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夏深し

袖の露もあらぬ色にぞ消えかへるうつればかはる嘆きせしまに
後鳥羽院「後鳥羽院御集」

東京地方の今日は大暑のとおりの天気と暑さで、しばらく雨や曇りがちだった天候から本格的な夏に向かうのでしょうか。

冒頭の和歌は、季節の「秋」と恋人に「飽き」られたことを露でまず表しているとのことです。

人の心変わりによって落とした袖の涙の露も、古代の歌人が詠んできた悲しい紅涙、血の涙に染まるが、それをつらく嘆いている間に消えてしまった。

と詠いつつ、
秋の草の露と同様に自分の生命も消え入りそうなほどの嘆きもあわせて深く詠み込んでいるそうで、藤原定家も絶賛の歌だったようです。

そして、
「その多岐と複雑にもかかはらず調べがおつとりしてゐて天衣無縫」(丸谷才一「後鳥羽院 第二版」ちくま学芸文庫)
と評価されています。

日本の文学史上に名を残された歌人でもあったことが偲ばれます。

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