皮革トラベラー

episode.06

昔からやけに革小物に目がないし、
まさか前世は原始人なのだろうか。

少年時代はグローブの匂いをずっと嗅ぎ、
学生時代はなけなしのバイト代を
使い切れない定期入れや財布につぎ込み、
今は毎日、手帳とイチャついている。

アパレルの会社にいたくせに
革小物専門の新業態を鼻息荒く立ち上げ、
今ひとつ店舗増やせないまま後を任せ
社長が微妙な顔をしていた過去もある。

絶対、前世か前前前世か原始人だ。

ここ数年、手帳はトラベラーズノートを愛用。
ノートや好きなものを革カバーで挟んで
ゴムで止めるだけという、
不安なほど無骨でシンプル極まりない設計が
原始人の自分には性に合っているらしい。

野生の王国へタイムトラベル。

傷だらけの父親、ぷるつやな彼女、
乾燥肌の友達、いつまでもふかふかな祖母。

それぞれの経年を魅力に変えて
王国を生き抜く素敵な家族に囲まれた、
トラベラーズノートのある暮らし。

手帳をはじめ、
ペンケース、小銭入れ、ポーチ、
キーホルダー、ぬいぐるみ、
鞄や靴やジャケットに至るまで、
王国には素敵な獣たちでいっぱいだ。

そろそろふんわり
部屋に牛の匂いがしたって不思議じゃない。
そのくせ牛乳が飲めないのは不思議だろ。

猛獣使いの無作法ジャーナル。
諸行無常の不器用トラベル。

机の上で繰り広げられる壮絶なサバイバルが
サファリライフを盛り上げるんだ。

あ、違う。
手帳タイムを盛り上げるんだ。

Nants ingonyama bagithi Baba〜 ♪

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