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2022.6.10米株式市場振り返り

米国株式市場は大幅続落して終了。米インフレ率が予想を超え、連邦準備理事会(FRB)が一段と積極的に利上げを行うとの観測が高まったことが背景。週間ベースの下落率は1月以来最大に。

この日の下落はハイテク株とグロース株が主導。マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アップルなどがナスダック総合とS&P総合500種の大きな重しになった。

労働省が朝方発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.6%上昇(前月比+1.0%)と、1981年12月以来、40年5カ月ぶりの大幅な上昇率を記録。伸びは4月+0.3%から予想以上に拡大し3月来で最大。

前年比では+8.6%と、予想外に4月+8.3%から拡大し1981年12月以降ほぼ40年ぶり最大を記録した。ガソリン価格が過去最高となり、サービス価格も上昇したことで押し上げられた。

これを受け米債券市場では、金利動向に敏感に反応しやすい2年債利回りが3.057%と、2008年6月以来の高水準を付けたほか、10年債利回りが3.178%と、5月9日以来の水準に上昇した。

RDMフィナンシャル・グループの最高投資責任者(CIO)、マイケル・シェルドン氏は「5月のインフレ率は予想以上に上昇し、物価高が予想より長く続くことを思い知らされた」と指摘。「FRBはインフレ抑制に向けあらゆる手段を講じる」との見方を示した。

グレンメデ(フィラデルフィア)のプライベート・ウェルス部門の最高投資責任者(CIO)、ジェイソン・プライド氏は「FRBがインフレ対策で明らかに後手に回っていることが示され、夏の終わりまでに利上げ休止が適切になるとの見方は否定される」と述べた。

週間ベースではダウ工業株30種が4.58%、S&P総合500種が5.06%、ナスダック総合が5.60%下落。1月21日までの週以来の大幅下落となった。S&P総合500種の年初からの下落率は18.2%。

個別銘柄では、ネットフリックスが5.1%安。ゴールドマン・サックスがマクロ環境の弱体化の可能性を理由に、同社に対する投資判断を「ニュートラル」から「セル」に引き下げたことで売りが出た。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を5.70対1の比率で上回った。ナスダックでも4.05対1で値下がり銘柄数が多かった。
【その他のニュース】
・米電気自動車(EV)大手テスラは10日、株式配当の形で1株を3株に分割する株式分割を提案。
・欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのナーゲル独連銀総裁は10日、金融政策の正常化には程遠いところにいるとし、ECBの利上げに向けた「旅路」は始まったばかりとの認識を示した。
ナーゲル総裁は、利上げペースはデータ次第になると指摘。インフレ期待は望ましい水準に戻ると確信しているとも述べた。ECBは9日の理事会で、量的緩和措置である資産購入プログラム(APP)を7月1日に終了すると表明するとともに、7月から利上げを開始する方針を示した。

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