舘野ゼミ書評:課題図書「採用学」
こんにちは!舘野ゼミ1期生のちなつです。
前回に引き続き、ゼミ1年目に課題図書として読んだ本の感想文を記事にします。
今回の書籍は服部泰宏著の「採用学」で、2期生の選考をする前にみんなで採用について学んでいた時期に読んだ本です!
本の概要
日本企業は採用基準として「コミュニケーション能力」や「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」「誠実性」などの、数値化できない曖昧な基準を挙げることが多いです。しかし、目的や採用基準を明確化し、それを基に評価してこそ企業の目的やビジョンに沿った人材を採ることができます。
その際に気を付けるべき点は主に2点あります。
1点目は、採用者側が「リアルな情報」を伝えることです。これは、採用される側のリアリティショックを防げるため、より長く組織に所属してもらうことができるからです。
2点目は、「変わる能力」と「変わらない能力」のうち、「変わらない能力」を持つ人材を優先して採用することです。変わる能力は組織参入後の育成でカバーできるので、変わりにくい能力を持つ人を優先することで、長期的な視点での利益が得られるからです。
以上がこの本の大まかな内容です!
では次に、本に書かれていたことを抽出し、自分なりの意見と併せて述べていきたいと思います。
求める人材を「不足している人材」から考える
「自社に足りない人材とはどのような人材であるのか。こうしたことを、『具体的な言葉』として表現してみる。採用担当者だけでなく、現場スタッフなども含めて、さまざまな人たちがいる場で、自社にとって必要な人材のキーワードを列挙していくことが重要である。」(p.134)
この文章が印象に残り、採用において重要であると考えました。なぜなら、採用基準の明確化は採用学として比較的実践されているのにも関わらず、足りない人材の明確化は見落とされがちだと思ったからです。
最近私が他の授業で学んだことの一つに、「類似性魅力仮説(=自分と他人との間で類似性を高く認識するほど好意的に評価する性質があるという理論)」があります。
この理論により、採用候補者の中でも既存構成員に似た人を新規採用者として選ぶ傾向にあるそうです。
もちろん、既存構成員は「採用基準に合っている」はずなので、その人たちに似た人を選ぶこと自体が一概に悪いわけではありません。
しかし、既存構成員から「不足している人材」を考えることで、今組織には所属していないけど必要である人材を採用しやすくなるのではないかと考えました。
組織の評価≠自分の絶対的価値
「『優秀な人を見抜くこと』が採用の目的だと思われがちだが、採用が『優秀な人』を創り出してしまっている……という側面もある」(p.242)
この文にある通り、組織の採用結果によって生みだされる「優秀な人」と「優秀でない人」は、あくまでその組織の採用基準に沿って組織が創り出したものに過ぎません。
また、その組織の採用基準の中でも特に「変わりにくい能力」の観点で考えると合わなかったのかもしれないが、もしかすると「変わる能力」は採用された人よりも持っていたかもしれないとも考えられます。
よって、組織が違えば評価も異なるので、組織の評価は自分の絶対的な価値を表すものではないのだと思いました。
このことがわかれば、「採用結果に一喜一憂する必要はない」と一般的に言われていることの意味が深く理解できます。
なので、そういった知識が身につけられるという点で、人事担当者だけでなく、就活生などにもとても役に立つ本だと思いました!
採用者側の視点に立って考えるのは就活においても、その他の採用面接においても大切なことだと思うので、ぜひ気になった方は読んでみてください!
読んでいただきありがとうございました!
【今回取り上げた書籍】