急に現れた男。
りこん•••リコン、離婚。
急に保育園で苗字が変わった。
昨日までの私の名前は違う名前で書き直されていた。
靴も、靴箱も、バックも名札も、保育園のロッカーも。
突然知らない名前で呼ばれる。
気づかない私。
ユイちゃんと呼ばれて気づく私。
先生に問う。
「なんでいつもと名前が違うの?」
先生「今日からお名前変わったね、いい名前だね」
誰にも問えなかったことを聞いた私、先生も驚いただろう。
そして、その名前に慣れるしかなかった。
だって誰も答えは教えてくれないから。
そして、幾つ夜を超えたのか分からないけど、
赤いアパートに祖父と、
母と姉と私で引っ越しをした。
父とさようならをした記憶はない。
ただ覚えているのは、引っ越す赤いアパートの内見。
アパート前の自転車をドミノ倒しにしたから覚えている。
そして4人の生活が始まる。
と、思った矢先、現れたのは、知ってる男。
母の友達の旦那だった。
そこで繰り広げられる祖父と男の怒声。
私は何か悪いことをしてしまったのかと怯えた。
そこで記憶は途絶えている。
気づけば、祖父はいなくなり、母、姉、私、
そして知っている男、が小さなアパートに引っ越していた。
赤いアパートよりもっと築年数があるボロボロのアパート。
そして、部屋に入ると、掛けるタイプのスリッパケースがあった。
履いたこともない知らないスリッパがそこに4足。
上から、お父さん、お母さん、姉の名前、ユイ、と。
そして、その男に言われた言葉は、
「今日から俺はお父さん、『ママ』はお母さんと呼びなさい。」
それだけ言われて、生活が始まった。
ユイ「ママ?」
男「ママって呼ぶな!」
そこから始まる暴力と怒声に私は怯んだ。
そして、それを見てるだけの母。
”私は何か過ちをしましたか?”
”私は何か悪いことをしましたか?”
そんな自問自答を続けながら、暴力と怒声に泣きじゃくる。
泣いている、叫んでいる事さえも全否定されるかのように、
殴られ、怒鳴られた。