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誰しもがプレイフルマインドの卵!~舘野ゼミ課題図書「プレイフル・シンキング」を読んで~
みなさんこんにちは!舘野ゼミ3期生のゆいこです!
一年の締めくくりの12月が始まりましたね~!
みなさんは2022年をどう過ごされましたか?
忙しい年末を、舘野ゼミの考えの根幹をなすプレイフルマインドですっきり過ごしてみませんか?!
今回はゼミの課題図書であった、同志社女子大学名誉教授上田信行先生著「プレイフル・シンキング~働く人と場を楽しくする思考法~」を舘野ゼミ生的大事ポイントを抜粋しながら紹介していこうと思います。
上田先生は「プレイフル」という概念を提唱した第一人者で、舘野先生がゼミで「プレイフル」を掲げるきっかけになった先生です。
この本では、人々が働くうえでいかにプレイフルマインドを持ち、楽しく仕事ができるようになるのか、そのコツについて紹介されています。
また、この本の端々には、上田先生が「本気で遊ぶことが、最高のパフォーマンスを生みだしている。」と、気づくきっかけになった具体的な体験が書かれており、「プレイフル」の言葉の意味について理解を深めることができます。ここでは、それを読んだ舘野ゼミ生的解釈を通して、その本の一端を紹介できればと思いますので、是非最後までご覧ください!
はじめに
今回の記事のポイントは3つです。
あなたは物事をどう捉えがち?
本気になるための目標設定とは?
失敗を恐れない心構えとは?
最初に、プレイフルなマインドセットとはどんなものかについて説明します。次に、そのマインドを持ってどのように現実の仕事に取り掛かっていけばよいのかについて紹介します。そして、最後に、あと一歩が踏み出せない人たちへ覚えていてほしい言葉を紹介したいと思います。
1. あなたは物事をどう捉えがち?
1.1. 「できるかな?」もしくは「どうやってやろうかな?」
突然ですが、質問です。
あなたは急に上司から
「これ、来週までに企画を考えて発表してくれないかな?キミに任せたい仕事なんだ。」
と言われたら、どう思いますか?
「なんだよ急に、、」と少々怒りを覚えるかもしれませんし、「えー私に任せたいなんて、ちょっと嬉しいかも」とニヤついてしまうかもしれません。
その感情の奥底には、どのような考えがありますか?あなたはどちらでかんがえるでしょうか?
・「自分にできるかな?(Can I do it?)」
・「どうやってやろう?(How can I do it?)」
この「How can I do it?」の考えは舘野ゼミのキーワードなので、何度かこれまで投稿した記事に登場したことがあります。これが、今回紹介する「プレイフル・シンキング」の1つ目の重要なポイントです。
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この本では、先ほどの「自分にできるかな?(Can I do it?)」という考えのことを、フィックストマインドセットと呼んでいます。フィックストマインドセットとは、自分の能力には限界があり、”その限界を超えてパフォーマンスすることはできない” と考えるマインドセットのことです。
このマインドを持つ人は、失敗を恐れたり、必要以上に限界を感じることによって、何かに向かって努力するのを恐れてしまう傾向にあります。
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そして、反対に「どうやってやろう?(How can I do it?)」と考えることを、グロウスマインドセットと呼びます。このグロウスマインドでは、
グロウの言葉の通り、自分の可能性に限界はない、機会を得ることでいくらでも能力は伸ばしていける、と考えているのです。
つまり、自分の限界を自分で決めていないからこそ、できる・できないで物事を捉えず、どうやるか、を先に考えているということです。このグロウスマインドセットが、プレイフルに働く人の共通点なのです。
1.2. マインドセットは衣装である
さて、先ほどの質問で自分がフィックストマインドだとわかった方、
「じゃあ自分はプレイフルには働けないじゃん!」と思いましたか?
そんなことはありません!!人の考え方やマインドセットは、唯一ではありません。心の癖なのです。
いろんな状況に合わせて服を着替えるように、自由に考え方を選び取ることができます。
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つまり、今フィックストマインドで考えた人も、グロウスマインドで考えることができるようになるのです。実際に、能力に限界があるかどうかは問題ではありません。プレイフルに働くために重要なのは、自分が物事に取り組む際、どんな考えで、どんな姿勢をもつことができるかなのです。
それでは、どうすればマインドという心の衣装を着替えることができるのでしょうか。実は、ここまで読んできた皆さんはもうすでに第1ステップに踏み出しています。
自分の固定的に捉えがちな考え方を解放するための第1歩は、
「自分って、こんな癖があったんだ。」と、”知る” ことです。
自分の持っている考え方の傾向に気づき、そしてそれが臨機応変に変更可能であることを知ることができなければ、状況に応じたマインドを選び取れるようにはなれません。
そんな気づきを最初に得るためのコツ、それが2つ目のキーワード
”メタ認知” です。
1.3. メタ認知って何?
「メタ」 とは、「高次の」という意味です。
高次の視点から物事を見ることで、主観から外れ、客観的・俯瞰的に物事を捉えることができるようになります。メタ認知とは、そういった視点から物事を俯瞰して得た気づきを言語化することで、自分の新たな可能性に気づくことのできる大切なスキルです。
例えば、他の人の悩みを聞いていると、
「そんなに悩むことないのに、、」と思うことはないですか?
これは、あなたがその人を取り巻く状況を客観的に俯瞰的に眺められているからです。
逆に言えば、その悩みを抱えた人は主観によって視界が邪魔され、周りの状況や自分の可能性が見えづらくなっている状態なのです。そこで、メタ認知を使って自分はどんな状況に置かれているのか、冷静に事実だけを抽出し、言語化していきます。
そうすると、
「思っていたよりも事実はシンプルじゃん」
「これを解決した後に次に取り組めば、スムーズにいくかも」
といった新たな道に気づくことがあるはずです。
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そうして事実を丸裸にすれば、自分は必要以上に失敗を恐れていた、とか、自分の可能性をいつも信じ切れていないな、というような心の癖に気づくことができます。
つまり、メタ認知を使うことで、自分を取り巻く状況を冷静に捉え、その時々で振る舞いを臨機応変に変え、プレイフルに動くことができるのです!
2. 本気になるための目標設定とは?
2.1. プレイフルな目標設定とは
次のテーマ、本気になるための目標設定について紹介したいと思います。
あなたは、
「来月の何日までにこの課題を終わらせて来い。」
と言われて淡々とその通りにタスクをこなす毎日を送る、という状況を聞いてそれを ”プレイフル” だと思うでしょうか。
この本には、プレイフルなマインドを持つための目標設定の仕方について、その重要性が何度も書かれています。
今の社会は、ただ与えられたものをこなしていくスタイルだけを求めてはいません。しかし、ビジネスでも、学校生活でも、自分だけでタスクを決めて目標も自分のスキなように設定するという場面はまだ少ないのではないでしょうか。
新しいものを作ってこいと言う割には、前例がないと動かない上司
あなたの意見は何だと聞く割には、個性をみとめない風潮
「話が違うじゃん!」 とモヤモヤする方も多いかもしれません。そんなときに大事にしてほしいのが、与えられたノルマや目標を自分事として捉えなおすことです。上田先生いわく、仕事に前向きに取り組めるようになるカギは ”仕事” にあるのではなく、”私がその仕事をどう捉えているか” にあるのです。
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そこで、まずは先ほど出てきたメタ認知を使って自分が今抱えている仕事を「どうして上司(先生)はこのような期限でこの仕事を課してきたのだろう?」と客観的に見つめてみるのです。
そうすれば、「この課題を課したのはこういう背景があったのか。じゃあこの課題は自分にどんな影響を及ぼすのだろう?どんな自分に成長できるかな?」と、自分事として捉えられるようになるでしょう。
この過程を経て、ただの振り分けられた仕事を「これなら楽しく取り組めそうだ!」という ”ジブン目標” に設定しなおすのです。
2.2. ”自分のため”の目標
ここでのミソは、
動機(モチベーション)が自分から来ているということ
自分の成長のために目標が設定されているということ です。
以前のプレイフルエネルギーについてのNote投稿でも触れましたが、プレイフルなエネルギーというのはある意味自己満足のようなものなのです。
(プレイフルエネルギーについての投稿↓)
プレイフルに働くためには、あくまで、評価の軸は他人ではなく、自分にあることが重要なのです。他人からの評価をモチベーションに仕事をするといつかは疲弊してしまいます。
「私、こんなにやってるのに誰もみてくれない…」というような ”ヤミモード” に陥るよりも前に、仕事をすることでなりたい自分・実現したい将来を思い描き、その過程で自分が成長することに期待するのです。
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3. 失敗を恐れない心構えとは?
3.1. 失敗は恥ではない
そして最後に、これは重要ポイントといっても良いと思うのですが、私自身がプレイフルでいるために常に気にかけているポイントを紹介します。
この本を読んでから心にとめている言葉「足踏みしないでチャレンジしてみよう」です。
ここまでプレイフルに仕事をしていくためのマインド、目標設定を紹介してきました。それを心掛けるだけでも大変なことですが、やはり最後には、アクションすることが大切なのです。
しかし、失敗やリスクを恐れるあまり、なかなかチャレンジできないことってありますよね。私も何度もプレイフルについて紹介し、クリエイティビティについて投稿していますが、チャレンジすることが大の得意!という人間ではありません。だからこそ、全員が「だって、チャレンジしたいから!」と言ってすぐに行動できるわけではないということをよくわかっています。
しかし、「もとからプレイフル」「もとから能力がある」人材だけが世に出ていくのではありません。
タイトルにもあるように、誰しもがプレイフルマインドの卵なのです。どんな人であれ、その思考法を一度知ってしまえば、知らなかった過去の自分に戻ることはできません。よし、「ここはこういうマインドで行けばいい。」と思えるようになります。季節や場所に合わせて服を着替えるように、その時に合わせたマインドを選び取っていけるようになるのです。
そんなときに、心の癖で「失敗が怖い」と思ってしまったら、失敗は恥ではないということを思い出してください。
3.2. 「fail」ではなく「not yet」(まだ達していないだけ)
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これはアメリカの教育現場で上田先生が見た表現です。
学校現場で子供たちを評価するとき、日本では「可」「不可」を使うことが多いです。しかし、アメリカの教育現場では、日本で言う「不可」の評価をつける際、FailのFという表現を使わずに、Not yet とあらわすのです。
ある残念な出来事を失敗として捉えてしまうのではなく、まだ達していないだけ、と捉えるだけで、もっと長期的な目で自分の成長を見ることができるようになります。
この言葉を覚えておけば、私たちのプレイフルエネルギーが余すことなく存分に発揮される機会が増えることでしょう。
最後に
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まず、ここまで、ボリューム満点の記事を読んでくださって、本当にありがとうございます。
今回の投稿では、「プレイフル・シンキング」を読んで、ゼミ生的印象に残ったポイントを少しネタバレしてみました。ここで抜粋したものは本当に一部で、本の方にはさらに詳しく、論理的に上田先生のプレイフルでロックな思考法が紹介されています。
また、一年の終わりの時期に改めて春学期のゼミでの学習を踏まえてから読むと、ゼミの考え方や学びの根幹がこの1冊に凝縮されていると強く感じます。場づくりや、本気で遊べる学びの形など…
他の授業と同じようにただ講義を聞いて課題をこなして、、、という形をとらない場所で学んできたからこその納得感が心地よかったです。
この投稿を読んで、
「プレイフルマインドという衣装を自分の ”マインドクローゼット” に加えたい!」と思った方はぜひ「プレイフル・シンキング」を読んでみてほしいと思います!
また、今後も月に一度のペースで、舘野ゼミの課題図書の書評を投稿していく予定ですので、そちらも毎週の振り返り投稿と合わせて、楽しみにお待ちください!
立教大学 経営学部 舘野ゼミナール3期 湯浅結衣子