ファージは、うまく使われれば悪い細菌を退治してくれる人類の味方になります。 しかし人体は、外界から入ってきた異物に対して、例え害がなくても抗戦的になってしまう節があります。(アレルギーもその一例です。) 免疫細胞が元気になって異物をやっつけたり、身体から排除したりしてしまうのです。 せっかく投与したファージ薬が身体からすぐに排出されてしまったら、投与した意味がありません。 それだけならまだしも、抗戦的になった免疫細胞はたまに自暴自棄になり、自分(人間)の身体を傷つけて
2024年6月末にジョージア(旧グルジア)のEliava Instituteで開催されたサマースクールに参加してきました。 なお、費用は一部、東京大学Deep Innovation Creation Ecosystemにご負担いただいています。 貴重な機会を提供して下さり、誠にありがとうございます。 さて、「なぜジョージア?」とお思いの方もいると思います。 実はジョージアは、現在ファージセラピーが標準治療として認められている3カ国の中の一つです。 その中でもジョージア、
T4は静的な環境では数μm以内の移動しかできないのですが、稀に大腸菌に衝突した場合は、大腸菌の外膜上のLPSという糖脂質やOmpCというタンパク質に、6本の脚(長い尾部繊維)をそれぞれくっつけたり離したりしながら歩くように移動できるようになります。 2~3本の脚が大腸菌上に付着できるとこれが刺激となり、T4ファージの胴体の下の部分(基盤)が変形します。この結果として複数の脚が大腸菌にがっちり固定されるようになります。 すると、ここまでの刺激によってT4ファージの胴体(尾鞘
ファージの多様性 (ファージは「生物」ではありませんが)地球上で最も豊富なbiological entity(=”生物物体”?)であると言われています。地球上には10^31以上のバクテリオファージが存在すると推定されますが、これは地球上の他のあらゆる生物を合わせた数よりも多いとされています。 ファージは、サイズ、形態、ゲノム組織において非常に多様です。また、ゲノムの多様性が高いため、それぞれが選択的に異なる細菌に感染することが可能となっています。 https://www.f
バクテリオファージとは? バクテリオファージとは「細菌を食べる」(細菌に感染し、細菌を破壊しながら増殖する)ウイルスです。 なぜ今バクテリオファージが注目されているのか? バクテリオファージは「薬剤耐性菌問題」の打開策として期待されています。 薬剤耐性菌とは、従来の抗菌薬が効かない細菌のことです。抗菌薬の不適切な使用などによって増え続けている薬剤耐性菌は、2019年には世界で推定127万の直接的な死亡原因になったとされています。 「国連事務総長によるAMRに関する機関間