ファージの分類
ファージの多様性
(ファージは「生物」ではありませんが)地球上で最も豊富なbiological entity(=”生物物体”?)であると言われています。地球上には10^31以上のバクテリオファージが存在すると推定されますが、これは地球上の他のあらゆる生物を合わせた数よりも多いとされています。
ファージは、サイズ、形態、ゲノム組織において非常に多様です。また、ゲノムの多様性が高いため、それぞれが選択的に異なる細菌に感染することが可能となっています。
https://www.frontiersin.org/journals/microbiology/articles/10.3389/fmicb.2022.1032186/full
ファージの分類
多様性の割に研究の進捗が十分でいないバクテリオファージにおいては、未だ分類基準が不安定です。
International Committee on Taxonomy of Viruses(ICTV)が2022年に更新した分類では、Siphoviridae, Podoviridae, Myoviridaeという、今まで主要と捉えられてきた科が削除されています。
世界で最も研究されてきた「T4ファージ」も、削除されたMyoviridaeから新設の科Straboviridaeに移動しました。
T4ファージ
T4ファージは1944年にDelbruckらが、ファージ研究におけるモデルとして提案した7つのT系ファージのうちの一つです。T系ファージは全て大腸菌に感染します。大腸菌もまた研究でよく使われる細菌であるため、研究対象にしやすかったのでしょう。
T4ファージの「ビリオン」(ファージ粒子)は、主に以下の部分構造から成り立ります:「頭部」、胴体のような「尾鞘」、脚のような「尾部繊維」。なんだかヒトみたい!!https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4275845/#:~:text=Bacteriophage%20T4%20is%20the%20most,and%20the%20long%20tail%20fibers.
頭部には長い直鎖状の二本鎖DNAが保持されています。感染の際にファージは尾部繊維によってしがみつくように細菌に結合し、尾部を通してDNAを細菌に注入するのですが、その詳しい仕組みについてはまたの記事で紹介します。
最後に
お読みいただきありがとうございました!
この文章はファージについて勉強中の大学院生によって書かれています。
ご指摘やご質問などありましたら、コメントいただけると幸いです。
個人的なご相談などございましたらX(https://x.com/YunaOikawa1)までお願いいたします。
追川優菜