確率のパラドックスの正体

有名な確率のパラドックスの問題として、モンティーホール問題と三囚人問題がある。

この2つの問題は、「3つの選択肢があり、そのうち2つの中から1つだけがハズレだと明かされる」という共通構造を持つ。

明かされたハズレを取り除いた、残りの確率が

  • 各々 $${\frac{1}{2}}$$

ではなく、

  • $${\frac{1}{3}}$$ と $${\frac{2}{3}}$$

というのが確率のパラドックスとされる所以である。

実は、どちらも正解である。

確率の求め方は2つある

前者は、ラプラスの確率(客観確率)と呼ばれ、高校数学で学ぶ確率であり、
後者は、主観確率と呼ばれ、ベイズの定理を使って、情報を確率に変える方法が存在する。

後者がより正確な確率となるが、情報が正しいという前提条件のもとで成立する。
これが主観と呼ばれる理由である。

くじ箱を使ったそれぞれの求め方の違い

三囚人問題をくじ箱を使って説明する。情報を聞き出したあとの、くじ箱の操作2のみ異なる。


くじ箱の操作, ラプラスの確率の場合

  1. 囚人A, B, Cを同じ大きさの紙に書き出し、透明な箱にいれる

  2. Aが看守から「B, Cのうち、死刑になるのはC」と情報を手に入れると、
    箱からCを取り出す 

  3. 箱の中が見えないようにする

くじ箱の操作, 主観確率の場合

  1. 囚人A, B, Cを同じ大きさの紙に書き出し、透明な箱にいれる

  2. Aが看守から「B, Cのうち、死刑になるのはC」と情報を手に入れると、
    箱からB, Cを取り出して、テープでくっつけて、Bと書き換え、箱に戻す 
    (ベイズの定理に基づく操作)

  3. 箱の中が見えないようにする


ラプラスの確率では、箱の中に入っている2枚の紙(A, B)が取り出される確率は、同様に等しいので $${\frac{1}{2}}$$ であるが、
主観確率では、紙Bの方が2倍大きいので、Aより引かれる確率は2倍であるとし、それぞれ $${\frac{1}{3}}$$ と $${\frac{2}{3}}$$ と考えられる。

まとめ

  • ある試行における確率の求め方は2種類ある

    • ラプラスの確率 (客観確率)

    • 主観確率

  • 高校数学で学ぶ確率はラプラスの確率のみ

  • 主観確率では、ベイズの定理を使って、情報を確率に変える事ができるが、正しいという条件のもとでのみ成立する
    (間違っている場合は $${\frac{1}{2}}$$ であるということではない。そもそもその間違っているという前提が成立しない)

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