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【発言録】兵庫県議会 文書問題調査特別委員会(百条委員会) 12月25日 〔参考人質疑〕結城大輔 弁護士
いつまで待っても12月25日の会議録が公表されないので、Google Geminiの助けを借りつつ委員会の文字起こしをした
フィラー(「えっと」や「まあ」など)は除いて、可能な限り発言をそのまま記載
実際の発言は以下の動画等から確認のこと
開会
議長:
それでは、時間がまいりましたので、文書問題調査特別委員会を開会いたします。議事の先立ち、神戸新聞社他30社から写真及びテレビ撮影並びに録音の申出があり、許可することにご異議ございませんでしょうか。ご異議ないと認め、採用に致します。報道関係の方々には、撮影等においては会議の進行の妨げにならないようご配慮をお願いいたします。本日委員会は終日公開予定です。委員会においては、参考人招致、証人尋問、その他発言される際には個人情報等の取り扱い、ご発言について十分に配慮いただくと共に、本委員会の調査目的に関係のない発言は慎むようにお願いいたします。元県民局長の公用パソコン内に保存されていた内容について委員会で発言することにより、著作社人格権を侵害する恐れもありますので、ご留意をお願いいたします。
続いて、先ほどの理事会で、上野委員から先日の市民集会で、非公開である内容を参加者に話されたという事について、お詫びと、当委員会の委員の選定を主導したような発言について訂正がありましたので、ご報告いたします。本委員会において情報の取り扱いについてはあらゆる場を通して何度も注意喚起がなされております。百条委員会はもとより、議会の信用にもかかりますので、私自身も含めまして、お一人お一人議員として自覚を持った責任ある行動をお願いいたします。
それではタブレット端末の資料00の議事順序により本日の議事を進めたいと思いますが、ご異議ございませんでしょうか?ご異議ないと認め、そのように進めさせていただきます。
始めに聞き取り調査及び書面調査についてです。先の委員会において実施を決定しました聞き取り調査及び書面調査について、現在進めているところですが、その状況と一部実施結果について事務局より説明をお願いいたします。
事務局:
お手元のタブレット端末の資料01をご覧ください。聞き取り調査及び書面調査の状況及び調査結果についてご説明いたします。まず、聞き取り調査について。ご協力いただける方は8名です。12月11日の委員会で決定したAさん以外の7名については、調査が終了しております。このうち10月25日決定分のA、Bさん、12月11日決定分のB、Cさんにつきましては、実施結果を取りまとめ、委員の閲覧に供しております。それ以外の3名については、取りまとめ中です。次に書面調査について。ご協力いただける専門家は3名です。現在、書面の調査票を送付し、ご回答依頼しております。ご回答には一定期間必要との申出をいただいており、1月20日頃までには揃って委員の閲覧に供する見込みです。説明は以上です。
議長:
ありがとうございます。以上で事務局の説明は終わりました。報告のあった実施結果については、後日内容をご確認いただいた上で、委員会の証拠書類として取り扱うか協議を行いたいと思います。引き続き実施中の聞き取り調査及び書面調査については、実施結果が取り纏まり次第、委員に提供いたします。
休憩です。再開は10時です。
議長:
次に、証人尋問の進め方についてです。本日は午前中に参考人招致、午後からは片山安孝元兵庫県副知事及び、斎藤元彦兵庫県知事の証人尋問を行います。証人尋問の時間割り及び各証人の公開非公開の取り扱いについてはタブレット端末の資料02の通りです。各証人に対しては宣誓及び全体尋問を行った後、直ちに各委員に個別尋問を行っていただき、必要があれば補充的に私が尋問を行うことといたします。委員会から提出いただいた尋問希望項目申出書をもとに、証人尋問の時間配分について調整しましたのでご確認をお願いします。時間配分は会派ごとに割り振った目安です。各会派におかれましては持ち時間使いきらずに早めに終わっていただいても結構です。逆に持ち時間を超過する場合には私から注意をさせていただきます。片山元副知事については尋問時間が1時間30分。斎藤知事については2時間に達するまで、残時間について議員お一人あたり5分以内を原則として追加尋問を認めたいと考えております。証人尋問の進め方については以上となりますが、ご異議ございませんでしょうか。ご異議ないと認めそのように進めさせていただきます。なお、これまでの尋問を踏まえ、誘導尋問、証人に対して意見感想を求めるような尋問にならないよう、また、委員自らの意見表明で多くの時間を費やすことのないよう、今一度ご留意をお願いいたします。
続いて証人の補助者である弁護士の同席及びメモ等の資料の持ち込みについてお諮りします。証人から許可願いの申出が提出されておりますが、それぞれの申出の通り許可することにご異議ございませんでしょうか?ご異議ないと認めそのように決します。
休憩です。再開は10時です。
議長:
休憩前に引き続き委員会を再開いたします。次は参考人招致です。本日は本委員会の調査のため公益通報者保護についてご講演いただくため、のぞみ総合法律事務所の結城大輔様にお越しいただいております。まずは私の方から結城様の経歴について簡単にご紹介させていただきます。結城様が所属されておりますのぞみ総合法律事務所は内部通報、公益通報について、消費者庁とともに共同で講演セミナーを行われるなど、企業の公益通報者保護法への対応を支援されております。その中で結城様は公益通報制度専門とされており、多くの企業支援の実績を有されるとともに、数々の書籍、論文を出筆され、講演会の講師も多数務められております。詳細につきましてはお手元に経歴をお配りしておりますのでご参考にお願いいたします。
それでは結城様よりご講演をいただきたいと思います。講演終了後には質疑並びに意見交換の時間を取りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。それでは結城様よろしくお願いいたします。
結城大輔 弁護士 講演
おはようございます。弁護士の結城と申します。本日はよろしくお願いいたします。
ご紹介いただきました通り、私はのぞみ総合法律事務所という法律事務所に所属している弁護士でして、1998年の弁護士登録以来、内部告発、名誉毀損、不正や不祥事の調査、公益通報者保護法関係、内部通報関係、こういった案件を多数取り扱ってきております。
この今日テーマになっている公益通報者保護法という法律は2004年に設立をして2006年に施行された法律ですけれども、この設立当時から、この法律非常に重要だということで、いろいろ研究をしたり、共同で出筆や書籍を出したり、消費者庁と連携しながら、説明会あるいは企業の社内規定のモデル案を作ったり、説明会をしたりと、こういったことを続けてきております。
本日なんですけれども、そういった公益通報や内部通報の実務に携わっている立場から、今回の文書問題に関して、その事案自体の調査といったところに参与する立場ではないものの、実務的な感覚や公益通報者保護法についての私としての理解に関して、見解コメントを申し述べさせていただきたいという風に思っております。
事案において最も重要なのは、事実関係をしっかりと調査をして把握することだと考えております。その意味で、現在こちらの百条委員会、委員会の皆様の方で続けていらっしゃる努力、これから報告書まとめになると理解しておりますが、そのご努力について非常に重要なものと考えており、敬意を表しております。少しでも私のお話が、お役に立てるものであることを願っております。
なお、私が所属している組織団体の見解を代表したり調整したりしているものではなく、本日申し上げることは私個人としての見解であるということだけ念のため冒頭に申し上げておきます。
公益通報者保護法の話に入る前に、少し内部通報そのものの意義や重要性についてお話をさせていただければと思います。
私はACFE Japan、日本組織内弁護士、日本公認不正検査士協会という協会の理事を務めているんですけれども、こちらアメリカに本部があるACFEという団体の日本の支部なんですが、こちらの団体で、2年に1度、企業その他の組織における不正不祥事に関する調査を行って、その結果を発表しています。
このACFEの調査報告書で、組織の不正を発見する手段として何が機能を発揮しているかという問いが毎回必ずあるんですけれども、必ず1位になっている、2位の内部監査を大きく引き離して1位になっているのが、通報です。英語ですとTipsと書かれてるんですが、情報提供、事情分かってる人からの情報提供を基にして、不正や不祥事、そういったリスク情報を把握して対応するということが、非常に重要な意味を持っているというデータがいつも出ております。
日本においても同様の状況でして、公益通報者保護法を管掌している省庁は消費者庁なわけですが、消費者庁これまで内部通報に関する実態調査を行っていまして、こちらに掲げているのは平成28年2016年の消費者庁の実態調査の報告書の中で、企業ですけれども、社内で不正を発見する端緒として何が、あるかという問いについてやはり内部通報が1位になっているというデータが出ていました。
昨年から今年にかけても消費者庁は同じように、民間事業者、企業の内部通報の対応についての実態調査を行いまして、その中でも不正発見の端緒としては、内部監査を大きく引き離して内部通報という答えが出ていたというデータが、今年発表されております。
このように内部通報、すなわち組織の中、企業の中で、何らかの不正とか、リスク情報について、実態分かってる人からの情報提供、これがきっかけとなって、対応がスタートできる、こういった不正発見の端緒として重要な意味を持っている内部通報ということが、世界でも日本でも認識されているので、例えば先ほど申し上げたACFEという団体では、経営者や管理職が取り組むべき不正対策5つの柱があるという風に発表してる、2016年に発表してる宣言があるんですけれども、こちらの中でもその5つのうちの1つが内部通報、通報制度を導入する、こういったものの重要性というのが指摘されているところです。
一方、内部通報という制度なんですけれども、こういった重要性は認識されているものの、実際に通報制度がうまく使われるかというと、非常に難しい面があるのも事実です。
例えば企業などで大きな不正や不祥事が起こりますと、いわゆる第3者委員会調査委員会といったものが組織されて、その調査の結果が公表されることがあるというのが、日本では、不正不祥事対応の原則として確立してきているわけなんですけれども、私もそういう仕事をすることがありますし、あるいは私が関与してない案件でもそういった報告書が公表されると、検討しているというような状況ですが、かなりの数の事案において、例えば企業、特に大きな企業であれば、内部通報制度といったものは整備されています。
しかし、その当該事案において、不正や不祥事の通報が内部通報制度にされましたかということになると、されてないんですと。活用されませんでしたといったことが報告されてるケースが多いです。
で、じゃあなぜ、内部通報制度が活用されなかったのかという事になると、例えば通報者、誰が通報したかという秘密を守るという風な制度設計、社内ルールになっているものの、やっぱり誰が通報したかってことは分かってしまうんではないかとか、不利益な取り扱い、通報をしたことを理由に、それに対する報復とかそういったことをしてはならないというルールになっているものの、裏切り者扱いされて、何らかの報復や不利益な取り扱いを受けるんではないか。こういった不安の声というのが非常に強いという現実があります。
このことは消費者庁の調査、先ほど申し上げた調査とはまた別に同じ時期に消費者庁が去年から今年にかけて行っていた、今度は従業員1万人にアンケートという、内部通報制度を利用する側のに対する調査の結果として、勤務先で重大な法令違反を知った場合に、勤務先等に、通報とか相談をするかどうかという問いに対して、相談通報するという問いも6割あった一方で、多分しない、絶対しない、こういった答えも約4割あったという調査結果が出ています。
その理由ですけれども、最初に通報する先として勤務先以外を選んだ理由として、勤務先に相談通報しても適切な対応が期待できないとか、不利益な取り扱いを受ける恐れがあるとか、やはりこういった声っていうのが現実に上がってきているということになります。
こういった内部通報制度は重要なんですけれども、それに対してなかなか心理的な抵抗不安感があって、活用されないという現実を踏まえて、消費者庁は、公益通報者保護法という法律あるいは、それ以外のガイドラインその他の取り組みを通じて、何とかこの制度に対する信頼性を向上させて、こういった不正や不祥事、その他のリスク情報を組織が早く把握をして、対応していけるように変えていくべきだという取り組みを続けてきているというのが、一般に理解されています。
公益通報者保護法という法律は2004年に成立して2006年に施行されました。そしてご案内の通り2020年、令和2年に、大きな抜本的な改正がされて、2022年、2年前にはその改正された法律が施行されて今に至っています。
改正された今の公益通報者保護法ですけれども、どんな改正をされたかというと、一言で言えば公益通報者の保護を強化して、よりこの制度が信頼されるものにしようという趣旨の改正でした。
どういうことかっていうと、例えば、消費者庁の資料なわけなんですけれども、2番というところに公益通報と書かれていて、労働者、退職者役員がと書かれているこの退職者とか役員、こういった方々は、2020年の改正前には、公益通報者に含まれていなかったんですが、範囲が拡大されたり、あるいは4番のところ、通報先と保護の条件ということで、通報先として事業者、内部組織の中からその事業者の中に通報する以外にも、行政機関とか報道機関等の第3者とか、通報先いくつか種類があるんですけれども、こういった行政機関や報道機関等の第3者に対する通報について、どんな場合に通報者が保護されるかという、保護要件に関して2020年の改正でそれぞれ少し緩和がされて、保護がされやすくなっています。
そして5番のところに書かれている事業者の体制整備義務ということで、これが大きな改正の1つのポイントだったわけなんですけれども、事業者、すなわち企業行政機関といった組織は、内部通報についていろんな体制を整備しなければいけないと。これまで改正までは、公益通報に対して、それに対する報復のようなことをすると無効になるよとか、しては行けないよと、これは書かれていたものの、どんな風に通報に対応するか。ここの部分の取り組みはそれぞれの組織の自主的な取り組みに委ねられていたという状況なんですが、申し上げたような不安の声実際に通報がされない、不正不祥事例が積み重なってることなどを受けて、自主的な取り組みでは足りないねと、法律で義務を課して、組織はこういった対応をしなければいけないという体制の整備の義務を課しました。
具体的にはここにいくつか書かれているんですが、内部通報に、内部への公益通報に対応するために必要な体制の整備、窓口を設置するとか、あるいは、対応する担当者を従事者として指定するとか、こういった義務付けがされて、従事者として指定された人が情報を漏らすと、誰が公益通報したかという情報を漏らすと刑事罰があるとか、体制整備義務を課された事業者が体制整備をしていないという事になると、各種の行政措置が取られることがあると。
これが2020年の改正、2022年に施行された法律なんですが、少し時系列を年表的に今一度整理してみます。
2004年に公益通報者保護法が成立して2006年に施行されたと申し上げましたが、そもそもどういう時期だったかという事を振り返ってみますと、日本では食品偽装の事件リコール隠しの事件といった多くの消費者に影響を与えるような不祥事があって、ただそれが、なかなか企業組織として対応できなかったというような問題があって、一方世界を見ると、例えばアメリカでは2001年や2年エンロン事件ワールドコム事件と言われるような、世界を代表するような超大企業が不正、会計不正等の不正を行っていて、それが内部告発者の告発によって発覚をして対応をされたと。破綻をしていくというようなことが起きたわけなんですけれども、アメリカではこういった事案を踏まえて、サーベンス・オクスリー法、SOX法という法律の中に公益通報者、内部告発者を保護する規定が置かれ、アメリカの動きなどを見ながら日本もそういった告発者、内部通報内部告発をする人を一定の限度で保護する法律が必要ではないかという議論がされて、公益通報者保護法の成立に結びついたという流れがございます。
2006年の施行の当時は、独占禁止法の課徴金減免制度、いわゆるリーニエンシーと言われる自主申告するとその分課徴金、行政上の制裁が免除されたり減刑されるという制度が同時にスタートしたり、2018年には刑事訴訟法の改正を踏まえて、協議合意制度、日本版司法取引なんて言われてますが、実質的に他社の犯罪に関する情報を提供すると、その提供者の刑が軽減されたりすると言うような制度が始まったりして、このような当局に対して情報提供して、当局はその情報提供を受けて捜査や調査をする。こういった制度というのが、公益通報者保護法以外にもいくつか始まってきていると。こんな状況になります。そして申し上げた通り、公益通報者保護法が改正されて通報者の保護が強化されていると、こんな状況になっています。
当局への情報提供を促したり保護をして、そこから調査をしていくっていう手法は、日本だけの傾向ではなくて、いろんな国で同じような取り組みがされています。
すなわち組織の中での不正不祥事っていうのはどんどん複雑化していて、例えば調査当局監督当局が立ち入り検査で乗り込んで行ってそこで正確な情報を把握して、そこに対して権限行使していく、調査捜査をしていく、責任追求していくっていうのはもちろん大事な機能ですし、今でも行われてるものの非常に難しくなっている。
という事で、状況分かってる、情報分かってる人からの情報提供を受けて、それをきっかけに調査捜査をしていくとか、あるいはその組織として自ら対応していく。こういった事の重要性っていうのが非常に高まってきているというタイミングです。
もう1つ私がこのスライドで申し上げたいことがありまして、じゃこの2004年に公益通報者保護法が成立する前の時点では一体内部告発や内部通報どんな風に扱われていたんだろうというお話です。
実は法律ができる前から、正当な目的で内部告発をしたんであれば、それは保護すべきだという議論がありまして、実際そういう裁判例もいくつか出ていました。
そこの議論をベースに、公益通報という一定の内容の通報に関しては法律で保護をしようという事になったんですが、じゃあその公益通報者保護法の対象である公益通報についての保護以外に、それ以外の保護の部分はどうなったのかと言うと、実は内部告発者の保護といったものは、法律が成立する前、施行される前からあったし、それは
それはその後も続いているというような理解がされるべきだと考えています。
どういうことかと言うと、例えば、今いろんな組織で公益通報あるいはそういったものを含めた内部通報制度も置いてますが、かなり多くの割合が、パワハラセクハラいわゆるハラスメント通報が多いというデータが出ています。ハラスメント通報の中には刑法犯にあたるような公益通報にあたる内容もあれば、刑法には当たらない。なので、公益通報には当たらないんですけれども、ハラスメントは違法行為ですし、それは通報として受け付けますよと。こういった内容たくさん含まれてるわけですね。
そうすると、じゃあ公益通報に当たらないから、そういったハラスメント通報した通報者の保護は軽くてもいいのか。企業の実務で言うとそういう発想はなくって、公益通報にあたる場合もちろんちゃんとやります。でも公益通報に当たらないハラスメント通報が来たら、それはそれで大事な通報として取り上げて対応していくという、そういう発想がありまして、それは内部告発者でも内部通報でも、こういった公益通報に当たる当たらないに関わらず保護していくのが非常に重要だと、こんな風に理解しておくべきだと考えています。
少し総論的なお話を申し上げましたが、ここから具体的な公益通報者保護法に関してのいくつか論点、今回の文書問題に関する関連すると思われる論点を少し取り上げていきたいという風に思います。
1つは公益通報の該当性。今公益通報に当たるかどうかだけで判断するべき問題ではないんだと申し上げましたが、とはいえ、公益通報に当たるかどうかというのが、この法律が適用されるかどうかというスタート地点としては確かに論点として重要なので、ここから入っていきたいという風に思います。
公益通報者保護法の2条1項は先ほどの消費者庁の資料にもありましたが、公益通報の定義についていくつかの要件項目を立てています。
労働者、退職者、役員が不正の目的でなく、義務提供先における通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしている旨を義務提供先、行政機関またはそういった発生とか被害の拡大防止に必要なものに対して通報することと。これが大きなポイントということになっています。
この1から6の要件の中で言うと、まず今回1つの論点になっているのが2番の不正の目的でなくという要件だと理解されます。
この不正の目的について少し申し上げたいと思います。
上文を見ると、同じ公益通報者保護法の2条1項にはこんな風に書かれています。
不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的でなく、そういった不正の目的でないことが公益通報にあたるための要件として必要だと、こういう条文になっています。
まず1つ言えるのは、公益通報っていう名前、公益についての通報なんだという法律の名前になっているわけなんですけれども、2条1項の不正目的のところの文言を見ると、もっぱら公益を図る目的といった、そういった規定のされ方はしていないということになります。
これ他の法律、すなわち刑法なんですけれども、230条の2という名誉毀損に関する条文には、「もっぱら」という文言が使われていまして、名誉毀損的な表現をした時に、その表現行為の目的がもっぱら公益を図ることにあったと認める場合、こういった「もっぱら公益のための表現行為」で、他の要件満たすと、形式的には名誉毀損に当たりそうでも名誉毀損には当たらないで、保護される。表現行為者は保護されると。こういう条文が刑法にはあるんですが、その刑法と同じ「もっぱら」っていう言葉は使われていないという事です。
これどういうことかって言うと、例えば公益通報者、通報する立場のひとからすると、かなり多くの事案で、そのいろんな目的が併存してたり、混じり合ったりしてたり、あるいは感情が混じり合ったりしています。ここに少し書いたもので言うと、交渉を有利に進めようとする目的であったり、事業者に対する反感であったり、そういったものがあって、そうするとこういったいくつか目的があって必ずしも公益的な、いろんな方の共通の利益などに該当しなくても、自分個人のための利益みたいなものがあったり、あるいは相手に対する何か感情みたいなものが入ってたりすることはありうるものの、それを全て不正というのはおかしい。あるいはその「もっぱら公益目的じゃないので、公益通報者の保護はしない」というのはあまりに厳しすぎると、こういう発想議論がありまして、この「もっぱら」っていう要件は課されていないという事になります。
で、じゃあただ実際どんな事案がこの不正の目的があるとされ、どういう事案が不正の目的がないとされるのかという、この条文に関して例えば最高裁の判例があって、こうなっていますというような状況では実はありませんで、裁判例はいろいろ地裁とか高裁でいろいろあるものの、固まったその最高裁判例があるわけではないというような状況です。
ただ、例えば高等裁判所の判例でこんなのがありますよという事を1つご紹介として記載しましたけれども、労使交渉を有利に進める。その通報者にとって使用者側との労使交渉があって、それを有利に進めようという目的、意図っていうのは伺われなくはないと。そういう目的があったようにも認められる。ただし、不正の目的でない事っていうのは、その目的が「もっぱら公益を図ることにあった」と認められる場合ではなく、例えば不正の利益を得る目的とか他人に損害を与える目的がなければ足りると。上記の意図があるから、交渉を有利に進めようという意図があるからといって、不正の目的があるとすることができないと。こんな裁判例があったりするのは参考になるのかなと思っています。
もう1つ不正の目的を判断する際に、考えられることとして次のスライドに書いたのは、通報を受け付けた時、通報がされた時点。ここだけで不正の目的をも判断するっていうのは難しい場合もあるという事を書きました。
公益通報にあたるかどうかというのは、公益通報した時点が通報行為にあたるかどうかですので、その後の事情によってその通報への該当性、すなわち不正の目的があったかどうかが変わるわけではないんですけれども、とはいえ通報最初受け付けた段階では、目的が何なのかとか何を通報してきてるのかよく分からないことも現実にはたくさんあります。
このスライドに書いている、案件受領、通報者への確認、客観資料の確認、ヒアリング、事実認定、処分や是正措置等って書いているのは、いろんな例えば企業でもいろんな組織で、通報に対応する際の最も標準的な流れを例示しているんですけれども、最初に案件が来たときには、通報内容、それが電話であれ文書であれメールであれ、あいまいな事っていうのは非常に多くて、そうすると色々内容確認しないと何を通報してきてるのか、何のために何を言ってきたのかよくわからない事っていうのはたくさんあります。
そうすると一番多いパターンとして、受け付けた後に通報者にいろいろ確認をして、確認をする中で、こういう内容をしてきてるのと、こういうことを希望してるのねと。こういうことが分かってくる。こういった事が分かってくると、これは何らかその誰かを引っ張り下ろそうとしてやってるんじゃなくて、そういった皆の利益になるようなことを考えて言ってるのねとか、あるいはそれは違うんじゃないかとか、だんだん判明してくることがあるので、通報時点で不正目的は判断されるものの、実際にはこういった調査を進めていく中でそこが分かってくると言う事案がたくさんあるという事になります。
もう1つ。不正目的の関係でいきますと、少し関係する論点として、公益通報かどうかの該当するかどうか判断する際に、いわゆる真実相当性、これが関係するかという論点があると考えます。
すなわち、先ほど1から6まで公益通報の要件として整理をしましたけれども、その要件の中には、通報対象事実、刑事罰があるような行為とかあるいは行政罰、何かの制裁があるような行為とか、そういった行為が今生じてるんだ、発生してるんだとか、あるいはまさに生じようとしてるんだ、こういう内容を通報する、告げること。これが条文上公益通報の定義になってるんですけれども、じゃあその実際そういう事実があるのかどうかとか、あると信じたのかどうか、それについて合理的な根拠があったのか、正当な理由があったのか。これを真実相当性と言うわけですが、これも公益通報の要件になるのかどうか、公益通報がと認められるか、該当性判断する際にその要件となるのかどうか。問題意識ですね。
結論とすると、真実相当性は公益通報にあたるかどうかという判断の際には要件になっていません。これは法律の条文上明らかで、先ほどの公益通報者保護法の2条1項を見ると、2条1項の中に事実であることを告げなきゃいけないとか、事実でなかったとしてもそれをちゃんと信じるのに正当な理由があったことを告げなきゃいけないとか、それで初めて公益通報にあたるんだよって書き方はされていなくて、2条の条文はここに書いてある通りですと。
ただし、真実だと信じてたかとかいう事は、その後の保護要件、すなわち実際公益通報にあたると言われた通報者について、その通報をこの法律によって保護を与えるのかどうかと。この部分を判断していく際には出てくる要件なので、該当するとなった後の次の問題と、こういう事が条文上2条3条という整理がされているので、条文の解釈として明らかですと。
ところが1点ややこしいのが、先ほど述べた不正の目的との関係が、少し関係してくると思っていて、というのは例えば、通報者が何の根拠もなく憶測で、色々物を言っていますと。真実でないことも知っていますと。でもこれをこういう事を言い続けて、あの人を引っ張り下ろしてやろうと思って、仮に通報したとしますと、となるとこれいわゆる不正の目的が認定されるようなケースなんですけど、そういう事案はおそらく真実相当性もないわけで、両方が当たらないって話になるんですが、真実相当性の議論に行く前に、それ不正の目的っていう論点のところが公益通報に該当するかどうかで論点になってくると。これが法律の立て付けという事になっています。
なので、真実だと信じて通報してたのかどうかという論点は、公益通報にあたるかどうかというところで考える際には、不正の目的にとまで言えるのかどうかという、こんな風な考え方をしていくという事になります。
申し上げた通り、初回の通報、特に初回とか最初の通報の段階では何を通報してきてるのかとかどんな目的かというのははっきりしない場合もたくさんあって、真実相当性みたいなところも色々調べていくと後で分かってくるという話になってくるので、その結果不正の目的だったんだというような話になれば、そもそも公益通報ではないってなりますし、不正な目的ではないけどもないので、公益通報には当たるけど保護されるのかどうかというところが論点になるようなケースも多数あると。こういう状況です。また後でこの論点もう一度触れたいと思います。
続いて2番目ですけれども、組織幹部からの独立性確保という話があります。これは法律上どこに出てくるかというと、2020年の改正、2022年に施行されている今の公益通報者保護法の中には、先ほど通り体制を整備しなきゃいけないという体制整備義務が課せられました。体制整備義務の具体的な内容は消費者庁の指針で定めるとされていて、その指針の中にこういった項目が出てきます。
この紫の四角の中が指針の中身なんですけれども、内部公益通報の受付け窓口で受け付ける内部公益通報にかかる公益通報対応業務に関して、組織の長その他の幹部に関する事案については、これらのものからの独立性を確保する措置をとると。こういう規定がされていて、指針の中身なんですけれども、この指針が法律の中身になってる。こういう立て付けです。
指針に関しては消費者庁がもう1つ指針の解説というものを出していまして、指針はこういう意味ですよという解説がされています。
その指針の解説を見ると、この項目っていうのは、組織の長、すなわち企業で言えば経営幹部、行政で言えばその行政組織の長、こういった幹部が主導とか関与する事案に関しては、当然その幹部はいろんな影響力行使できる立場なので、公益通報に対応する業務受け付けたり調査をしたり処分をしたり是正措置を取ったりというところに何らかその影響力を行使して適切に行われないと、そういった事態を防がなきゃいけないという事で、これらのものからの独立性を確保する措置をとる必要があるという事を定めています。
指針の解説にはどういうことをすればこの指針、法的義務になってる指針を守れるかというところの考え方とか取り組みの具体例も記載されてまして、この項目に関して言うと、企業であれば社外取締役監査機関といったものへ報告をするとか、あるいはそこからモニタリングを受けるとか、あるいはそういった監査機関とか、その事業者の外部に窓口を設置するとか。こういったようなことで独立性を確保しようと。いうようなことが例として指摘されています。
なお指針解説を見ると、こういった独立性確保に関しては、受付け段階だけではなくて受付けの後の調査是正措置、こういった事に関しても確保する必要があるというようなことが解説されています。
続いて、利益相反の排除に関しても見ていきたいと思います。
指針の第4の1のかっこ4という項目には、先ほどの内部通報の窓口で受け付ける公益通報、これの業務に関して事案に関係するものを公益通報対応業務に関与させない措置を取ってくださいと、こんな規定が指針に書かれていて法的義務になっています。
これについての解説として、事案に関係する人、そもそも誰が事案に関係する人かというところが、却中の24に指針解説書かれてるんですが、公正な公益通報対応業務の実施を阻害するものという事で、典型的には法令違反行為の発覚調査の結果で実質的に不利益を受けるものと。こういった人を事案に関与させると色々影響力を行使したりして、適切な対応がされない可能性があるので、担当から外すとか、そういった対応が必要ですっていうことが書かれているわけです。
もう1つ個別の論点として、不利益取り扱い範囲外共有通報者探索を禁止する、あるいは防止する。こういった項目についても見ていきたいと思います。
同じく指針の第4の2のかっこ1というところを見ると、労働者役員などが不利益な取り扱いを行うことを防ぐための措置を取らなきゃいけない。そういった不利益な取り扱い受けてないか把握する措置を取って、把握した場合は、救済回復の措置をとる。そういった対応、不利益な取り扱い行われていたら、行った人に対していろんな事情を考慮して懲戒処分その他適切な措置をとる必要があると、こういった事が指針に書かれていて法的義務になっていると、こういう状況です。
この不利益な取り扱いという事に関して言うと、そもそも公益通報者保護法が成立した時から法律の中に、こういった通報理由、公益通報を理由とする解雇その他の不利益な取り扱いっていうのはしては行けないし、しても無効になるよという条文が置かれていて、当然今もその条文あります。今回の体制整備として事業者、企業でも行政機関でもこういった体制を整備してくださいねという事が指針で義務付けられたと。こういう状況になっています。
不利益な取り扱いとしては、例えば下に書いてある解雇懲戒処分といった処分みたいなものもそうですし、処分以外の事実上の嫌がらせ、仕事させないとか、業務に参加させないとか、そういったものも含めて不利益な取り扱いですよという事が、指針解説の中で明示されていると。こういう状況です。
もう1つ第4の2のかっこ2に指針で書かれているのは、範囲外共有探索の防止、通報者探しですね。をしないようにしなければならないという事で、範囲外共有というのは、公益通報者を特定させる事項、誰が公益通報したのかっていう情報を必要最小限の範囲を超えて共有してはいけないよという話です。範囲外に共有するという事なんですけれども、こういうことはしない。通報者を探そうとしては行けないと。こういった事が指針に書かれています。
公益通報をしたことが他者に知られる懸念があると、どうしても躊躇してしまうという、冒頭に申し上げたようなところがあるので、これを守っていきましょう。こういうことが規定されているわけです。
不利益取り扱いの防止、範囲外共有探索通報者探索の防止、これに関して1つ論点として指摘したいのが、組織の中に対する内部への公益通報についてこういった措置を取らなければいけないのは争いのないところだと思うんですけれども、じゃあ行政機関報道機関等の外部第3者に対する、いわゆる2号通報3号通報と言われるこれらに対してもこういった体制整備をしなければならないのかどうかというところです。
結論からすると、これは2号や3号通報に対してもこういった体制整備が必要だということが消費者庁のスタンスで明確にそれが示されています。
どういうことかというと、指針の中で言うと第4の2のところに公益通報者を保護する体制の整備として、先ほどの不利益取り扱いの防止や範囲外共有や通報者探索の防止っていうことが書かれてるんですが、第4の1や第4の3の表現と違って、第4の2のところだけは「公益通報者を保護する体制」という風に書かれていて、内部公益通報、内部への公益通報の体制整備じゃなくて、一般の公益通報という表現になっています。
実際指針を解説してる指針解説、消費者庁が出してる指針の解説の中に、こういった行政その他の第3者報道機関等の第3者に対する通報についても不利益取り扱いの防止や範囲外共有通報者探索の防止もしなければならないんだっていうことが書かれています。
もちろん指針解説は指針そのものではないので、法的な義務をそのまま構成するものではないという立場での解説なんですが、現状法律を管掌する消費者庁として明確に、体制整備義務についての指針はここは2号3号通報にも課されるんですよという事を明示しているので、例えば今後、消費者庁が何らか行政措置をかけていくっていう場合は、消費者庁当然このスタンスでかけてきますし、仮に何か裁判で問題になった時に、2号通報3号通報にも不利益取り扱い防止等の体制整備義務があるのかって問題になると、おそらく裁判所は指針解説の中身も踏まえて判断していくとなると思うので、これは私個人としての感覚や見解ですけれども、こういった2号通報3号通報についても、不利益な取り扱いの防止等の体制整備義務っていうのが課されていると。
すなわち誰が当局に告発したんだとか、誰がメディア等に告発をしたんだっていうことを社内とか組織内で探そうとしたり、あるいはそういったことをした人に対して通報を理由とする不利益な処分を課したり、何らか事実上の不利益な取り扱いを行うと、これちゃんと体制整備義務が課されていないという違法状態ですよねと。改善してくださいという話になっていくだろうというのが私の考え方です。
1つ、概念図で整理しておきたいと思いまして、図を入れました。左側に青い四角で内部通報、右側に黄色い四角で内部告発という風に書いてまして、組織や社内の中、会社の中で何か事情分かってる内部者がいますと。この方が、組織内部へ通報していく。これ問題じゃないかって指摘をしていくのがいわゆる内部通報ですねと。
一般に内部告発と言われてる行為は、その中から外に対してこれはおかしいじゃないかという事で、行政メディアこういったところに、出していく。外に出していくものが内部告発という事で、大きく2つに分けて考えることができます。
今述べてきた公益通報者保護法というのは実はこの大きな四角よりは小さな四角になっていて、公益、すなわち法律は、刑事罰があるような行為行政罰があるような行為について通報することを公益通報と定義しているので、この全体の四角よりは小さい赤い四角が公益通報になりますと。
ただ公益通報の中にも中に言っていくものもあれば外に言っていくものもあるというのが立て付けになっていまして、中に言っていくのがいわゆる1号通報と言われたり内部公益通報と言われたりする、するもの。外に言っていくのが2号通報と言われる行政機関、3号通報と言われるメディア等に対する通報と、こういった事になっているわけです。
2020年の法改正で、先ほど少し申し上げた、従事者を指定してください。従事者について守秘義務があります。とかっていうのは、左側の内部公益通報の中でも窓口を作って、その窓口で対応する人を従事者にしてきてくださいね。守秘義務がありますねっていうのが定められていて、プラス窓口で色々行っていく通報への対応について、例えば原則としてちゃんと調査しなければいけないとか、利益相反排除しなきゃいけないとか、いろんなことが書かれていますと。
なんですけども、右側の2号通報や3号通報にも今申し上げた不利益取り扱いの防止とか、範囲外共有の防止、通報者探索の防止。ここに関しては右側の2号通報3号通報の方も、法改正で体制整備の義務が課されていると、こういう風に考えてるのが今の消費者庁のスタンス。こういう風になっています。
さてという事で、全体こう見ていくと、公益通報っていうのはあくまでも真ん中の部分なんですけれども、その外の白い部分、先ほど申し上げた例えば刑法犯には当たらないようなハラスメントの事案とか、数で言うとこの白い部分たくさん世の中にはありまして、これも非常に重要だという事になっているので、冒頭に申し上げたことの繰り返しにはなるんですが、公益通報もちろん非常に重要な事で、これの法律を踏まえて法律の違反にならないように対応していく必要があるんですが、同時に外の白い部分になったからといって、じゃあ対応を疎かにするとかっていうことでは全くなくって、これはこれで非常に重要なテーマとして取り扱っていくのが必要ですねと。こんな風に考えております。
さらにですね、この後ちょっとスライドでは公益通報者保護法に関連して想定されるご質問あるいは聞かれる事があるご質問についていくつか論点的に取り上げていってみようと思っています。
まず1つ目ですけれども、今申し上げた3号通報、メディア等第3者に対して通報していくものですけれども、3号通報として保護される要件についてこういう理解で正しいかというご質問がありますと。
労働者退職者役員が義務提供先について、勤務する企業組織について、通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当な理由があり、通報の目的や不正の目的でなく3号通報先へ通報することと理解しているんだけど、これがあれば保護されると言うことで良いか?こういうご質問を受けましたと。
申し上げた通り、このご質問で言うと、公益通報にそもそもあたるかという話と、当たった上で法律上の保護が受けられるかどうかっていう話が少し混じったような質問になってるかなと理解しています。
すなわち公益通報に該当するかどうかというところでいくと、丸3に書かれている通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしている旨を通報すれば、通報、公益通報には該当するというのが、該当性のところの要件なので、信ずるに足りる相当な理由があるかどうかという部分は、公益通報に該当するかどうか、該当したとなったらその後で保護されるかどうかっていう論点のところで出てくる話なので、公益通報に該当する場合に公益通報者が保護されるかいかないかっていうところで信ずるに足りるかどうか。法的にはこうやって2段階に分けて整理をしています。
仮に真実相当性がない。例えば、ちょっと根拠として必ずしも十分じゃなかったという風になった場合は、公益、不正の目的とも言えないので公益通報には当たるけども、真実相当だという風に信ずるところまではいかない。なので例えば、社内組織内に通報してるんだったら、それは法律で保護は得られるんだけども、外部に持っていくにはそこまでの保護は法律では与えられないよというような話があったりします。
続いて2つ目のご質問ですけれども3号通報にあたる場合に通報先でないものが不正の目的や信ずるに足りる相当な理由がないとして、公益通報に当たらないと判断することができるか?こういうご質問をいただきました。
3号通報、組織の中から外の第3者に対して通報していった場面を考えて、そうすると通報してる相手は組織外の例えば報道機関等の第3者ですねと。その上で、じゃあその通報を受けたものじゃないんだけどもそこで公益通報に当たらないと判断することがありうるか?こんな話です。
ここちょっと場面を具体的に明示したいと思うんですが、例えば組織の中からね、職員、何か事情知った職員などがいて、その方が、メディア等の外部に公益通報を行っていた場合、こういう場面ですねと。
そうすると、そもそも組織としては先ほどの体制整備義務、外への通報でも体制整備義務負っているので、不利益な取り扱い、誰がこういった通報をしたんだという事で、例えば通報者探そうとしたりしてはいけないし、何らか通報者が分かった時に、じゃあ誰が通報者かっていう事を必要最小限の範囲を超えて範囲外に共有してはいけないし、通報したことを理由に不利益な取り扱いをしてはいけないという、そういう一般的な防止の措置をとる義務はそもそもありますねと。
続いて、3号の通報を受けたメディア等の外部の人がじゃあその後どう対応していくかっていうと、通常通報を受けるとそれで即報道するんじゃなくて、当該組織、企業行政機関等に取材をかけますと。そうするとこんな情報提供があったんだけど事実なのか?という取材が来て、でそれで今度は組織の方が外からそういう取材が来たんだけれども実際どういう事実関係だったのかっていうのを調査していくという事になりますと。
この事実調査を行った結果、通報者に不正の目的が認められるという風に判断する場合っていうのがありえますと。例えば先ほど少し申し上げた通り、何らの根拠もなく憶測で色々言っていると。いう風になった場合に、これは先ほど限定的なに解釈される不正の目的っていうのがあっても、限定的に見たとしても不正目的ですねっていう判断される事っていうのはありえて、そうするとこの場合は通報を受けた立場ではない組織ですけれども、こう調査をした結果、当該組織が公益通報には当たらないという風に判断結論づけることはありうるという事になります。
すなわちご質問の中の、通報先でないものが公益通報に当たらないと判断する、不正の目的っていうことで判断する事ができるかっていうことはありうるというのが答えだと思います。ただし、申し上げた通り不正目的っていうのは非常に法律上限定的に厳格に理解されているので、慎重にここは認定する必要はありますけれども、あるかないかで言えばありうるという事になります。
一方、信ずるに足りる相当な理由があるかどうかというところについてですけれども、組織内で今のそういう取材を受けた後に調査をした結果、通報者は「これ、根拠は十分じゃなかったんじゃないか?」という風に認定されるケースっていうのは、不正目的とは違って結構たくさんありますと。そうなった場合は公益通報に該当することに変わりはない。ただし、法律上の3条以下に書かれている、例えばじゃあ解雇等の処分は無効だよとか、法律上不利益な取り扱いを事実上の不利益取り扱い等含めこれは無効になるよといった法律上の保護はそのまま受けないと。こういう状況になります。なぜかっていうと外部への通報の保護要件満たさないからという事です。
ただこれ注意しなきゃいけないのが、じゃあ真実相当性足りない、具体的な根拠が足りませんでしたとなった時に、じゃあ昼がえって考えて、じゃあもう懲戒処分していいんですね。こういう風に反対解釈をしてはいけないというのが一般的に法律的に言われている事で、もちろん懲戒処分とかされる場合もありうるんですけれども、法律上の保護がないからといって直ちに自動的に処分をしていいという風には考えられなくて、先ほど通り内部、内部告発でもともと法律できる前から保護されてたエリアもあるし、いろんな状況考えた時に、どこまで法律の保護がないからといって保護しなきゃいけないのかっていうのはかなり微妙な問題で、実務的にも非常にここは慎重に企業の現場でも取り扱っているところという事になります。場合によってはこれは、不正目的とはまで言えないけどもやっぱり色々問題だっていう風になる事もありますし、処分等はできないっていう事があって、ここは慎重に判断すべきところだという事が実務的な感覚です。
続いて質問の3。通報対象事実の調査結果が判明する前に、範囲外共有通報者探索、不利益取り扱いをすることが許されるのか?こういうご質問がありました。これは通報対象事実について当然色々調査をしていくんですけど、その調査の結果が出る前にこういった取り扱いをすることができるのだろうか?という事です。
お答えとしてはこんな風に書いてみました。公益通報の事案に関して言うと、受付段階、調査段階、是正措置等、こういった一連の対応のプロセス全てを通して、通報理由に何らか不利益な取り扱いをすること、通報者が誰かという情報を必要最小限の範囲を超えて共有したり、通報者を探したり、こういう事をしては行けないという風になっていて、しないように体制整備しなければいけないというのが、組織に義務付けられているので、これに違反すると体制整備義務違反の状態になってしまうわけですね。
なので、調査結果が判明する前にこういった扱いをする事っていうのは許されないし、また仮に調査結果判明して、例えば通報者が指摘している事実関係は認められない。いろいろ調査した結果、ここの部分は事実じゃなかったというような事になったとしても、じゃあ通報者に対して、当然に不利益な取り扱いをしていいのかとか、誰が通報したかっていうことを必要最小限の範囲を超えて共有していいのかと。そうではなくて、そこはたとえ認められなかったからといって、その部分のこういう扱いをしていいという訳にはならないですよ。
なぜかと言うと、範囲外共有の防止、通報者探索の防止、不利益取り扱いの防止というのは、組織にこういった体制を整備してくださいねっていう風に課されている義務なので、これはこれで体制整備しなきゃいけないと。一方その個別事案で通報者が保護されるかどうか、処分が無効になるかどうか、懲戒処分等が無効になるかどうか、そういったところを解釈する際には、真実相当性とか実際事実だったのか、それを信じた根拠があったのか、ここを見ていくわけなんですけれども、体制ちゃんと整備しなきゃいけないですよねっていうのは、これ組織に課されている対応の義務なので、これは議論を混ぜてはいけないという事になります。
質問の4。うわさ話や憶測を基にした通報っていうのが不正目的ありと認められるのかどうか。これ今回の文書問題でも1つの大きな論点として位置されていると理解しています。また、不正の目的ありとはまで認められなくても真実相当性がないと判断されるのかどうかというところです。
ここについてはこんな風に整理をしてみました。まず、うわさ話憶測に基づいてるケースっていうのも結構内部通報の現場では色々あります。じゃあうわさ話や憶測を基にしていると、それだけで例えば不正目的ありという風に認定されているかというと、そうではないという理解です。というのは、繰り返し申し上げてる通り、不正の目的っていう法律の条文非常に限定的に捉えられているのと、現実に通報の現場っていうのを考えた時に、いろんな事情いろんな目的感情が併存してることが多いようなことを諸々考えた時に、単純に不正目的ありって認定されるケースって非常にまず狭い。ただし、あ、ごめんなさい。うわさ話憶測を基にしてるからといって、それだけで「不正目的あり」ってなるケースっていうのはなかなか無いんじゃないかなと思います。
うわさ話憶測以外に何らか具体的に根拠がないですという風になった場合は、不正目的の要件じゃなくて真実相当性のとこで、これは真実だと信じたことについて正当な理由、何か合理的な根拠があったのかというと「ここは違うんじゃないの?」という風に判断される可能性は十分あるねと思います。というのが2つ目のところに書いてある事です。
現実にうわさ話憶測っていうものでも例えば伝聞ですと。直接自分が見て聞いたことじゃなくて人から聞きましたとか、うわさ話もいろんな人が色々言ってますってなった時に、本当にこれ状況によるという風に理解されていて、ここに「供述の信用性の評価次第」という風に書きましたけれども、どんな立場のひとがどういう根拠に基づいてどういう指摘をしてるのか?っていう事によっては信用できるねという事もありうるし、場合によってはそれは信用には足りないねっていう風になることもありうるので、一概にうわさ話や憶測だからアウト、セーフという風には言えないというのが、事案についての認定の実務的な感覚かなと思っています。
質問の5つ目ですけどもメディア等に3号通報をしたという後に内部公益通報、1号の通報がなされたという事案について、公益通報者保護法の適用関係はどう整理されるのかと。実際今回の事案に関しても3月中にまず最初メディア等に対して文書で、いわゆる3号通報にあたるような通報がされて、じゃあその後に中の組織内、の通報窓口、公益通報の窓口に通報がされましたとか、いう風になった時に、両方3号1号両方出てきていると。これについて法律との適用関係でいくとどう整理されるのかという事をちょっと整理してみました。
まず始めの組織の外、メディア等に対する通報の時点で、そもそも組織、兵庫県な兵庫県という組織として、不利益な取り扱い、範囲外共有、通報者探索防止っていう体制整備義務に違反しないように、そもそも体制整備ちゃんと整えてなきゃいけないですし、個別の事案についてもそれに則って運用しなければいけないというのがまず外部への通報のタイミングで出てきますねと。
プラス、続いてじゃあ内部に対して公益通報がされましたという時点で見た時に、そうすると外部への通報の場合にかかってくる上の3つの体制整備だけではなくて、内部に関してって事になると、通報者特定情報、誰が公益通報したのかっていう情報知ってる人はちゃんと従事者指定受けてますかとか、組織の幹部から独立性確保されてますか?事案に関係するものは関与しないっていう利益相反排除できてますか?原則として必要な調査ちゃんとしてますか?事案が事実だと認められる場合には是正措置等とってますか?こういった事が指針の中で定められている対応義務なので、こういった事がちゃんとされてるかどうかっていうのを見ていくという事になります。
プラス内部への公益通報の対応を通じてでも、外部にも課されていた不利益取り扱い範囲外共有通報者探索防止と、こういう体制整備は、同じく内部への通報についても課されているので、こういったとこもしっかり守られてるかっていうのが見られてくる。こんな風になるわけです。
もう1つ。じゃ色々今これ論点見てきましたけれども、じゃあ今回の一連の文書問題について、考え方はどうなんだ?という風に問われた時に、こんな風に整理ができるかなという風に見ています。
実際私自身が今回の調査事案について何か調査に加わったりやり取りをしたりという立場ではないので、あくまでも公表されている情報報道されてるものを見た、それを限りのコメントになってしまうので、確定的には申し上げ難い立場ではありますものの、例えばこんな風に考えてますという事を少し申し上げてみたいと思います。
まず公益通報にあたるかどうか、この法律が適用されるかどうかっていうのは、それだけでは決まらないよと申し上げたものの、とはいえこれはこれで1つ大きな重要な論点なので、ここをちょっと考えてみると、不正の目的ありと言えるのかどうかという、ここ1つ大きな論点ですねと。
一言でこの点についてコメントするとすると、慎重に判断しないといけない論点だということなので、色々調査をした結果、最終的に全く何の根拠もなく憶測だけで誰かを貶めようとして言ってるんであれば、不正の目的ありってなる可能性はありうるものの、色々調査した結果そうではないと。例えばこれはおかしい、いろんな状況に基づいておかしいとか、兵庫県よくしようとか、そういう目的で言ってるのだとすると、不正の目的ありとはまで言えないんじゃないかっていうのが一般的な見方だと見ています。
仮に不正の目的があるかどうかというところを一旦通過したとして、今回の事案で言うと、そもそも通報対象事実、この文書の内容が、例えばパワハラみたいなものが入っていて、これじゃ刑法には書かれてませんねという風になると、公益通報っていう内容にそもそも当たらないっていう部分があるのは確かで、一方、周囲したんじゃないかみたいな話になると、これ刑法に入ってくる話なので、内容によって公益通報にあたるような内容もあれば当たらない内容もあって、これ不正目的どうかと関係なく中身の問題ですね。という両方入ってきてるという事案だなと思っています。
ここは少なくともその一部に関して公益通報にあたるような内容があって、不正目的ではないという風に認定されれば、この法律が適用されるっていう前提で見ていく必要があり、最終的にいろいろ調べた結果、不正目的、すなわち何の根拠もなくて何にもその公益的なことじゃなくて、これは法律が予定してるのは不正目的だってなれば、この法律の適用がないというケースもあるし、いずれにせよハラスメントみたいな部分に関して言うと、この法律の適用っていうのは難しい部分という事になってくるんだろうな。こんな風に見ています。
じゃあ仮に公益通報に該当しないという風になった時にどう考えるのかっていうことなんですけれども、法律上の不利益な取り扱いとか通報者探しの禁止とか、そういったところは公益通報に該当しなければ法律上の義務っていうのは当たってこないので、それは当たってきませんねってなるんですけれども、一般的な企業組織の対応してる感覚で言うと、通常法律にあたるかどうかだけじゃなくて、こういった通報理由にした不利益な取り扱いっていうのはしないよっていう組織としてのルールを持っていて対応しているので、そういった社内規定違反、組織上のルール違反みたいなものになってくるという事になるので、公益通報に当たらなくてもそこはちゃんとカバーして配慮しながら進めていくというのが実務的な感覚です。
通報した人が内容がもし、不利益な、不正な目的で色々やろうとしてるんだったら、分かるんですけどそうじゃなくて、その内容が公益通報に当たらない部分があったりとかっていう時に、じゃあそれで不利益に取り扱われる可能性があるっていうんだったら、元に帰って怖くて誰も通報しなくなってしまうので、それは非常によくないというのが、組織のリスク管理コンプライアンスの一般的な考え方なのかなと思います。
続いて、じゃあそもそも今回の事案で不利益な取り扱い範囲外共有通報者探索と言われるような取り扱いがされていたのかどうかっていうところに関して言うと、これは実際事案の事実関係次第ではあるものの、例えば、懲戒処分っていうのの根拠と、懲戒処分がされていて、その根拠としてこの文書での内容に関してとか、あるいは、見た時にそれは通報理由として懲戒処分課してるとか、あるいは記者会見のようなところで、こういった通報をしていて、それが事実でないということを認めていたっていうようなことになると、これ、記者会見で発言する事は何か処分をしたわけではないんですけども、先ほどの事実上の不利益な取り扱い、事実上の行為も含まれるよっていうところとの関係でいくと、不利益な取り扱いにあたるような行為っていう話になってくるんだろうなと思いますし、範囲外の共有、誰か誰が公益通報したかっていう情報を例えば会見で言ってしまったりとかいう事になると、本当に必要最小限の範囲の人だけでその情報を管理してたんですかっていう話になってくる。通報者の探索、誰が通報したのかっていうことを探そうとするっていう事になると、通報者探索の問題になってくると。
そもそも、例えば知事がどうかっていう、事案について言われた側が何をしたかっていう論点はもちろんなくはないんですけれども、体制整備っていうのは組織として、そういった例えば規定をちゃんと作って、運用のルールを作って、こういうことがないようにしなきゃいけないってことなので、そもそもそういったことがしっかり取られていたのかっていうのが1つ問題になるところで、直近で言うと色々内部通報の対応体制っていうのが整備されて改定されたと理解してますけども、当時どういう風な体制整備がされてたのかっていう、県としての体制整備のところっていうのをちゃんと見る必要があるんだろうなと思っています。
3点目に書いてある組織幹部からの独立性と事案に関係するものの関与の排除というところで見ると、まず独立性のところなんですけども、通報の内容で、こういった事実があるという風に指摘された人っていうのは事案に関係するし、かつ組織の幹部だという事、トップだという事になると、こういったところの影響力関与を排除する形で対応しなければいけないっていうのが公益通報事案であれば法律上の要請ですし公益通報事案でなくても大体どの企業であればどの組織もそういった人は関与しないようにして何らか対応するっていうルール持ってます。それが一番公正で適正に対応できるからということなんですが、ただ独立性に関して言うと、例えば法律上の指針で書かれている内容としても、組織の幹部が全く関与しない形とか、幹部に近い部門が一切関与しない形で全部第3者委員会みたいなところがやんなきゃいけないかというと、そこまでは要求されていなくって、先ほどのようにもうモニタリングを受けながら行うとか、そういった柔軟性はあると。こんな状況になっています。
ちょっと最後少しだけコメントをして私からのお話を終えたいと思うんですけれども、企業がどんな風な思いで公益通報や内部通報に取り組んでるかってことだけ少し申し上げます。
指針の第4の3のかっこ1というところには、教育周知に関する対応をしなきゃいけませんよっていうことも書かれていて、その中には組織の長、企業で言えば経営トップが具体的にかつ継続的に制度利用を呼びかける等の手段を通じて信頼性を高めていかなきゃいけないということが書かれていて、例えばコンプライアンス経営の推進における内部公益通報制度の意義重要性とか、リスクの早期発見とか企業価値向上に資する正当な職務行為なんだぞっていう事とか、不利益な取り扱いは許されない。秘密保持は徹底する。こういったことを組織の長自身がどんどん発信して信頼を高めていかなければいけないっていうことが法的義務として要求されているわけですね。
企業で言うと経営トップっていうのは、コンプライアンス経営大事ですってどの企業も言ってるわけなんですけども、言ってる一方で実はそういった問題真面目に捉えてないって事になると、企業の中の人ってそこ敏感に感じるわけですよね。なので、ここは本当に限度を一致させて、本気で取り組む姿勢を見せないと、なかなか信用してもらえない。そうするとリスク情報とか大事な問題が上がってこない。これは経営陣にとって非常に怖いことなので、ここを一生懸命取り組んでるというのが企業の現場です。
これ企業だと見ていただいた時に、コンプライアンスの取り組みって経営トップが一生懸命イニシアチブを取って進めていくわけなんですけども、その経営トップが何か問題があることした時のために、ガバナンスの仕組みがあって、監視をする。内部通報っていうのは、コンプライアンスの取り組みとかしてる中で何かあったら言ってきてねっていうものがあって、それ以外にも上司部下のラインでもいろんな指摘っていうのはありえて、プラス経営陣の不正みたいなものに関して言うと、こういったガバナンスの仕組みへの通報の仕組みがあって、こういったものが一体的に組まれていていろんなチャンネルで組織をよくしていこうというのが企業の取り組みなわけなんですけれども、内部通報制度大事ですって今日申し上げてきましたが、内部通報制度ってあくまでも内部への通報なんで、内部を司ってるのは一番上は組織のトップ、経営トップですし、その下の役員とかその下の上司とか、こういう人たちが信頼できないといくら通報制度立派なものを作っても、中に言ったって結局握りつぶされちゃうんじゃないかとか、仕返しされるんじゃないかって言うと、右側の水色のとこ機能しないんですよね。だからこそ一生懸命経営陣も含めて真面目に取り組んで、何か問題があったら言ってきてねっていう、何か自分に関係することがあったらこういった独立の人がチェックするよっていう仕組みを作ってやってるのが企業実務でして、そこは公益通報者保護法が適用なるかどうかも大事なんですけど、それを超えて法律が適用なる事案でもならない事案でも、こういう発想を持って取り組んでいくっていうことが非常に重要なのかなと個人的には思っております。
という事で、私からのお話以上しまして、残りの時間をQ&Aという風にご対応できればと思っています。ありがとうございました。
質疑応答
議長:
ありがとうございました。それではこれより質疑と意見交換を行いたいと思います。おおむね11時30分ですが、12時までよろしいですか?大丈夫です。ありがとうございます。はい。それでは増山委員。
増山委員:
ありがとうございました。ちなみに告発文というのはご覧になってるっていう認識でよろしいでしょうか?
結城弁護士:
一部、伏せ字にはってるバージョンですけれども拝見してます。
増山委員:
なるほど。告発文が発出された経緯についても。
結城弁護士:
理解してるつもりではおります。
増山委員:
承知しました。3月に出された本件告発文について公益通報としての保護が及ぶと考えられるかというところをもうちょっと詳しく聞きたいんですけども、まず4月の内部通報については、適切に処理されていて、基本的にそこについては争われていないと認識しています。今我々争っていると、というかこの場で争われてるのが3月に出された方の告発文で、3月20日の時点で、1号2号3号通報ではない一般の方からの提供によって、知事は文書を入手したという経緯がございます。保護法の保護される要件と公益通報に該当する要件、先ほど6つ述べられましたけれども、そのうちの法定のものによる通報であることというのが、もう1つ、法定の通報先への通報であることというのが、どうも3月20日の時点では当てはまらないように思うんですが、これはどういう風に理解したらよろしいでしょうか?
結城弁護士:
ご質問ありがとうございます。まず、法定のものによる通報っていう部分に関して言うと、先ほどの1に書いてあった労働者とか、退職者、1年以内の退職者とか一定の要件を満たす役員っていうのが法定のものによる通報という事になって、これはもちろん実際に、例えば誰が通報したのかっていうのは後になって色々詳しく調べて分かることもあるものの、現実に元県民局長が通報してたという事になると、法定のものによる通報っていう部分は満たされるという事になる。なぜかと言うと、現実の職員の方が通報していることになるので、この要件は満たすという事になると理解されます。
増山委員:
匿名で、その場で匿名であった場合、法定のものであるものによる通報であるかどうか分からない状態で、これは探索をしたから分かったものであって、例えばどこの誰か分からない人が出していた場合もありえるわけじゃないですか?
結城弁護士:
ありえますよね。実際匿名通報というのは世の中にたくさんあって、じゃあ匿名通報は公益通報に当たらないのかっていう事だと、それはそうは考えられていなくて、なぜかと言うと現実に誰かは通報してきてて、それは可能性としてもしかしたら外の人が言ってきたのかもしれない。ですけれども例えば後で公益通報かどうかというのが仮に裁判まで行きましたとなると、その時点で誰が通報してましたかっていうことを見た時に、客観的な事実があるわけですよね。分かるかどうかという問題と、現実にこれが通報に当たるかどうかというのは別の問題なので、匿名だから分からないからといって公益通報に当たらないという風には判断されなくって、法的にはまさにこの事案で言うと県民局長が当時通報していたんであれば、それは当たるのは当たるんですねと。対応する立場とすると、もしかしたら匿名だとこれ誰が言ってるか分からないで、外部の、全然分かんない人が勝手に書いてるものだったらこれ公益通報に当たらない可能性もあるので、一応両睨みはするもの客観的には当たってると。
結城弁護士:
はい。
増山委員:
分かりました。じゃ、次の、法定の通報先への通報であることという要件に関してはいかがでしょう?
結城弁護士:
これは、大きく3つあって、役務提供先、すなわち勤めている兵庫県なら兵庫県。そして監督官庁、犯罪機関であれば犯罪行為であれば警察とか、監督官庁。そして第三者。第三者は誰でも良いっていうことではなくて、発生や被害拡大の防止に必要なもの、メディア等という事になってくると。これらに対して通報すれば法定のものに対する通報っていうのは満たされるというのが条文の書き方なので、そこに真実相当性とかっていうのはここには出てこなくって、今のいずれかに当たれば良い。例えば、じゃあ、友達に何かこの話を言いましたという、これは第三者ですけど、被害の発生とか拡大防止に必要な人に言ったっていうわけではないので、これは公益通報には当たらないですよねって判断するんですけど、メディアに言いましたとか、例えば議員の方に言いましたとかってなってくるとここは、発生被害の拡大の防止に必要なものだっていう風に認められて、法定のものに対する通報は当たると。いう風に判断するのが法律の見方かなと思います。
増山委員:
じゃ、メディアとか議員に、県警に出されたものに対してはそういう風な整理でいいと思うんですが、3月20日の時点で、知事が受領した時には一般の方からもらっていて、それが通報されているということがどこからも知らされていない状態なんですね。ある意味道端に落ちているのを拾ったような状態なわけですから、それが公益通報にあたるのかどうかっていうのが、テレビでも野村弁護士が「これは1号2号3号通報ではないところから得たから公益通報に当たらない」という法解釈をされているのですが、ここはどのように考えたらよろしいでしょうか?
結城弁護士:
まず通報にあたるかどうかっていうのを判断する時に、知事が入手した行為が通報かどうかというと、それは知事に対して何か通報してるわけではないので、そこは当たらないというのはその通りだと思います。ただ、その前に文書を送りました。ここがまさに通報者が事実を告げるという行為なんで、ここが当たるかどうかの判断する話になって、その時点の判断になって、知事が入手したことを公益通報にあたるかどうか判断するんじゃないと。こういう関係性です。
増山委員:
知事がそれ得てからすぐに探索者の、通報者の探索を開始していますと。その時点では通報どこかであったことは誰からも知らされていない状態なので、その探索行為が保護法に違反するのかどうかの限定した議論で言うとどうでしょうか?
結城弁護士:
知事が文書を入手した時に、その文書の中身がどんなものかによってくると思います。私が拝見してる一部黒塗りになってる文書で言うと、その中身っていうのは公益通報にあたる可能性がある部分があるのかなと。先ほど通りハラスメントの指摘とかは多分公益通報には当たらない内容っていう事になってくるんですけど、一方で収賄みたいなところに関して言うと公益通報にあたる可能性があって、だとすると公益通報にあたる可能性ある文書が外に行ってるのだとすると、これ3号通報にあたる可能性がある、あるいは2号通報にあたる可能性があるとなると、じゃあそれが例えばメディアから取材が来ました、誰かから来ましたっていう時に、2号通報や3号通報について体制整備義務の違反にならないように中で対応すると。こういうのがその時点の対応の仕方という事になると思います。
増山委員:
はい。とりあえずは。
議長:
はい。それでは、藤田委員どうぞ。
藤田委員:
ええと、ちょっと関連でお伺いします。27ページ質問の2のところなんですけども、3号通報にあたるか当たらないかの時に、メディア通報先があるという。この時のメディアなんですけども、これが仮にYouTubeだったりSNSだったりした場合、既にそれをデータがデータとかその情報行った段階で、情報漏洩なのか、それとも通報なのかっていう事の問いなんですけども、SNSの場合既にそれを取り調べる事をしていない可能性が高い。それから範囲外共有をしている可能性が高い。それからその問題視する、問題視するのではなくて、それを拡散してしまうような可能性しか私には思いつかないんですけども、SNSとかそういう一部のところに情報を渡した時、部分的な情報ですけれども、これは通報足りうるんでしょうか?
結城弁護士:
ありがとうございます。メディアと書きましたので、まさにマスメディアなのかソーシャルメディアなのか、いろんなものがありうると思ってまして、結論からすると、通報した相手によってここは変わりうると思っています。すなわち、例えば報道機関に言いましたと。報道機関はまさに報道機関が情報提供を受けた時に、事実関係はどうなのか取材をしたり確認をして、報道機関としての報道にふさわしいものを取り扱っていくって話になる。一方で、じゃあSNSなどに書いたと。それはそのまま公開されて、そういったスクリーニングとか検討っていうのは入らないという風に考えると、報道機関、マスメディアとソーシャルメディアと、報道機関とSNSだいぶ性格が違うのかなと。じゃあ、ソーシャルメディアが一切この3号通報の法定の通報先に当たらないかっていうと、ちょっとそこまで言い切る自信はなくて、これは裁判例とかまだない部分ではあるものの、例えば緊急を要するような何か、生命とか身体に大きな害が起こるかもしれない不祥事が実は組織の中で起きてましたみたいな事案があって、今すぐこれ呼びかけないと被害が拡大してしまうというような時に何か書きましたという風になったとすると、この条文に書かれている被害の拡大を防止するために必要なものとして、第三者なんだけれども、じゃあそこのSNS等に書いたことが、じゃあ当たらないかというと、もしかしたら当たるっていう可能性もあるかもしれないなと。これは何か裁判例があったりするわけではない部分、少なくとも最高裁とかないんですけれども、こんな風にこの条文が解釈される可能性はあるかなという風に思いますが、一般的に言うとそこまでの緊急性がないような事案であれば、それってなんでそこをいきなりじゃあSNSで公開するの?これ発生とか被害拡大の防止に必要な、必要と認められるものではないよねってなると、この法定の3号通報先には当たらないと。いう風になってきて公益通報には当たらないという風に判断されると思います。
藤田委員:
この情報漏洩なのか公益通報なのかっていうところが非常に微妙なところでして、お聞きしたんですけども、大概において、まず完全なる範囲外共有のケースが多い。その場合例えばSNSであっても、それ受けた時に、それ受けましたっていうことを公表しない場合、それから、これはSNSではありえないでしょうかね?
結城弁護士:
ええと、ちょっとご質問どこまで正確に理解できたかあれなんですが。
藤田委員:
SNSに上げるっていう事は、それ受けたっていうように言うっていう事は、既に拡散するっていう範囲外共有になってしまうわけで。
これ、こことイコールなんでしょうかね?
結城弁護士:
ええとまず1個ずついきますと、内部通報公益通報かどうかという話と、情報漏洩なのかどうかって話はいつもみたいに毎回のようにぶつかる話で、非常に難しい論点だっていうのは間違いありません。公益通報にあたる事案でも、中身としては例えば企業の秘密情報とかを企業の外に出すとか、組織の中の内部情報を外に出すとか、あるいは公益通報なんだけれどもそれは逆から見るともしかしたら名誉毀損なんじゃないかとか。そういう場面っていうのはいくらでもあって、常に両方微妙なところで分析して判断する事案だっていうのは間違いないと思いますと。じゃあその微妙なバランスを判断する上で、SNSで上げますという行為に関して言うと、SNSって、直ちに、細かい設定はともかく基本は世の中に対して公表していく、公開していく行為だとすると、本当にそれが必要なことなのかという話になるので、ここは報道機関が責任もって調査をして報道したりするのとはだいぶ性格が違うんじゃないかなと思います。ちなみに範囲外共有と申し上げているのは、必要最小限の範囲を超えて、こうSNSに公開するとかっていうのが全部法律上言われてる範囲外共有にあたるわけじゃなくて、範囲外共有っていうのは、誰が公益通報したかっていう情報、公益通報者が誰かという情報を必要最小限の範囲を超えて共有してはいけないっていう言葉遣いなので、ちょっとそれ、言葉としてはもうちょっと狭く定義されてるんですが、情報漏洩かどうかという意味で言うと、それは報道機関に言うのも、外に言ってる時点で漏洩は漏洩なんですけれども、ソーシャルメディア、SNSに言うのはさらに、漏洩の度合いというか公表するという行為なんで、そこはだいぶ性格が違うのかな。こんな風に理解してます。
藤田委員:
はい。ありがとうございました。
越田委員:
まずですね、知事が8月7日の会見で「これは外部通報、2号通報には当たらない」という主張の根拠の1つとしまして、配布された文書に記載されている大半の内容は公益通報者保護法で定められた法律に反する犯罪行為に関するものではないと述べております。今の説明の中で通報対象事実、今回7項目ある中で、先生は先ほど通報対象事実に該当するような項目が含まれているという風なご説明もされたんですけど、7項目のうち1つでもそういうことがあれば、公益通報、外部通報の、ま、通報対象事実があるという風に認定できるという風に考えてよろしいんでしょうか?
結城弁護士:
ええとですね、ここは考え方が複数ありうると思っていて、というのは、例えば1つの通報の中に複数の対象事実が含まれてるケースっていうのは結構あります。その時にその項目ごとに分けて個別に考えるのか、全部まとめて考えなければいけないのかっていう論点があります。何か必ずこうしなければいけないという風に固まってるわけではないと思うんですけども、複数項目が書かれていればまず自然に考えると項目ごとに考えるっていう考え方があると思います。仮に項目ごとに考えた時に、例えばこの項目は刑事罰があるような内容じゃないですとなると、その項目について公益通報にあたるっていうのは無理という事になります。一方、こっちの項目に関しては収賄ですよねというようなことを言っているとすると、これは公益通報にあたるような指摘っていう事になって、その部分に関しては少なくとも公益通報ですねっていう判断になると思いますと。一方全然違う整理として、全体としてこの通報行為を見た時に、これは全体の中の本当にごく細かい一部なので、全体を見るとこれは公益通報じゃないんだとかっていう風にまとめて評価するかどうかという考え方もあると思います。いやまとめてみた時にこれそれなりに重要部分なので、この部分は全体として見ても結局は公益通報に当たるんだっていう見方をすることもあるかもしれません。これは公益通報者保護法の公益通報該当性について、全体で見るのか部分で見るのかっていう例えば最高裁の判例はないんですけど、名誉毀損かどうかっていう別の場面では最高裁の判例があって、ある例えば表現がされた時に、一般の読者とか読み手とか見た人が見た時に、普通の注意とか読み方をした時にどんな風に見えるかっていうことで判断しますという風な、その記事とか表現行為の読み方みたいな判断があって、仮にそういうのを前提にすると、これも結局は事案によるんですけども、普通に読んだらこれは全体として言ってることなのか個別にみてもいいのかみたいな事は判断の参考にはなるかなと思います。本件に関して言うと、項目項目が色々されていて、それって全部連動してると言うよりは1つ1つの事実関係とすると、まずその項目に分けて考えてもいいのかなという風に私としては思います。そうするとこの部分は少なくとも公益通報だよねっていう風な見方ができると。そうするとその部分に関しての取り扱いっていうのはやっぱり法律が前提、法律の適用があるっていう前提で考えなければいけないし、申し上げた通り他の部分もじゃあ法律適用ないんで、不利益に扱ってもいいですかというと、そうはならないでしょうねと。こんな風に考えています。
越田委員:
ありがとうございます。よく分かりました。もう1点、体制整備義務の件なんですけれども、今回の事象でいうと、文書を認識した知事がまさに告発されてる人々を集めて対応を協議して探索を、告発者を探索したという事象で、さらに言うと懲戒処分まで至っているという事象なんですけれども、本来体制整備がされているとすればどうあるべきだったのか。これ何かルールがあってその規定に基づいて何か処理しないといけないものなのか。兵庫県で言うと内部告発の窓口が財政、財務部の行政改革課というところにあって、その行政改革課が「いやいやそんなそれは内部通報、外部通報にあたる可能性があるからダメですよ」みたいなことを、知事とかですね、なかなか最初どういう中身か分からなかったと思うので、例えば3月27日の知事の会見を聞いて「それはまずいんじゃないか」という事で、それなりにアドバイスをするとかですね、懲戒処分までしろっていうのが指針に書いてるわけなんで、その体制整備義務っていう中身どういうものが求められているのかっていうのを教えていただけますか?
結城弁護士:
はい。まず内部で通報が上がってきた時に、何らか窓口を作ってくださいね。窓口に来たら一定の例外的場面を除いてちゃんと調査をして事実関係があるかどうかを見て、そういう事実が認められるんだったらちゃんと是正措置をしてくださいね。こういう義務がありますと。その際に、組織の幹部に関するようなものは何らかの独立性を確保しなきゃいけないし事案に関係するものは排除して対応しなければいけませんねと。こういう制度設計をちゃんとしてそれを内部規定を作ってくださいねと。これが指針に書かれている体制整備の中身ですと。これをそもそもやっていて、それに基づいて個別事案扱って行かなきゃいけないというのがあるべき姿という事になります。私その当時、3月4月あるいはその後の段階で、どこまで兵庫県の中の規定、内部の規定がどうなってたかってとこまで、すみません詳しく存じ上げないんですけども、そういったもし規定があるんであれば、それに則って適切にされていたのかっていうところがポイントになってきて、例えば、組織幹部に関する事案の時はこうするっていう部分の規定が不十分だったとか、利害関係がある人を関与させないようにするっていう部分の規定が不十分だったとしても、仮に規定が不十分でもこの事案って、関係してるんだったら、じゃああえて自分は一旦外れますと。関係しない人で見るとか、何らかそういうような配慮しながら進めていくっていうのが、あるべき対応だったんじゃないかなと思っています。本件でも私の理解ですと、例えばいろいろ対応していく際に外部の弁護士意見を確認したりとか、そういう事してること自体は意味があると思っていて、これは中でだけやるのか外部専門家に確認するのかっていうのは大きな違いがあると思ってるんですけど、そもそものそういったルールとかがどう風に設計されていて、それに基づいて行われていたのか、必要なそういう場面での検討とか対応がされていたのかと。この辺がポイントになってくるのかなと思います。
越田委員:
ありがとうございます。もう1点最後に、今回の懲戒処分にあたって告発者を探索をして特定をして、押収した公用パソコンの中にあった情報でもって懲戒処分を行っております。この事自体は刑事訴訟法的にいうと違法収集証拠の排除という事からすると不適切ではないかなと思うんですけれども、こういった、そもそも懲戒処分やってはいけない事例だと思うんですけど、さらにいうと告発以外の非違行為をこの探索の中で見つけたという事を持ってして懲戒処分をする事について、どのようなご見解をお持ちかお聞かせください。
結城弁護士:
あの、刑事手続きそのものではないので、刑事手続きの違法収集証拠のような議論がそのまま当てはまるかどうかというのはあると思います。一方で、法律上探索をしなければいけない、そういう体制を整備しなければならないっていう風に言われてる中で、探索行為をしてそこで得られた証拠を使うっていうことに関しては、非常に慎重に見なければならないんだろうなと思っていますし、そういった証拠を結果としてそういったものが出れば使っていいってなってしまうと、手続き上少々問題があっても結果として証拠確保すればいいっていう風な方向に世の中流れていってしまうので、そこは厳格に見るべきなんじゃないかなと思っています。現実には刑事、例えば刑事訴訟と民事訴訟を比べた時に、民事訴訟の場合って裁判官の、担当する裁判官の感覚によって随分証拠の見方、その証拠の手続きをきちんとしないといけないという考え方と、一方で真実を追求しなきゃいけないという、両方大事な価値なので、そういった時に裁判官によっては真実発見の方に重きを置いて、少々証拠の収集過程に若干疑義があっても刑事手続きとは違うんだから、そこは評価としては多少割り引いては見るけども評価しますっていうことはありうるので、そんなにガチガチに固めづらいっていう部分はあるんですけども、懲戒処分って事になると、刑事手続きとは言わないにしても、そういう手続きが非常に重要なプロセスだって事になると、一般の民事訴訟もそうですけれども、そういった証拠収集プロセスみたいなところをより慎重に評価するべきなんじゃないかなという風に感覚としては思います。
議長:
すみません。松本委員、はい。
松本委員:
あの不正の、不正の目的のところで少しお伺いしたいんですけども、まず最高裁判例がないことといわゆる高裁の判例を見ても非常に慎重に認定に関して慎重にあるべきだという事はよく分かりました。その上で、お話しの中で例えば全て創造ですね。悪意を持って作成した告発等は不正な目的にあたるのは分かるんですけども、なかなかそれ以外にですね、不正と認定する事案っていうのがイメージしにくいんですけども、これまで先生の知ってる事例の中で不正な目的と認定されたような事例っていうのがあったら参考までにいくつか教えていただければと思います。
結城弁護士:
はい。そうですね。なかなか事案としては具体的に申し上げづらい部分はあるんですけれども、例えば、ええと虚偽の証拠を捏造して出してきているようなことが後で分かった場合。これ、企業で言うと色々な企業の中での競争というか足の引っ張り合いみたいなものがあって、でそこで、いろんな諸々他の状況に照らすとこの証拠っておかしいねと、偽造だねみたいなものが出てきていて、それで「あのひとはこういう不正をしてる」みたいなこと言ってくると、これってそもそも正当な目的じゃなくてその人を引きずり下ろして自分が上がろうとしてるためにこういうことしたんじゃないかという事が客観的に明らかになると、これは不正の目的による通報だねと。こんな風に認定されるケースなんかがありますかね。これは公益通報者保護法そのものではない事案でも、例えばグローバルにビジネス展開してる企業なんかだと、こういろんな海外からの通報とか含めていろんな種類の通報が来て、そういう中にはこういう偽造なんじゃないかみたいなケースとかも入ってたりすることもあって、でそういう時に、不正の目的だっていう風な認定とか、この通報は正当な目的で出たもんじゃなくて、これ以上は取り扱わないみたいな事になったりするような事もあります。
松本委員:
はい。分かりました。ありがとうございます。
議長:
はい。それでは北上委員。
北上委員:
通報内容の調査をする前に不利益な扱いをしてはならないという事で話が合ったと思うんですが、3月の段階で今回の場合ですね、県民局長の役職を解いてると。で、予定されていた退職を認めなかった。結果として予定されていた就職先に就くことができなかったという事があるんですが、これは不利益な扱いの1つだという風に考えて良いものなのかどうか。まずお聞かせください。
結城弁護士:
そうですね。不利益な取り扱いの何を不利益な取り扱いと言うのか、通報を理由とする不利益な取り扱いの範囲というかその部分に関しては、かなり広いというのが法律上示されてる、あるいは指針解釈上示されてる解釈で、これまでの裁判例とかでも非常に幅広く見られていると思いますと。いう事で、そういった退職に関する取り扱いを変えて、その結果そういった影響が発生してるという事になると、そういった取り扱いまで含めて不利益な取り扱いだったと、この不利益取り扱いに該当するというのは十分ありうるのかな。そんな風に思います。
北上委員:
はい。ありがとうございます。3月27日の知事の記者会見で、この告発文書について「事実無根、嘘八百」という事を知事が発言をされ、加えてですね、公務員失格と告発者のことを評価しています。告発者本人は認めておられないにも関わらずですね、自分は該当文書を流布したということを本人も認めているというようなことを発言をされていまして、この事について、百条委員会の中の証言でもですね、ご本人は究極のパワハラだという認識を示されておるんですけれども、結城弁護士のご見解としてこれは、この記者会見での発言は不利益な扱いに該当するのか、あるいはパワハラだという、パワハラの1つだという風に認識できるのか。お願いします。
結城弁護士:
はい。この会見の前にどんなやり取りがあって、でそこ仮にその会見前のやり取りの中で、こう認めていて、で、実際その事実じゃないんですという風に仮に認めてて、でそれについて言ったのか。認めてないのに認めてるっていう風に言ったのか、それ直接確認しないで他の人が確認したものに基づいて言ったのか。いろんな事実の経過の可能性がありうるのかなという風には思うんですけども、ちょっとそこ私直接関与してないんで分からないので、ちょっとそこ一旦捨象すると、このその後のやり取りで言うと、事実無根だって事は認めてないんだっていうことをその後は言っていて、で、ということからすると、にも関わらず言ってなかった、認めていなかったのにこういうことを会見で言われたって事になると、これは不利益な扱いなんじゃないか。あるいはそれをパワハラっていう定義の中に入れるかどうかちょっと場面にはよると思うものの、そういった不適切な発言で、本人に対して不利益を与えるっていうような言い方をしていたっていう事になるんじゃないかなと思います。これ、そのときどういう、何に基づいて発言したのかとかによって変わってきうるのかなと思うので、そこはちゃんと確認した方がいいのかなと思います。
北上委員:
調査前に告発文書の内容を「事実無根嘘八百」と断じている事についてはここはどうか?
結城弁護士:
あの、本当に事実無根なのかどうかは、客観的な事実は本当はどっかにあるわけですよね。ただ、それを言われた人が言ってしてしまうと、まさに当事者なので、それが、お互い主張が対立してて言ってるのか、それとも本当にその通りなのかが、かえって分からなくなってしまうわけですよね。だからこそ本人は事案の判断とか処分には関与しないで他の人が進めるとかいう事によって、その他の人が確認した結果事実とではなかったとか、あるいはこの部分は事実だとかっていうのが公正な客観的な進め方なのかなと。それをご本人が言ってしまっていう事になるとよく分からないっていう話になってしまうんじゃないかなと思います。
北上委員:
はい。ありがとうございます。不適切な対応だったと思うんですけど、法律的に不利益な扱いとは断じる事は難しいという事ですか?
結城弁護士:
ええとご質問はその会見での発言がって事ですか?
北上委員:
はい。
結城弁護士:
今出てる事実関係からすると、会見でこういう風に本人が認めていなかったにも関わらず認めてる、事実無根だと認めてるみたいなこと言ったらそれは不利益な扱いだと思います。
北上委員:
はい。ありがとうございます。最後、真実相当性の考え方なんですけど、例えばおねだりとか贈収賄の疑惑があってですね、利害関係者からの物品の受領はあった。利害関係者からですね、無償貸与は受けていた。その事実はあったが、しかしそれが法令違反には当たらないとなった場合ですね、真実相当性というのはどのように考えたらいいんでしょうか。
結城弁護士:
いわゆる真実相当性っていうのは、そういった事実関係があったと信じるについての正当な理由という事になるので、法的にどう評価されるかは一旦置いといて、そういう事実があったと信じたことについて何らか合理的な具体的な根拠なり理由があったかどうか。ここを見ますという事になるので、最終的に法的にどう評価されるかは直接関係なくって、こういう事実があったっていう事が例えばどの立場の誰がって言ってたのか、何人言ってたのかとか、実際この立場の人がこういう事言ってるんだったら、それを信じたのは合理性があるんじゃないかなとか、そういうところを見て判断することになると思います。
北上委員:
ありがとうございます。
議長:
富山委員。
富山委員:
基本にまた戻るかもしれないんですけれども、人事管理上の処分。やっぱり企業でもそうだと思うんですけど、社員、職員から会社に対する意見が出た時に、それと今日説明された通報の扱い。現に今回色々議論なってる3月の文書、警察にも議員にもそれから報道機関にもある程度要件揃ってるんですけれども、すぐに誰が発信したっていうのを突き詰めて、突き止めて、すぐに人事管理上の処分の動きをしてるというのが、概括的に私は見てるんですが、それと今回の通報の、いわゆる通報者保護の関係のその辺の整理をもう一度ちょっと教えていただければと思います。
結城弁護士:
あの、私よく企業の事案で対応してると人事上の処分とかをどうするかっていうのは、いろんなタイミングで出てくる話ではあるんですけど、まず通報事案の対応として重要になるのは客観的な事実関係はどうだったのか。具体的に言うと通報された内容があって、その通報内容に書かれてる事は事実なのかどうか、証拠あるのかどうか。ここをよく確認しないと、処分の前提が動いちゃうんですよね後で。なので、いきなり処分の議論っていうのはできなくって、まず事実関係を確認する。そのいろいろ調査を尽くした結果、じゃあこれはこういう事実関係ですねとなると、じゃあそれに基づいて処分どうするのっていうのがプロセスなので、前後関係で言うと別に手続きなんで、通報についてどう対応するか人事上の処分どうするかっていうのは別ではあるものの、内容は連動していて、そうするとまず通報された事実関係がどうなのかとかっていうのをよく調べてから対応する。こういう前後関係だっていう風に理解してます。
富山委員:
その関係から言いますと、本来内部通報は誰も知りえないのが普通という事なんですが、今回は本人が4月8日に内部通報をしましたという事例が出てる段階で、今回人事管理上の処分という動きになってるんですが、この辺は専門家から見て、将来、組織としてはどうあるべきなのか。今の時点で結構ですので教えていただければと。
結城弁護士:
通報者が誰かどうかっていう情報を本人が隠したいっていう時に、しっかりそこの情報守ってあげる。これは1つ大事なことなんですけど、一方で事案によっては誰が通報したかって事はもう分かってるとか、本人が色々言ってるみたいなケースもありますね。それはそれで1つの論点なんで、守るべき事案では誰が通報したかっていう情報を匿名化したり秘匿化したり一部の人しか分からないっていうことで進めていく。これは大事な事だと思います。一方で、通報された内容が事実かどうかというここ確認しないと、必要な、例えば制度の変更だったり誰かそのもし不正行為みたいに参与した人がいるんだったらその人に対する処分だったり、何かルールがあいまいだったんだったらルールの明確化だったり、どんな対応が必要なのかっていうのはまず指摘があった通報内容の事実関係しっかり調査しないと決められないので、これはこれでちゃんと調査をするというのが大事で、その調査をする際に、指針の内容とか指針解説の内容も参考に進めていくという事で、そういう社内規定だったり運用を整えていくと。こういうことになるんではないかなと思います。
富山委員:
今回の事例でいうと、文書の内容を調査するのが2つの部門が動いてるわけで、片一方だけが先に出して、片一方がまだ調査中。だから人事管理上のほうが先に動いちゃったという、ちょっと今の先生の話だったら歪なのかなという感覚がしたんですが、その辺、普通の会社なんかだったらどうなんでしょうか?
結城弁護士:
あの、ご指摘の通りかなという風に思いまして、そこはあの、じゃあどの部署がどういう風に調査をして、どう連携するのかしないのかってやっぱり整理をして確認しないといけないでしょうね。そうしないと混乱するように私も思います。
議長:
伊藤委員。
伊藤委員:
すみません。説明資料の29ページに不正目的と真実相当性の事をお答えいただいてます。うわさ話や憶測以外に何ら具体的根拠等がない場合は、真実相当性があると認められない可能性が高いというご説明ですね。これ、具体的根拠等というのは同時に示さないといけない。後からしっかり確認とか調査の結果で示すんじゃなくて。このちょっと理解が浅いんでそこをちょっと教えていただきたいんですけど。
結城弁護士:
あの、大事なご指摘だと思ってまして、真実相当性っていうのは要するに、通報した時にどういう風な認識を持って、どういう根拠を持って通報したのかって話になってくるんで、その時の状況はどうだったのかというところで決まってきますと。すなわち通報した時点なんですけども、ただその時にどういう認識を持っててどういう根拠があったのかっていうのは、その通報より前の時点のいろんなやり取りだったり、あの持ってた情報とか誰とどういう風なやり取りしたかとかどんな資料持ってたかにもよるし、通報の時に持ってたものにもよるし、その後色々判明してきたことにもよるかもしれないので、いろんな事情総合的に考慮して決めるんだろうという風に思います。何かその通報の時に誰かにそれを示さなきゃいけないかとか提示しなきゃいけないかとかっていうような要請とか要件はないので、そこで示してなかったからダメって事にはならなくて、実は後で調査してみたら、その前にこんな人とこんな話をしていたとか、こういう風なことを聞いていた。こういう資料を持っていた。こういう話を聞いてたって言うのも後から分かったことでも良い。なので、ちょっとややこしくなるんですけど、判断する時点はその通報した時点でどういう認識持ってたかっていう、どういう根拠持ってたか?なんですけど、調査をその後ずっとしていくと、その後色々見たらこういう状況が分かってきたとなると、これはこの時点もおそらく本人はこういう風な認識持ってたんだろうなっていう風に認定する。例えば裁判になって、この法律上の保護が与えられるかどうかっていうのが訴訟になってたケースだとすると、後の調査で分かったことなんかも使われる。こういう事になると思います。
議長:
丸尾委員。
丸尾委員:
はい。始めは今の制度上の問題で、内部規定の整備義務というか、というのが存在すると思うんですが、その時に現状ですね、企業だとか行政でもいいんですが、もう具体に告発者の探索あるいは範囲外共有の禁止だとか、具体にそのものを規則の中でちゃんと謳っていくという理解でいいんですよね?
結城弁護士:
はい。消費者庁の指針の中には、内部公益通報の対応体制として、実効性を向上させるためにこの指針で定めている内容を内部規定に定めてくださいという風に書かれていて、これが法的義務になってるんですね。なので今まさに仰られた通りで、こういった対応するんだっていうことを規定上定めておかなきゃいけないと。こういうことになります。
丸尾委員:
はい。それと先ほど藤田委員の質問にもあったんですが、調査途上で個人情報を入手したと。告発の。その情報はあの理解としては範囲外共有の禁止にもかかって、通報者を特定できる情報の守秘の義務付けに当たるんではないかなとは思うんですが、それは当然個人情報が一緒に流れてきますから、そのことはどう考えたらいいんでしょうか?
結城弁護士:
ええ、個人情報の保護っていうのは、またこの公益通報者の保護っていうのとは別に当然個人情報保護法上の要請があって、それが個人情報にあたるのか個人データにあたるのか、そういったことも踏まえながら考えていく必要がある。なので公益通報だから個人情報を無視していいっていう事はもちろんならないし、個人情報保護法上の要請も考えながら対応していかなくてはいけない。要するに違う法律なんで両方意識しなきゃいけない。こういう事になりますよね。
丸尾委員:
まあ、あのガイドラインの中でも個人情報の保護っていうのは謳われてますんで、そこはきちんと管理しないといけないんだろうなという風に思うんですが、それは一旦置いときます。あと内部通報と外部通報との関係で、先ほど項目ごとの評価も含めてみたいな話もありましたが、兵庫県自体は内部通報で危険性危機感を推進するにあたり県民の信頼を損なう恐れのあるものは内部通報として取り扱うという事になってます。この時に外部通報ですね、外部通報の取り扱いとして、法定要件を厳しく定めた上で判断するのか、あるいは内部通報の規定に準じて幅広く認めていくのか、そこはどんな取り扱いが 必要でしょうか?
結城弁護士:
まず、法律公益通報者保護法上の要請とすると、中に言ってくる内部公益通報だけじゃなくて、あるいは兵庫県が定める法律よりもっと広い範囲の内部通報はそれはそれで、あるとして、法律は外部に対する、行政機関とかその他第三者とかに対するものも公益通報と定義していて、一定の範囲については法律上の保護を与えているので、これについてはその法律の要請に違反しないように適正に対応していく必要がありますね。プラスその法律とは別に内部としてはこういうものも通報として扱いますよと。一部もちろん法律の保護も重なるんですけども、法律の保護がなくても、兵庫県としてはこういうものを通報として扱って、こういう取り扱いをしていくんですよっていう風に、兵庫県としての扱いと法律上の扱いとかこう両方併存するというか両方かかって、これ企業も全く一緒で、企業としてはうちはこういうものを通報として扱いますよと。法律もちろん法律の要請があるんで、両方関係してくる。こういう状況になると思います。
丸尾委員:
はい。必要であれば内部でルール上も定めればより明確になるという事ですね。最後です。兵庫県がとってきた対応について、先ほどの告発者探索だとか範囲外共有の問題も含めてですが、もちろん最終の確認はまだですが、もし問題があるとしたら、どういう措置を取る必要がありますかという事ですね。その処分を撤回するだとか、あの必要な措置があれば教えてください。
結城弁護士:
そうですね。まず大事なのは実際何が起きてたのかっていう調査という風に思います。なのでこの委員会としての調査も大事ですし、いろんなところが調査するって事になってるのかもしれませんが、まず事実関係をしっかり確認する。それに基づいて、じゃあこれは不利益な取り扱いだったんじゃないかって事になると、あの指針の中には不利益な取り扱いが実際されていたら、その回復措置をとる必要がある、義務があるというのが出てくるので、その回復ができるよう例えば懲戒処分が不利益取り扱いだと判断したんであれば、それを無効だとして回復するとか、対応をこれは組織として、県としてそういう対応を取っていくとか、こういう話になってくると思います。
議長:
他に、はい。庄本委員。
庄本委員:
体制整備の問題なんですけれども、企業はもう体制整備も随分進んでるっていう事のお話だったと思うんですけど、自治体としての体制整備にはまだまだそれぞれの都道府県でいろんな違いがあるっていう風にも聞いてるんですけど、兵庫県の場合は内部公益通報、内部通報の場合、財務部が受け持つという形になってるんですけど、東京都などは独立した形で 作られてるっていう事なんですけれども、私は独立してきちんと体制整備っていうのはされた方がいいんじゃないかっていう風に思ってるんですけどその辺はいかがでしょうか?
結城弁護士:
ええ、ありがとうございます。これ、何かこうしなければいけないっていう決まった形とかがあるわけじゃなくて、組織によって様々ありうるんだろうなという風には思っています。例えばその企業で言えば、法務部みたいなところが通報を受け付けたり対応するところもあれば、それとは別のコンプライアンス部門が受け付けてるところもあれば、内部監査部門が受け付けてるところもあれば、規模が小さいところだと監査役が受け付けてるところも様々あって、何が正解で何が間違ってるっていうことはないんだろうと思います。それぞれのメリットもあるし、難しさもあるというところで、いろんな組織が悩みながら制度を設計してるのかなと思います。そういう意味で言うと、兵庫県の場合に、この部門が受け付けるとこういうメリットがあるけどここが難しいとか、リソースが足りない。あるいは事案によって、事案に関係する人がいっぱい出てくると、その都度他の人が対応しなければいけない。これだとワークしないんであれば、じゃあ始めから独立的な専門的なとこ作った方がいいのかとか、件数がどれくらいあるかによっても変わってきますし、そこは、よく何が一番フィットする体制なのかっていうのを検討して進めるっていうことで一般的に良いのではないかなと思っていて、何か必ず独立してなきゃいけないとかっていう事じゃなくって、独立しなきゃいけない案件の時に、そういった体制が取れるように、例えばこういう関係する時には、この部分のモニタリング、例えば監査役のモニタリングを受けるのか、何らかそういう制度設計をするとか、そういった独立性が担保されるような仕組みを作るというような事、それが公益通報の意義っていうこともあるでしょうし、いろんなパターンがありうるのかなと思います。
庄本委員:
ちょっと別の話。ありがとうございます。すごい基本的なところなんですけど、今回の事案の場合、3月12日に、警察や報道機関、また県会議員に通報され、告発文書がされたんですけど、3月27日の時点で、人事異動が辞令される時にご本人が自分が告発した文書の中身についてきちんと調査をしてほしいということを申し述べてるんですね。当局に対して。その場合、私たちが勉強した中ではそれは内部通報に1号に当たると言う風なご回答をいただいたんですけれども、先生はいかがですか?
結城弁護士:
あの、同じ理解です。これ今回の法改正がされる前から消費者庁から示されている解釈で、例えば窓口を作っています。窓口への通報は1号通報なわけですけど、窓口以外の、上司とか担当役員とか、こういったところにこれは問題じゃないかっていうことを指摘していって、その中身が、通報対象事実、刑事罰があるような行為を指摘していくと、その部分は窓口以外でも公益通報に当たると。いう事が解釈として示されていて、なので今例に挙げられたような事案は、例えば3月27日の時点でこういう指摘をしましたと。窓口じゃないけれども中で、しかるべき立場の、その人に対してこう指摘をしたとなると、これ内部、内部公益通報に当たると。いうような理解です。
議長:
最後お一方。佐藤委員。
佐藤委員:
すみません。先ほどの伊藤委員が言ってた29ページの部分なんですけど、その下の 2行のところあるんですけど、下の2行目で例えば信頼できる関係者等から具体的な内容を聞いた場合等っていう、これ両方等がついて広く示されてるんですけど、これ等とって信頼できる関係者具体的な内容聞いた以外の方法で何を指して「等」という風に表現されてるんですか?
結城弁護士:
弁護士の悪い癖ですぐ等を付けたがってしまって。あの申し訳ありません。例えば伝聞でも、、その数、いろんな人が言ってますって事になると、言う場合に、もちろん数だけでは決まらないんですけれども そういった数とっていうものも関係するかもしれない。数が少なくても、この立場の人がこういうこと言ってるっていう事だとすると、信頼できるってことなるかもしれない。あの数だけでも決まらないし、誰かその立場だけでも決まらないし。そういうような事がありうると思います。現実に認定は難しいんですけれども、証拠上は結構微妙でもいろんな人が色々言っていて、その中でこれは合理的な根拠あるよね。客観的に真実であるってところまでは要求されてないので、真実相当性に関して言うと、信ずるに足りる相当な理由があったかどうか、正当な理由があったかっていうこと、相当な理由があったかって考えた時に、これだけの人から言われていて、でそれが例えば、今度は逆に誰か対立してる人から言われると、それは逆に「あそこはもともと対立してるんだから、対立してる人から言われてるのだと、逆にその根拠としては不十分だよね」っていう方向に働くし。とかっていうような事があるので、そういったものを諸々考えた時に、これは信ずるについて相当な理由があったんじゃないかってなったりならなかったりっていう、その辺りが等に込められております。
佐藤委員:
これ例えばですけど、この文書作られた方の陳述書っていうのがあるんですよ。 それはもしかしたら見て、見れてないかもしんないですけど、その中をずっと見ていくと誰に聞いたか忘れた、覚えてない、憶測って言葉がずっと並ぶんですよね。そうなってくると信頼できる関係者とか具体的な証言には該当しないと思うんですけど。
結城弁護士:
そこは場合によりうると思うので慎重に判断した方がいいと思います。
佐藤委員:
それでも場合によるんですね?
結城弁護士:
場合によると思います。例えばこの後ろの方の等ですけど、具体的な内容を聞いたっていう風に、場合等って書いてるのは例えば具体的だけじゃなくて、よく法律家だと確信性って言うんですけど、いかにリアルな中身が伝わってるかみたいなこともやっぱり供述の信用性を評価する上では見る所があって、具体的だけではなくてどれくらい感情面が織り込まれているのかとかっていうようなことも聞いた中身によっては関係するかもしれない。諸々総合的に考慮するって非常に微妙な判断になってくるので、それは誰から聞いたか覚えててこの人がこういうこと言ってたっていう覚えてる時と比べると、覚えてないのは諸々考えた時に評価としてはより慎重に判断しなければいけなくなるんだと思うんですけど、それだけでも決まらなくて、あの全体的に見るのかなという風に思います。
佐藤委員:
はい。分かりました。
議長:
はい。すみません。それではちょっとお時間が。
はい、じゃあどうぞ。
増山委員(2回目):
藤原弁護士がですね、この問題の公益通報に関して文書を出していまして、目的の正当性に関しては不正の目的があったことは疑われるが不正の目的があったと断定するには至らないという事です。通報対象事実に該当するかに関しては2条の3項に関して該当し得るのはゴルフクラブの贈収賄とパワハラによる暴行傷害のみであるという風に回答されてます。他のは犯罪行為に該当しないとか、別表にかける法律に該当しないというところなんですが、ゴルフクラブに関しては記載されている事実自体は犯罪行為の事実の指摘であり通報対象事実に該当する。括弧ただし信ずるに足りる相当の理由がないという風に書いてるんですね。全体のその全ての項目を結城弁護士が見られた中で、この認識と何かずれのある部分というのはありますでしょうか?
結城弁護士:
まず贈収賄とかあとはハラスメントの中でも暴行とかにあたるようなものが公益通報者保護法の言う通報対象事実になってくるというのは同じ認識です。じゃあ個別の事案について真実相当性まで認められるかどうか。ここはもっと直接的に色々証拠を見たりしないと何とも言えないなという感覚です。
増山委員:
分かりました。ありがとうございます。
議長:
はい。それではお時間が参りましたので、質疑を終了したいと思います。結城先生本日は貴重なご講演ありがとうございました。皆様今一度拍手で。ありがとうございました。以上で参考人招致終わります。この際残時休憩いたします。再開時間は13時午後1時です。