりしながら、最後にまたCに戻ってきて終わる感じです。
もちろん実際には当てはまらないことのほうが多いですが、とにかくCが中心にあるイメージです。
もう少し具体的に言うとCを中心としたCメジャースケール、Cメジャースケールを重ねたダイアトニックコードを中心に構成されています。
では、キーCのダイアトニックコード上ではどんなスケールが弾けるでしょうか。
キーCの曲はCメジャースケールでできているので、Cメジャースケールが弾けます。
そのため、Cメジャースケールの内の5音で構成されたCメジャーペンタも弾けますし、無理矢理Cマイナーペンタも弾けます。
なぜCマイナーペンタが弾けるのか私はよくわかりません。スリーコードに対してうまい具合な度数になるっぽく、ブルースっぽいフレーズが弾けます。
そしてマイナーペンタが最も簡単にそれっぽく弾けるスケールです。
スケールなんてよく知らないという人は、なにはともあれ、Aのブルース進行を弾きながら、合間にAマイナーペンタを弾く練習をしましょう。
最初はYouTubeでAブルースのバッキングを流してその上でペンタを弾くと良いと思います。
ざっくり6弦5フレットから始まるAマイナーペンタを覚えたら、有名なブルースギタリストの曲を聴いて、部分的にフレーズをコピーすると良いと思います。
単音なので耳コピしやすいですし、ブルースの上ならほとんどコードを気にせず弾けると思います。
おすすめはT-Bone walkerの「T-Bone Blues」というアルバムです。
特に大好きになる必要もないので、とりあえず師匠として真似してみましょう。
この練習は楽しいですし、1人で伴奏とフレーズを弾くのはものすごくいい練習になります。
そこそこ弾けるようになったら、同じポジションでAメジャーペンタも弾き、慣れたらメジャーペンタとマイナーペンタを混ぜてみましょう。
このようにキーに対してスケールを使うと、コード毎に忙しなくスケールを変えるのに比べ、まとまりのあるフレーズが作りやすく、覚えるスケールも1つで済みます。
※補足としてCメジャースケール内の音でもコード毎に不協和になる音(アヴォイドノート)がありますが、使ったほうが良いパターンもありますし、覚えるのも避けるのも難易度がかなり上がるので、アヴォイドノートはそんなものがあるんだなと思うだけにして忘れましょう。
問題なのは、キーCに対してAメロもBメロもサビもずっと同じスケール一発というのは上手くやらないと単調で、弾いても聴いていても飽きます。
では、次にコードに対してスケールを当てはめていくパターンも考えていきましょう。
ネットで調べると、コードスケールとかチャーチモードとかモードスケールとか教会旋法とか書いているやつです。
キーCの場合、
イオニアン(Ionian): C, D, E, F, G, A, B
ドリアン(Dorian): D, E, F, G, A, B, C
フリジアン(Phrygian): E, F, G, A, B, C, D
リディアン(Lydian): F, G, A, B, C, D, E
ミクソリディアン(Mixolydian): G, A, B, C, D, E, F
エオリアン(Aeolian): A, B, C, D, E, F, G
ロクリアン(Locrian): B, C, D, E, F, G, A
となります。
どこにでも書いてある説明ですが、構成音としては全てCメジャースケール(CDEFGAB)で、全く同じ音たちです。どの音を中心として考えるかという違いしかありません。
Cを中心に考えればCイオニアン、Aを中心に考えればAエオリアンです。
実際に弾くときはこの順番で弾くわけではないので、並び順、弾く順番ではありません。
ちなみに、AエオリアンはAマイナースケールです。
一体これはなんなのでしょうか?
音というものは同じ音が鳴っていても他の音や前後の音によって全く違う印象になります。
Cメジャースケールを弾いていても、後ろでDコードが鳴っていれば、Dドリアンスケール、Gコードが鳴っていればGミクソリディアンスケールを弾いたといえます。
もしくは伴奏がなくても、Dドリアンスケールを意識して弾けば、Dドリアンスケールといえます。
ここまでだとなんとなくイメージの違いにしかならないので、もう少し詳しく見ます。
構成音をモード(コード)から見た度数にしてみます。
イオニアン(Ionian): 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7
ドリアン(Dorian): 1, 2, ♭3, 4, 5, 6, ♭7
フリジアン(Phrygian): 1, ♭2, ♭3, 4, 5, ♭6, ♭7
リディアン(Lydian): 1, 2, 3, ♯4, 5, 6, 7
ミクソリディアン(Mixolydian): 1, 2, 3, 4, 5, 6, ♭7
エオリアン(Aeolian): 1, 2, ♭3, 4, 5, ♭6, ♭7
ロクリアン(Locrian) :1, ♭2, ♭3, 4, ♭5, ♭6, ♭7
長3度(メジャー系)のものと、短3度(マイナー系)のもの、あとは減5度のロクリアンに分けます。
●メジャー系
イオニアン : 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7
リディアン : 1, 2, 3, ♯4, 5, 6, 7
ミクソリディアン: 1, 2, 3, 4, 5, 6, ♭7
●マイナー系
ドリアン : 1, 2, ♭3, 4, 5, 6, ♭7
フリジアン: 1, ♭2, ♭3, 4, 5, ♭6, ♭7
エオリアン: 1, 2, ♭3, 4, 5, ♭6, ♭7
●マイナーフラット5
ロクリアン :1, ♭2, ♭3, 4, ♭5, ♭6, ♭7
メジャー系の中で差があるのは4度と7度。
マイナー系の中で差があるのは2度と6度。
これらを特性音といいます。
この音を弾くとそのスケールらしさが出ます。
少し話がずれますが、キーに関係なく、ルート、3度、5度を弾けばコードでも単音のフレーズでも、メジャーな響きになり、3度をフラットさせればマイナーな響きになります。
これと同じようにルートと特性音を弾くとそのスケールの響きになります。
メジャー系の特性音を抜かしてみます。
1,2,3,5,6
そうすると、ヨナ抜き音階、メジャーペンタになります。
マイナー系も同じように特性音を抜かします。
1,♭3,4,5,♭7
そうするとニロ抜き音階、マイナーペンタになります。
ついでにロクリアンも2度と6弦を抜きます。
1,♭3,4,♭5,♭7
マイナーペンタの5度をフラットしたものになります。
モードスケールは指板上で7種類のスケールを弾き分けるためとても難しいです。
とりあえずメジャーコードならそのコードのルートのメジャーペンタ、マイナーコードならマイナーペンタを弾きましょう。
Ⅶについては5度をフラットさせるか弾かなければいいですし、最初はいっそマイナーペンタを弾いてしまってもいいんじゃないでしょうか。
いつかできるようになれば問題ないです。
ノンダイアトニックコードについてもペンタで押し通し、dimやaugなどの複雑なコードは諦めましょう。弾けざるを得ない状況であれば、構成音を弾くだけです。
さらに話を進めます。
ドリアンは洗練された響きとかリディアンは前衛的な響きとか言われていますが、「使ってみたらやっぱりただのメジャースケールじゃん」とか「そもそもドリアンスケールを使ってドリアン感のある曲を作るならどこで使うの?コード進行はどうすんの?」という疑問が出てきます。
改めてキーについて考えます。
キーはメジャーキーとマイナーキーがあります。
Cコードを中心としたコード進行にすることでキーCらしさが出ます。
Amを中心としたコード進行にするとキーはAmになります。
構成音、ダイアトニックコードが全く一緒なので、違いは使い方だけです。
ここまでに見てきた通り、Dドリアンも、キーC、キーAmと構成音、ダイアトニックコードが同じです。
ただ、中心となる音はDで、Dmに解決します。
キーCはⅠを中心にしたキーです。
キーAmはⅥを中心としたキーです。
キーC、キーAmでやっているようなドミナントモーションでCやAmに解決していると当然キーC,Amに聴こえてしまいます。
Dドリアンらしい曲を作るなら同じダイアトニックコードで、Dmを中心とした機能を割り振りし直して使う必要があります。
もちろん他のモードも同様であり、あまり使い勝手も良くないようです。
そのため、使いやすいⅠとⅥを中心とした以外はほぼ使われていないという状況みたいです。
ドリアンスケールを中心とした曲を作るのはなかなか大変です。
そこでモーダルインターチェンジです。
また難しい言葉が出てきました。
モーダルインターチェンジとは、ざっくりと主音はそのままにスケールを変えてしまうことです。
要するにキーCのCコードではCイオニアンを弾くところですが、Cフリジアンでも、Cミクソリディアンでも弾いていいよというやつです。
これはなぜそれが可能なのかという理窟はあまりないっぽいです。
音楽は基本的な理論から外れれば外れるほど、複雑にまとまりがなく聴こえてきてしまう部分もありますが、それは短所でもないので、思い切ってぶち込んでみましょう。
キーがCで、Cのミクソリディアンが弾きたいなら、CコードだったところにC7を入れてCミクソリディアンを弾きましょう。もちろんCmにしてCエオリアンでもOKです。
これもコードの機能を無視した形になりますが、一時的に転調しているようなイメージで、よりモードの雰囲気が引き立つとも言えます。
今回、コード毎の特徴音を排除したペンタで簡単に弾くというのをやりましたが、パワーコードもオクターブ奏法も同じことです。
個人的にパワーコード、オクターブ奏法ってあんまり好きじゃなかったんですが、ペンタを学び、使いやすいって大事だなと思い、好きになりました。
別にサウンドが気に入らなかったわけではなく、ただ単に偏見を持っていただけみたいです。
まずはペンタとパワーコードで作曲してみるのもいいのではないでしょうか?
ちなみにペンタのライバルとして最初に覚えるべきと言われるのがコードトーンだと思います。
コードトーンはそのコードの長短に合わせ1度、3度、5度、7度の4音を拾います。
ダイアトニックコードのコードトーンは、メジャーセブンス、セブンス、マイナーセブンス、マイナーセブンスフラットファイブの4種類になります。
ペンタより1種類多いです。
たった1つとはいえ、1つのスケールなりコードトーンを指板上のどこでも弾けるようになるのはそこそこ大変です。
また、最初にマイナーペンタ一発でブルースを弾く経験はとても大切だと思うので、最初に覚えるのはペンタをおすすめします。
ペンタにしても、コードトーンにしても、除外した音を入れてあげるとモードの7音になります。
どれが1番いいかとかはあまり考えず、とりあえずペンタを練習して、音を足し引きして聞けば、全て網羅できます。
今回はあまり実践的な内容ではありませんでしたが、私自身長い間ペンタがどういうものなのか知らず、あまり練習もせず、コードトーンの暗記に挫折したり、Cメジャースケールの暗記に挫折したりしていました。
モードについても書いてみましたが、モードはとてもレベルが高い技術です。なんとなく全体像を把握したら、ペンタを弾いてみてください。
ブルース進行で
ワンポジションでマイナーペンタ
↓
ワンポジションでメジャーペンタ
↓
ワンポジションでメジャーとマイナーのペンタ混ぜる
↓
コードに合わせたペンタ
↓
ここまでの混ぜる
という順番で練習していくことをおすすめします。
ざっくりと音楽理論を知っておくのは良いことだと思ったので長々書きましたが、本当におすすめなのは、誰かにリードギターを考えてもらい、弾いてもらうことです。
作曲し始めた目でネットを見ていると、DAWを駆使し、全パート自分で演奏、打ち込みし、素晴らしい曲をアップデートするだけでなく、アートワーク、プロモーションもごりごりにやっている人がたくさんいます。
あまりにもたくさん目に入るので自分もしょぼいアレンジくらいできるのではと思いがちですが、本当はそれもとても難しいことです。
プロのミュージシャンでも、アレンジは他の人に任せているパターンは、割と多いです。
みなさんが好きなバンドやミュージシャンは全パート1人で作っているでしょうか?
最初から完璧に出来るはずがないというのは、誰でもわかることですが、最初から全パート1人でやろうとするのが難しいことだということはあまり意識しにくいです。
是非、コピーバンドやセッションのサークルに入ったり、楽器が弾ける知人に声を掛け、誰かと一緒に演奏してみましょう。
それが難しければ、好きなバンドのバンドスコアを買い、全パート弾いてみましょう。
もちろん、ざっくり弾ければいいですし、ギターソロはとばし、ドラムはスコアを見ながら曲を聴くだけでもいいです。
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