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いつか宇宙で渡す、花束を

 OCTPATH 半年ぶりのライブ「UP TO THE SKY」を観に行ってきた。

パフォーマンス自体は半年の間に何度か見ているが、フェスでも対バンでもなく、バラエティコーナー等一切なしのライブは、実に昨年の12月ぶりだ。

 

正直、当日になっても気持ちが全然入らなかった。昨年の秋くらいから、私の気持ちと、OCTPATHのやることは徐々にそりが合わなくなっていった。



色々あった。本当に色々あった。
お互い、現状で尽くせるベストな選択や自己防衛をして、小さな違和感はあったけれど、それを無視して積み上げていったら、いつの間にか全然違うところへ来ていた。


OCTPATHのことは、デビューから、なんなら四谷真佑さん(※)はその前のオーディション番組から応援してきた。

最初は同じ道を歩いていた。それが、絆創膏の包装を開けるように、さけるチーズを割くように、ゆっくりと道が分かれてしまった。
私の道には、誰もいなかった。
ファンの大多数と、私とで、OCTPATHに求めるものが違うようだ。 



そんな気持ちで、始まる前は本当に憂鬱だった。
どうせ泣くだろうし。友人にも「アンタ絶対泣くよ」って言われたし。感情も体力も消費するのしんどいな。 


始まりはWAKE UP、Lip Service。
ライブ映え10000000%のゴリゴリイケイケ楽曲たちで、普通に楽しかった。
よしよし、案外堪えてる、と思っていた。


油断した。
3曲目、Showtimeのイントロが流れ出した瞬間、なぜだろう、大粒の涙が両目からボロボロこぼれた、文字通り涙が止まらなかった。

元々何もなくても泣きそうになるくらいテンションが上がる大好きな曲が、モヤモヤと不安のなか、不意をついて現れたからかもしれない。DISPLAY期の6人を思い出して、あの頃と何も変わってないよと言われた気分になったからかもしれない。わからない。 


そこからは堰を切ったように泣いた。LikeからのSweetで泣き、雨で泣き、Perfectで泣き、FUNで泣き、Best Shotなんかもうひどかった。顔面ビッショビショ。 


特に四谷さんが綺麗で綺麗で、涙に歯止めが効かなかった。
たった半年でも、格段にダンスが上手くなっていた。これまでなかったニュアンス付けが自然に足されていた。
雨の、しかもアコースティックではない本チャンのほうなんて、いつぶりに見るだろうという感じだったが、やはり見ていない時間の空きがあればあるほど、その表現力の伸びは目ざましかった。

嗚呼、拝啓、四谷真佑さん。
君死に賜うこと勿れ。
君は泣くほど誰かを愛したことがあるだろうか。
私はある。それが君だ。 



光だった。
OCTPATHは、出会ったその日からずっとずっと私の光だ。
それは、道を違えても変わらない。眼前で輝いていたものが、対岸で輝くようになっただけだ。
私は他人に何かを求めすぎるけど、本当は綺麗なだけでよかったのかもしれない。
たった、それだけでよかったのかもしれない。 


泣いているとき、過去の出来事を思い出してしまうことがほとんどだった。目の前の8人を見ることができていない。それは失礼に値する。また歩み始めた8人にも、それに続く「今のOCTPATH」を純粋に楽しんでいる人たちにも。
もう潮時だな、と悟った。同時に、終わりたくない、とも思った。



ああ、諦めよう 私たちそう思うことだけが
愛と呼べるかもしれない

ああ、さよならはきっと
変わっていく貴方じゃなくて
変わらない貴方を抱きしめられないことね

        ―『陽炎』SEKAI NO OWARI

こんなつまらない映画などもうおしまい なのに
エンドロールの途中で悲しくなった
ねぇ この想いは何

こんなちぐはぐな舞台はもう締めたい なのに
エピローグの台詞が言えなくなった
ねえ あなたを見つめてた

どれだけ生まれ変わろうとも意味がないくらい
どこか導かれるようにあなたと出会いたい
今更言いたいことなんて一つもないのに
わたしあなたに恋をした 苦しさと一緒に

          ―『Pale Blue』米津玄師


貴方たちが変わったのではなく、変わらない貴方たちを受け止められない私が変わっただけだ。さよならだけが残された愛だとわかっているのに、こんなつまらない私の感情劇場は終わりにしたいのに、エピローグのセリフが言えなくなった。
知らないこの想いに名前を付けられなくて、戸惑って、先人たちは「未練」と呼んだようだけど、私は「花束」と呼ぼう。
色とりどりの感情をひとつに束ねて、本来は誰かに渡して終わるもののはずなのに、それをじっと抱えて持っている。どうしようもない愚図だ。



四谷さんのことは好きだ。今も変わらず。
だから、四谷のそばにはこれからもいようと思う。それだけで、今は十分。

「もっと上に行くぜ!」と吠える8人と、地うねりのような音を上げ盛り上がる会場を、そうかいそうかい、と老婆のような微笑みで見ていた。






※メンバーの一人。黄緑担当。私の最愛の人。

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