𝐒𝐚𝐲𝐨✳︎⭐︎

ライブレポや日々の呟き、短編小説など。

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最近の記事

《短編小説》妖花の誘い(いざない)

 とある街にひっそりと佇む小さな花屋がある。しかし、これがまた奇妙な花屋なのだ。店には様々な花があるにも関わらず、出てくる客は皆揃って、見事な白い薔薇の花束を抱えているのだ。全ての客がそう要望したとは考えにくい。とすると何故? 意味がわからない。要望通りの花束を作ってもらえず、不満げな表情を浮かべる客を目にすることも少なくない。それなのに店の評判は最高なのである。しかも、どの口コミも「美しい赤い薔薇をありがとうございます」という内容なのだ。これは一体どういうことなのだろう。何

    • 《短編小説》熱

      「ねぇ、僕って生きてる?」  どうしてそんなことを訊くのだろうか。 君は今、私の目の前で息をしているというのに。 何かを手放したような瞳で見つめられると、何も言えなくなってしまう。  だから私は、君をこの腕で必死に包む。 きっと君よりも震えているであろう心を隠しながら。 「生きてるに決まってる」  君の身体を強く抱きしめて、そう呟く。  君の私へのこの質問は、これで一体何度目だろうか。 「そっか」  そして、君はいつも決まってそう返事をする。  どうすれば、君に伝わるだろうか

      • Thinking Out Loud《意訳》

        When your legs don't work like they used to before. 君が昔のように歩けなくなってしまって、 And I can't sweep you off of your feet. 僕が君を抱き上げることができなくなっても、 Will your mouth still remember the taste of my love. 君の唇は僕の愛の味を覚えてくれているかな。 Will your eyes still smile f

        • The White Lounge in CINEMA

          (※ぼちぼち書き足していきます) さぁ遂にこの日が来たな、と。 一体どんな風に映画として形になるのだろうと楽しみにしていた。 流れについては以前のレポで書いている為、ここでは映画を観た個人的な印象を残させていただこう。 彼も言っていたように、実際その場にいた人もそうでない人も、誰もが楽しめる映画であることは確かだなぁと思った。 歌詞に字幕が付いていることも嬉しかった。 映画の為の撮り下ろしシーンもあり、より一層物語に深みが生まれていた。 瞳を閉じることでキャラクターが変わっ

          The White Lounge

          #1 マスカレイド 会場内に入ると、白で彩られたセットが目の前に広がっていた。 横断歩道や階段など街並みのようでもあるが、ソファやテレビなど家のようでもある。 白い仮面(マスカレードマスク)を着けた人々が行き交い、男女で踊っているような動きも見られる。その動きは非常にゆっくりで、不思議な印象を与えるものだ。 ジャズのBGMが流れており、正にラウンジの空気感が感じられる。 開演時間になり、暫くすると白いタキシードに身を包み、同じく白い仮面を着けた若井と藤澤が登場。 BGMが消