2022年に入って初めて読んだ本は村上春樹の1Q84 BOOK1 前編だった。そしてその次に森絵都の「この女」を読んだ。 1Q84 BOOK1 前編は「1Q84」という小説の一部分で…
二十二時を三分過ぎても彼女は待ち合わせ場所に現れなかった。逃げられた、と春先のざらついた風に吹かれたような感覚になっていたが、幾度となく見た携帯のホーム画面か…
ふと、前職のお客さんのことを思い出した。 前の会社から離れて、それなりの時間が経った。今は以前とは全く異なる仕事に携わっている。 前の会社でわたしは営業職だった。…
アオイカノ
2022年1月30日 17:01
2022年に入って初めて読んだ本は村上春樹の1Q84 BOOK1 前編だった。そしてその次に森絵都の「この女」を読んだ。 1Q84 BOOK1 前編は「1Q84」という小説の一部分であり、BOOK1 前編を読み終わっていても「1Q84」を読み終わったとは言えないから、この森絵都の「この女」がわたしが2022年で初めて読み終わった本ということになる。 この小説の中で主に描かれているのは釜ヶ崎
2022年1月27日 22:52
二十二時を三分過ぎても彼女は待ち合わせ場所に現れなかった。逃げられた、と春先のざらついた風に吹かれたような感覚になっていたが、幾度となく見た携帯のホーム画面から顔を上げた時に足早に駅の改札を通り抜けてこちらに向かってくる影を視界が捉えたので、明良は安堵していることを悟られないように作り笑いを向ける。カツカツとヒールが地面に響く音が近づいてきて、明良の元まで来て止まった。「来てくれないかと思って
2020年10月17日 18:48
ふと、前職のお客さんのことを思い出した。前の会社から離れて、それなりの時間が経った。今は以前とは全く異なる仕事に携わっている。前の会社でわたしは営業職だった。営業職と言っても、飛び込みとか、新規開拓といった類のものではなくて、俗に言うルート営業という、多分営業職の中では生温いほうだった。そして、相手にするお客さんはほとんどが士業の方で、詳しくは語れないが、だからお客さんのことは「◯◯先生」