高学歴コンテンツに対する個人的見解。
最近では、YouTubeや芸能界で、高学歴の人間が高卒を攻撃する内容が散見される。エンタメとして対立を演出し、視聴者の心を揺さぶるのは有用で、確かに見ものではある。ちなみに、僕は地元の最底辺高校を卒業しており、有名大学卒の人からは攻撃対象となるかもしれない。
しかし、なぜ昨今ここまで学歴に基づく対立のコンテンツが顕著に現れるようになったのだろうか。高卒の浅はかな考察を見てほしい。大きな理由の一つは、あらゆる職業において、高卒と大卒の差異とその壁が薄れてきたことだと思う。専門的な研究職や医学などの理系科目を除けば、大抵の仕事においては高卒と大卒の間にそれほど大きな差異はないように思う。
例えば、IT企業を挙げると、データサイエンティストやプログラマーに必要な知識は、多くの場合ネットで学ぶことができる。僕もかつてプログラマーとして働いていた時期がある。もちろん、生成AIなどの技術職は話が別だが、大抵のIT技術職は大学を卒業しなくても、やる気と調べる力があればなんとかなってしまう。究極的には、生成AIもなんとかなる。
新卒カードでDNAやサイバーエージェントなどのIT職に入るためには、確かに一流大学やMARCH以上の学力が必要かもしれないが、今や多くの企業は学歴だけでなく実績を見る傾向にあると思う。逆に言えば、学歴がなくても、自分でアプリを作って実績を示せば突破口を開くことは十分に可能だ。
このように、学歴がなくても学歴のある人間と同じような収入と地位を手に入れることができる。ここからは推測だが、高学歴の一部の人々がそれに対して不満を抱いたのではないだろうか。その結果、「学歴YouTuber」が登場し、彼らの経歴やトークスキルで低学歴を攻撃する様子が壮観となった。それが学歴を持つ者のアイデンティティを慰め、需要となり社会的ムーブメントを起こしたのかもしれない。
そこに物議をもたらすコンテンツもあり、学歴を持たない人間のカウンターも散見される。
しかし、僕のように学歴を持たない人は冷静になってほしい。そもそもYouTuberや芸人にモラルを求めることが間違いである。彼らはエンターテイナーであり、モラリストではない。もっと言えば、反モラル的なことをするのが常套手段だと言っても良いだろう。極端に言えば、芸人の仕事は屑であってしかるべきだろう。これを言うと懐古主義や老害とされるかもしれないが、昔のテレビはかなり過激だった。
根本的に、エンタメは「過激でなければウケない」というのが常であり、そこに無理にモラルを突っ込むからおかしなことになる。そうした微妙な環境が「高学歴 vs 低学歴」の構図を生んだのかもしれない。学歴によって「分断」が生まれる一方で、それが「本人の努力」に依存しているので、攻撃しても構わないという謎の価値観がさらに事を推し進めている。
昔からその分断はあったが、昨今のモラル一択の環境と、エンタメという過激な内容を必要とする矛盾した二つの帰結から、その需要は高まった。エンタメでいちいちイライラしている場合、そのことに着目した方が良いだろう。そもそもエンタメとは、人の心を揺さぶるものである。対して、昨今の人権侵害やLGBT問題で人間の根本を傷つける内容は容認できない。
結論として、学歴に伴う仕事の差異が少なくなり、それを持たない者への攻撃によって優越感を保ち、差異を設けようとする傾向が需要を加速させた。モラルとエンタメの性質が相剋し、上記の価値観が生まれた。YouTubeや芸能界は、その差異が分断を生み、コンテンツ化しやすいのだろう。